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#物理療法

筋力低下や協調性障害に!運動負荷をかけたいときに便利な重錘バンド

重錘バンドは、一人で装着できる手軽さや、負荷を段階づけて調節できる便利さから、リハビリ場面でもよく利用されています。
その用途は筋力増強訓練がメインになりますが、協調性障害の訓練にも活用されています。

筋力増強訓練で重錘バンドを効果的に活用する方法

重錘バンドの特徴

OGWellnessのオンラインストアで取り扱っている重錘バンドについてご紹介します。
ここでは、重錘バンドの特徴とそのメリットについて説明します。

1)重さのバリエーションは10種類

重錘バンドの重さは250g~1㎏までは250gずつ、1~3㎏までは500gずつ、3~5㎏までは1㎏ずつと段階付けられるようになっています。
筋力増強訓練では、患者さんの状態に合わせて徐々に負荷量を上げていくことが必要です。
異なる重さの重錘バンドを組み合わせることで、患者さんの能力に合わせて段階付けながら負荷をかけられます。
負荷の調節しやすさから、重錘バンドは病院でのリハビリ場面で活用されています。

2)装着に便利なマジックテープ式、延長ベルトもセット

装着に便利なマジックテープ式

重錘バンドは両端がマジックテープになっています。
その場で座ったまま簡単に手足に着脱できるので、高齢の方でも自主トレーニング中に一人で着脱がしやすく、簡単に負荷を上げられます。
さらに、延長ベルトもセットになっているので、バンドの長さを伸ばすこともでき、上肢や下肢だけでなく体幹にも取り付けられ、訓練の幅が広がります。

3)カバーはナイロン製、中身は鉄粒を使用

ナイロン製のカバーで、耐久性に優れているので安心です。
中身は鉛ではなく鉄粒を使い、環境にも配慮したつくりとなっています。

4)オプションで重錘バンド用ワゴンもある

専用の収納ワゴンがあると、必要な重錘バンドが一目でわかり、すぐに取り出して使えます。
ワゴンにはキャスターがついているので、移動もスムーズ。
自主トレーニングをする患者さんのそばに置けば、ご自身で準備したり、トレーニング中に負荷を変更したりするときも、場所を移動せずに行えます。

筋力増強訓練(棒体操)場面での活用法

ここでは、特に上肢・体幹での筋力増強訓練での活用方法について説明します。

1)棒体操の効果

棒体操とは、両手で棒を持ちながら上肢や体幹を動かす運動です。
棒を持つことで、両上肢の運動範囲を一定に保てるというメリットがあります。
上肢や体幹の可動性を向上し、上半身の柔軟な運動を引き出すことで、日常生活動作の改善につなげます。
この運動にさらに重錘バンドで負荷をかけることで、より肩まわりや上腕、体幹の筋力を強化できます
体幹機能が向上することにより、体力がついたり、立位姿勢や歩行の改善につながったりと、さらなる効果が期待できます。

2)運動時のポイント

  • 〇立っても座っても行えます。
  • 〇重錘バンドは棒の中心に巻き付け、位置がずれないようにきつめにマジックテープをとめます。
  • 〇重さの設定は、初めは最も軽い250gからスタートします。
  • 〇運動回数は10回を1セットとします。3セットしても問題がない場合は、負荷を増やしてもいいでしょう。
  • 〇運動中は著しい疲労感はないか、痛みが出ないか、運動範囲のいっぱいまで動かせているかをチェックします。
  • 〇もし、運動時に痛みや強い疲労感を感じたり、運動範囲の途中までしか動かせなくなったりしたときには、負荷を1段階軽くします。

3)運動方法の一例

効果 体操内容
肩まわりの筋肉の強化 肩の可動性の向上 腕の上げ下げ運動
(運動範囲を足元から頭上までにすると体幹筋力の向上に効果的)

肩の可動性の向上
縦に持った棒を上下に回す運動
上腕の筋力強化 肘の曲げ伸ばしの運動
手関節の可動性の向上 手首の曲げ伸ばしの運動
肘の曲げ伸ばしの運動
体幹の筋力・可動性の向上 棒を持ったまま、体を横にひねる運動
棒を頭上に持ったまま、体を横に倒す運動
棒を頭上に持ったまま、体を横に倒す運動

協調性障害の訓練場面での活用法

1)協調性障害とは

協調性とは、目的の運動を効率的かつ円滑に行える能力です。
協調性障害とは、さまざまな疾患の影響により、運動と感覚入力の連携がうまくいかず、円滑に運動が行えない状態のことを指します。

2)円滑な運動をするための大切な役割を担っている固有感覚

目的に沿って円滑に運動をするためには、筋肉や関節の運動を感知する感覚である固有感覚が重要な鍵を握ります。
私たちは運動をするときに、無意識に「自らの手足がどこの位置にあり、筋肉にどの程度張りが生じているのか」ということを知覚し、その力加減をコントロールしながら、運動を適切に行っているのです。
しかし、協調性障害があると、その運動がスムーズに行えなくなってしまいます。

3)重錘バンドで上肢や下肢に負荷をかけ、動作の改善を図る

協調性障害へのアプローチ方法の一つに、重錘バンドを利用した重錘負荷下での運動学習があります。
上肢や下肢に重錘バンドを取り付け、負荷をかけることで、筋肉からの中枢への固有感覚刺激が増加し、運動の制御を促通する効果があります。
上肢の負荷では、企図振戦による運動時の動揺を軽減する効果があり、それにより正しい運動パターンを学習しやすくなります。
下肢への負荷では、歩行時の下肢の振り出しや接地位置が安定しやすくなる効果があります。
負荷量は、上肢の運動であれば手首に250~500gの重錘バンドを装着、下肢の運動であれば足首に500~1,000gの重錘バンドを装着し、負荷をかけるとよいとされています。

病院でのリハビリだけでなく、介護施設やデイサービスなどでも活用できる

重錘バンドはその使いやすさから、病院でのリハビリ場面はもちろん、介護施設やデイサービスなどでも広く用いられています。
特に、筋力強化訓練では、患者さんの状態の観察や訴えを確認し、無理なく徐々に負荷を上げることで、患者さんの体力づくりにつながっていきます。

参考:
落合慈之: リハビリテーションビジュアルブック. 学研メディカル秀潤社, 東京, 2011, p259.

  • 執筆者

    もり あさな

  • 作業療法士資格取得後、回復期病院や療養病院に勤務しました。結婚・出産を機に福祉の視点も学びたいと思い、社会福祉士資格を取得しました。
    作業療法士としての知識が、在宅で介護をされる方や福祉施設等で働く方、健康に関心がある方のお役に立てればと思い、ライターを始めました。
    現在は作業療法士として小児分野の施設で働きつつ、在宅でのライティングを行っています。医療・福祉の視点や知識を活かし、わかりやすく、かつ生活に役立つ記事を作成できるよう、心掛けております。

    保有資格:作業療法士、社会福祉士

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