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肉離れ後の早期競技復帰、できていますか?競技復帰時期に向けたポイントをお伝えします

トップアスリートからスポーツ愛好家、学生まで幅広く経験することの多い肉離れ。
医療従事者としては、可動域制限などの後遺症を残さず、できるだけ早期復帰を実現させたいものです。
そこで今回は、肉離れにおける早期復帰のポイントを解説していきます。

肉離れの誤解!筋肉ではなく、筋内腱や筋腱移行部に好発する!

肉離れときくと、筋肉の実質部が断裂してしまうイメージをもたれる方は多いと思います。
しかし最新の知見では、肉離れの好発部位は実質部ではなく、筋内腱部と筋腱移行部であることが分かってきました。
筋肉の収縮力は、腱を介して対象の骨へと伝えられます。
筋実質部がそのまま骨に付着することはなく、腱の長さや太さは違えど、必ずこの形態をしています。
筋肉の主成分はタンパク質、腱の主成分はコラーゲンです。
筋肉組織は伸長性がありますが、腱成分はその収縮力を骨へ伝える役割を担うため、伸長性を持ちません。
つまり、筋腱移行部は、柔軟性のギャップから過負荷が加わりやすい部位と言えます。
筋肉に対し過剰な負荷が加わったとき、筋肉の収縮力に耐えきれず、筋肉と腱の部分が破綻します。

肉離れの経時的治療ポイントは、動かすこと!

1)筋損傷後の線維瘢痕組織は、2週後ごろから始まる!

瘢痕組織形成時期までに血腫を引かせておくこと、筋攣縮(きんれんしゅく)を沈静化することが重要です。
つまり、2週間ごろまでには、炎症をできるだけ沈静化しておかなければなりません。
初期炎症で生じた血腫を残存させてしまうと、線維性の瘢痕組織を作ってしまいます。
この結果、後遺症として可動域制限を作ることになるとともに、同部位は組織学的に強度が落ちるため、再受傷のリスクが高まります。
このため受傷早期から、特にアイシング、圧迫処置を徹底して行うことが必要となります。

2)早期復帰を可能にするポイントは、安静にしないこと!?

受傷後は、血液が溜まり血腫が形成され、筋肉の内圧が高くなることで、痛みが生じます。
この時期に、痛みにより安静期間が長くなると、それだけ筋肉が萎縮してしまいます。
痛みにより患部を不動にし、これにより筋肉がさらに萎縮、関節が不安定となる。
これによりまた痛みが増強されていくという、悪循環に陥りやすいのが肉離れの特徴です。
このため、無理しない範囲で少しでも患部を動かすことが重要となります。
痛いから動かさないほうが良いという選手の考えを、少しずつ動かす方向へと誘導していくことが重要です。
理学療法士の立場としては、安静にしている間に筋肉が萎縮してしまうリスクを選手に理解してもらったうえで、実施させることが重要となります。

3)超音波や電気治療を有効活用しましょう!

血腫による内圧が上昇していることや、筋攣縮が強い場合には、物理療法を併用することもオススメです。
特に電気治療は、筋攣縮を沈静化するとともに、萎縮を予防する効果があります。
電気治療である程度筋攣縮を取ったあとに、理学療法士のマッサージやストレッチを行うことで、できるだけ痛みを少なく行うことが可能となります。
また、超音波は組織の修復を促進する効果があります。
特に筋内腱などの深い部分に肉離れがある場合は、徒手ではなかなか治療ができないため、こうした超音波を併用することが効果的です。
柴田 篤志ら(2015)によると、超音波刺激が直接的に筋衛星細胞に影響を及ぼし,筋衛星細胞の活性化を促進していると述べています。
また後藤(2014)は、筋衛星細胞の活性化が骨格筋の増量に寄与していると述べています。
これらのことから、筋衛星細胞が超音波の刺激で活性化されることにより、肉離れによる骨格筋の修復が促されると考えられます。
これらの物理療法のメリットを上手に利用しながら、治療に当たることでより高い効果を得ることができます。

競技復帰のタイミングは、チェック項目とパフォーマンステストで確認!

1)受傷時の判断が、早期復帰を可能にする決め手!

現場で対応できる肉離れと、医療機関を受診すべき肉離れについて筆者の経験から表にまとめました。

筋肉の状態
受傷部が陥凹しているか? ○ or ☓
著明な圧痛があるか? ○ or ☓
ストレッチ痛があるか? ○ or ☓
抵抗時痛があるか? ○ or ☓
歩行不可(荷重時に跛行がでるか)? ○ or ☓

上記の表に、○が増えれば増えるほど肉離れの程度は重症であることを示しており、早急に医療機関の受診をするようすすめています。
復帰時期の目安としては、上記をクリアした上で、筋肉の太さに左右差がなくなった頃を目安にしています。

2)簡易的にできるパフォーマンステスト

筆者が筋力の回復過程や競技復帰を判断する目安として、片足立ち上がりテストを使用しています。
最初は40cmの高さから立ち上がらせ、徐々に高さを低くしていきます。
立ち上がれる床からの高さと競技パフォーマンスに相関があり、簡便にできることから非常に有用なツールです。
以下に、村永(2001)がまとめたガイドラインの表を掲載します。

足の条件 段差の高さ(cm) 競技レベル
両足 40 歩行障害
両足 20 ジャンプ
片足 40 ジョギング
片足 30 ランニング
片足 20 ジャンプ
片足 10 競技レベル

注意しなければならないのは、このパフォーマンステストのみで、競技復帰を判断してはいけないという点です。
必ずその選手を取り巻く環境を総合的に判断し、復帰時期を検討する必要があります。
アジリティーテストなどで痛みが誘発されないこと、不安感がクリアになってから復帰させることも場合によっては必要となります。

まとめ

肉離れ治療についてのポイント、復帰時期についてまとめました。
肉離れの捉え方は選手によって異なります。
筆者の経験では、そこまで肉離れを重症と考えず、1週間程度で復帰できるものだと思っている選手が多くいます。
このため、選手のコントロールも重要な役割となりますので、効果的なリハビリを実施するためにも意識してみてはいかがでしょうか。

参考:
柴田篤志ら:筋損傷からの回復を促進させる超音波刺激はMyoD,myogenin量を亢進させる.理学療法学Supplement 2014(0), 1613, 2015.(2018.2.24引用)
後藤勝正:筋衛星細胞の活性化からみた骨格筋の増殖と運動,体力科学,63-1,42,2014.(2018.2.24引用)
村永信吾:立ち上がり動作を用いた下肢筋力評価とその臨床応用.昭和医学会雑誌,61-3,2001.(2018.2.24引用)

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