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増患対策の鍵は口コミ?競合相手の多い整形外科クリニックが患者獲得のためにできること

勤務医時代は患者さんの診察や治療などに関することだけ考えていれば良かったものの、病院経営者になるとそうも言ってはいられません。
人材の採用や育成、資金繰りや確定申告などやらなければいけないことは山積みですが、中でも一番力を入れて行わなければいけないことは増患対策です。
経営を安定化させるためには多くの固定客を掴む必要がありますけれど、患者さんに選ばれる整形外科クリニックになるにはどのような対策をすれば良いのでしょうか。
ここでは競合相手が多く患者獲得に苦戦している整形外科クリニック経営者の方のために、増患対策のポイントについてお話ししていきます。

整形外科クリニックに必要な1日の来院数とは

増患対策について考える前に、まずは1日に必要な患者数がどのくらいなのかを把握しておくことが大切です。
厚生労働省の外来医療に関する調査
によると1ヶ月当たりの外来患者数は約7,200万人。
医療施設調査
によると無床の一般診療所数が約93,900件となっています。
週5日診療しているクリニックだと1日当たりの患者数の平均は40人前後となるため、このくらいが最低限確保しておきたい患者数と言えるのではないでしょうか。

ですが整形外科は他の診療科よりも平均診療単価が低い傾向にあることから、この数字は整形外科クリニックには当てはまらないので注意が必要です。
内科の平均診療単価が約5,500円であるのに対し、整形外科は約3,000円となっています。

この差を埋めるために整形外科は内科の最低ノルマである40人よりも多い80人以上の患者を1日に獲得しなければならないのです。
ちなみにこの数字は、小規模のリハビリを行っていない施設の場合の人数になります。
リハビリ施設を併設しているところだと、200人以上の患者数が必要ですから、整形外科クリニックの経営者は他の診療科よりも増患対策に力を入れて取り組んでいきましょう。

整形外科の競合相手について

整形外科クリニックの競合相手は、同業のクリニックだけではありません。
最近、増加傾向にある整骨院や通所リハビリ施設に整形外科の患者が奪われているケースもめずらしくないのです。
どうしてこのような現象が起きているのか詳しく見ていきましょう。

◯なぜ整形外科は整骨院に患者を奪われるのか

整形外科クリニックの施設数が約12,000件であるのに対し、整骨院は約42,000件もあります。
みなさんも街中を歩いていると、整骨院の看板を目にする機会が多くあるのではないでしょうか。
整骨院は非常に競争の激しい業種であり、患者獲得のためにあの手この手を使っています。
たとえば新聞の折り込み広告を定期的に活用したり、割引キャンペーンを打ち出したりして患者に対するアピールを常に行なっているのです。
やはり人の目につく方法での宣伝は、大変効果的な集客方法だと言えます。
整骨院は患者の関心を引くようなアピールを積極的に行い、競合相手からの患者獲得を目指しているのです。
また、患者自身が整骨院に通うことを進んで選択するケースもめずらしくありません。
整骨院は整形外科よりも受付時間が長く、土日も休まず営業しているところはたくさんあります。
社会人や学生はなかなか平日の昼間にゆっくり受診することが難しいため、学校帰りや休日に通院できる整骨院を選ぶ方が多くいるのです。
このように整形外科とは異なる利点が整骨院にあることがわかりましたが、整形外科は患者獲得のためにどのような対策をすれば良いのでしょうか。
宣伝不足だと感じる経営者の方は、電柱や看板などの人目につく場所に広告を出してみることをおすすめします。
費用はかかりますが確実な増患対策です。
交通量の多い道路や駅前などに積極的に広告を出してみましょう。
また宣伝しているのになかなか患者数が増えない場合は、クリニックがある地域の患者層について分析することが大切です。
例えば学校が多い地域にあるクリニックの場合、学生を優先的に診察する外来枠を設けてみてはいかがでしょうか。

週に一度15時から17時は学生優先という外来枠を設置することで、今まで整骨院に流れていた学生層の患者獲得が期待できます。
またオフィス街にあるクリニックは、仕事帰りに立ち寄れるように診察時間を遅めに設定すると良いでしょう。
地域の特性に合わせた診察時間にすることで、整形外科を受診する患者数はガラリと変わってきます。
整骨院の患者が整形外科に通いやすくなるように、地域のニーズをしっかり把握し分析するのがポイントです。

