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リアルな環境で実践!病院のリハビリ室で取り組みたい料理動作の評価とアプローチ

リハビリの場面で、患者さんから「一人で料理をしたい」という要望がでてくることがあります。
入浴・着替えなどの身の回りの動作とは少し位置づけが異なりますが、料理動作は家庭内での役割に直結することもあり、非常に重要度が高くなるケースもあるのです。
「自分で料理をしたい!」という患者さんのニーズに応えるために、リハビリ室で実践したいアプローチや導入したい設備についてお伝えしていきます。

「自分で料理をしたい」という患者さんのニーズに応える

患者さんにニーズを聴取すると、「一人で料理をしたい」という要望が挙げられることは少なくありません。
筆者が担当したことがある患者さんのなかにも、料理動作の獲得に対して熱意を持っている方は多くいました。
特に印象に残っているのは、竹中さん(仮名・80代女性)という患者さんです。
リハビリの場面で、生活上のニーズやできるようになりたいことを聴取したところ、最初のうちは「なにもないよ」と発言していました。
しかし、お話を伺っていくうちに、実は料理が好きで、家族や孫に自分が作った料理をふるまうことに生きがいを感じているということがわかりました。

「もう一度、自分の力で料理をして、みんなに食べてもらいたいね」

この思いになんとしても応えたいと感じ、料理動作の獲得に向けたリハビリを進めていきました。
竹中さんの場合は「料理を他者にふるまう」ということに価値を感じていましたが、ほかにも独居などでどうしても自分で料理をしなければならない方もいます。
リハビリでは目標やゴールを設定しますが、ニーズによっては身の回りの動作だけでなく、料理動作の獲得を目標として掲げることも可能です。
料理動作のリハビリで高めることができた機能は、ほかの日常生活動作にも応用していけることでしょう。
ご本人が「やりたい」「できるようになりたい」と感じている活動をベースに介入すると、リハビリに対するモチベーションを引き出すことにもつながるので、ぜひ有効活用してみてください。

目指せ、料理動作の獲得!リハビリスタッフが身につけるべき視点

料理という活動は、細かく考えていくと非常に多様なスキルが求められるものです。
たしかに、料理をするためにはさまざまな身体機能・認知機能が要求されるでしょう。
単純に、関節可動域や筋力といった機能的な側面だけがクリアされていれば良いというものではないので、多角的に考えていく作業が必要になります。
料理動作の獲得を目指す場合、リハビリ場面ではどのような観点で評価や介入を進めていけば良いのでしょうか?

●リハビリで目指す料理動作の獲得〜評価編〜

リハビリ場面で料理動作を評価する際に必要な着眼点を表でまとめていきます。
次のような視点でアプローチしてみてください。

評価項目 評価のポイント
移動能力 キッチンをどのように移動できるかを見極める。車いす・立位・台所につかまって移動など、安全に移動する手段を判断する。お皿を持って移動する場合は、キャスター付きのカートの必要性も検討する。
リーチ能力 車いす・立位ともに手を伸ばして対象物に到達するためのリーチ能力が求められる。どの方向・距離であれば手が届くのか検討する。冷蔵庫の物へのリーチ動作も評価する。
物品操作能力 料理で使う道具の操作能力を評価する。包丁を安全に使えるか、野菜などを片手で固定するスキルはあるかを確認する。
認知機能 複数の工程を並行して処理できるか、認知機能や注意機能の側面からも評価する。注意の持続が困難な場合は、安全のためにIH調理器や電子レンジの使用も検討する。
全身状態 心肺機能が低下している場合は、椅子などで休憩をとる必要があるケースも存在する。料理動作における耐久性も評価する。

上記のように、料理動作で求められる能力は非常に多様です。
料理動作は包丁を使ったり、火を扱ったりすることから、「安全に実施できるかどうか」も見極めていかなければなりません。
こうした評価は、実際の生活場面に近い環境で進めていくことをおすすめします。
また、料理動作についてはできる・できないだけではなく、さらに時間の制約も加わります。
実用的なレベルで料理動作を遂行できるのか、リハビリ場面で見極めていくようにしましょう。

●リハビリで目指す料理動作の獲得〜介入編〜

料理動作への介入は、評価と同時に実行していくことが多いでしょう。
評価のなかで、やり方や環境設定を微修正しながら、実用的な方法を探っていくという形になります。
たとえば、キッチンに体重をかけながら作業をすると、持続力がアップすると評価できた場合は、そのように動作を指導していきます。
指導をするうえでは、なぜそうしなければならないのか、どうすれば安全に動作できるのかを患者さんご自身に理解していただく必要があるでしょう。
また、言葉だけでは定着しにくいので、実際に動作練習をくり返して定着を図っていきます。
ビデオやタブレットPCなどで動作の様子を動画で記録して、患者さんと確認しながら改善点をフィードバックする方法も効果的です。
また、介入において重要となるポイントの一つに「環境調整」が挙げられます。
片手鍋のほうが使いやすいのか、滑り止めマットがあったほうがけがのリスクを減らせるのかなど、調理道具についても必要なアドバイスは行っていくようにしましょう。
このような環境調整を行っていくためにも、料理動作へのアプローチは実際のキッチンに近い環境で行うほうが望ましいです。

リハビリ室に導入したい!電動昇降式のキッチンユニット

自宅に帰ったあとに「料理をしたい」というニーズがある方には、キッチンユニットを使ったリハビリがおすすめです。
リハビリ室を開設する際に、簡易的なキッチンを設置した、という病院もあるでしょう。
いまはまだ動作練習に使えるキッチンがないという病院・施設でも、電動昇降式のキッチンユニットを設置することは可能です。
キッチンユニットは、次のような施設に導入されています。

  • ●病院
  • ●介護老人保健施設
  • ●デイサービスセンター
  • ●在宅介護支援センター

リハビリで料理動作の練習をする必要がある場合、実際にシンクや調理台があるリアルな環境で実施したほうが、より実践的な介入につながります。
設置したキッチンユニットの隣には冷蔵庫などを置いて、実際に物を取り出すことができるかどうかも評価してみてください。
実生活に近い環境で介入できると、なにかと課題は見えてきますし、リハビリの効果も反映されやすいでしょう。
スペースなどの問題はあるかもしれませんが、こうした設備を導入することにより、リハビリ室の充実を図ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

日常生活動作において、やはり排泄・着替えなど身の回りの動作は、重視されることが多いでしょう。
しかし、料理動作は高齢者の家庭内役割にも直結しやすいため、生活全体に影響を及ぼすことも少なくありません。
いくつになっても生きがいを感じながら生活していくために、病院・施設のリハビリでは、ぜひ料理動作の獲得に向けたアプローチも実践してみてください。

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