◯通所リハビリ施設が高齢者に選ばれる理由とは

通所リハビリ施設では、自宅で自立した生活を送れるように日常生活の支援や生活機能向上訓練、口腔機能向上のサポートが行われています。
運動機能向上に向けたリハビリも行なっているため、整形外科にリハビリ目的で通っている高齢者の中にはこちらの施設に乗り換える方も少なくないです。
ではなぜ通所リハビリ施設は整形外科よりも高齢者に選ばれるのでしょうか
その理由はいくつかありますが、何と言っても通所リハビリ施設には待ち時間がないということが理由の1つに挙げられます。
整形外科クリニックには毎日大勢の患者がやって来るため、待ち時間は長く患者や付き添い家族の負担は相当なものです。
その点通所リハビリ施設なら待ち時間がなく、決まった時間に送迎もしてくれるためこちらを選ぶ方が多くいるのでしょう。
また身内や友人が利用していると、整形外科通いをやめて通所リハビリ施設を選ぶケースは少なくないです。
そんな理由でと驚かれるかもしれませんが、病院をコミュニケーションの場として捉えている患者さんはめずらしくありません。
私自身も患者さんから
「あの人がいるから、私この病院に通っているのよ。定期的に会えておしゃべりできるのが楽しいの。」
という話を聞いたことがありました。
数十分の診察やリハビリで終わってしまう整形外科よりも、しっかりリハビリをやってくれる上にコミュニティを築きやすい通所リハビリ施設の方が高齢者に選ばれるのも納得できるのではないでしょうか。
高齢者にとっては魅力的な通所リバビリ施設から患者さんを獲得するのは大変ですが、決して不可能ではありません。
通所リハビリの良いところを取り入れ、患者さんにとって居心地の良いクリニックを目指しましょう。
たとえば院内での待ち時間を少なくするために、電話で診察時間が近づいてきたことをお知らせするのも良いかもしれません。

何時間も病院でひたすら待つのは大変苦痛なことなので、自宅に帰っても平気なように待ち時間短縮システムを構築するのが大切です。
また患者同士の交流の場として談話スペースを設けたり、勉強会やサロンなどを定期的に開催したりしてみてはいかがでしょうか。
整形外科クリニックが患者同士のコミニュケーションの場となるように、クリニック側から設備や機会を提供していくことが重要です。
通所リハビリ施設から患者を獲得するためには、診察以外の部分にも力を入れなければいけないことがわかりました。
患者が何を目的にクリニックに通っているのか、何が理由で通所リハビリに行くようになったのかをきちんと分析し、高齢者から選ばれるクリニック作りをしていきましょう。

増患対策には口コミが効果的

整骨院や通所リハビリ施設には整形外科にはないような独自のアピールポイントがあるため、患者を奪い取るのは至難の技です。
だからと言って整形外科が整骨院や通所リハビリ施設の真似をするのは無理ですし、したところで患者が増えるわけではありません。
では、整形外科クリニックにできる増患対策には何があるのでしょうか。
たくさんの選択肢の中から選ばれるクリニックになるためには、口コミを広めることが重要です。
友人や知人からの口コミなら信頼できると思い、病院を受診するケースはめずらしくないため、増患対策の第一歩として口コミを拡散に力を入れることをおすすめします。
ですが、口コミが具体的にどうやって広がっていくのかイメージしにくい方
もいるかもしれません。
ここでは実現可能な口コミの拡散方法についてお話ししていきますので、参考にしてください。

◯接遇対策を見直そう

患者への接し方がリピート患者獲得のためには重要です。
しかし仕事が忙しいと患者への対応が雑になってしまったり、顔見知りの患者に対し気安げな話し方をしたりしてしまい、接遇マナーが必ずしも良いとは言い難い現状もあるのではないでしょうか。
スタッフ側からすればケアさえしっかりしていれば問題ないと思うのかもしれませんが、その考え方がリピート患者を逃す原因に繋がっているので、接遇マナーについて軽く考えてはいけません。
事実、厚生労働省の調査
によると、外来患者さんの継続受診の意志に影響する項目に、「医療効果と医師の思いやり」「医師の説明と技能」「看護師の対応」が挙げられています。
患者はあなたが思う以上にスタッフ側からの対応を気にしているため、一度ご自身のクリニックではどのような接遇が行われているかチェックしてみるのが大切です。
スタッフの評判が良い病院は、口コミでどんどん広がります。
たかが患者対応と思わず1人でも多くの患者を繋ぎとめておくために、接遇対策に力を入れてみてはいかがでしょうか。
たとえば外部から講師を招き、接遇マナーに関する勉強会を開催してみるのも良いかもしれません。
プロの力を借り接遇に関する正しい知識を身につけることで、患者さんが気持ち良く受診できるような病院作りをしていきましょう。

◯健康教育やイベントの開催で患者数アップを目指そう

病院独自の健康教室やイベントの開催は、患者数アップに繋がります。
私が以前勤めていた病院でも定期的に院内コンサートやサロン、健康教室が開催されていました。
同じ悩みを抱える患者や家族同士の交流の場にもなりますし、クリニックに対する満足度も向上するので増患対策にはとても有効な試みではないでしょうか。
中でも健康教室は、お金をかけずに行える非常に効果的な増患対策です。
整形外科クリニックの主な患者層である高齢者は、健康改善への意欲や関心が高い方が多く、医療従事者からの専門的な話を聞きたいという方は大勢います。
そのため、病院に来るきっかけ作りとして定期的に健康教室の開催を検討してみるのも良いかもしれません。
病院主催のイベントが多く開かれることで患者の満足度が高まり、病院に対する良い口コミへと繋がるので定期的な院内イベントの開催を検討してみてください。

まとめ

整形外科クリニックには、同業のクリニック以外にも競合相手がたくさんいます。
そのため整骨院や通所リハビリ施設にはない独自のアピールポイントを見つけ、患者獲得に向けた対策を考えることが大切です。

治療以外に病院独自のサービスを提供し、患者の満足度を高めることができれば継続受診の意欲向上につながりますし、自然と良い口コミが広まっていくので新規患者獲得も可能になります。

みなさんもご自分の経営する整形外科クリニックの付加価値を高め、数ある施設の中から選ばれるような病院作りに取り組んでいきましょう。

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