整形外科医院での増患対策。公開講座で集患しましょう!
2018年度の診療報酬改定では、地域医療の充実に主眼が置かれた内容となりました。
診療所などの数が増えることで、ますます重要となってくる増患対策。
本記事では、整形外科医院を例に、公開講座の開催によって集患率をアップさせるポイントについて解説します。
診療所数が増加すると増患対策も必須になる
ここでは整形外科医院を例にあげて、現状と今後の問題点について解説します。
●無床診療所(クリニック)は年々増加している
厚生労働省の統計データによると、2015年度の全国における無床診療所は93,034施設、2016年度は93,900施設と年々増加傾向です。
その一方で、有床診療所は2015年度で7,961施設、2016年度で7,629施設と減少しています。
地域に診療所が増加することは、一見すると好ましい傾向に思われますが、開業医にとってはライバルが増えることになり、集患力が試される状況になるといえます。
また、患者さんにとっても「どこの先生がいいのかわからない」という悩みもでてきますので、いかにほかの診療所との差別化を図れるかが地域で生き残るための重要なポイントになってきます。
●外来リハビリだけでは差別化を図れない整形外科医院
地域において、提供される医療の質が均等になるのは喜ばしいことですが、経営者側は多くの患者さんに自院を選んでもらうための増患対策を考えなくてはなりません。
法人運営などの病院(大規模)では、治療の中心は手術になりますが、無床の診療所(小規模)では運動療法や物理療法などのリハビリが中心です。
しかし、各地域で整形外科医院が増加してくると、専門職によるリハビリは当たり前になるため、他院との差別化を図ることが難しくなります。
つまり今後の整形外科医院では、疾患や障害に対する「リハビリ以外」で、特色をだしていく必要があるのです。
公開講座の神髄は顔の見える関係づくり
ここでは、診療所主催の公開講座が増患対策に有効である理由について解説します。
●診療所主催の公開講座は少ない?
地域の広報や病院の掲示板などで、「糖尿病の基礎知識」や「メタボリックシンドロームの予防」など、生活習慣病を対象とした講座の案内を見たことはないでしょうか?
整形外科領域では、「神経症状による足のしびれ」や「人工膝関節について」など、手術や治療の必要性を訴えかける講座もあります。
しかし、診療所では手術ができないこと、有床病院とくらべてマンパワーが不足しているなどの理由で、開催している医師が少ないという現状があります。
●増患対策の基本は、患者さんが身近に感じられる雰囲気づくり
地域の診療所において増患対策が必要であることは前述しましたが、ではなぜ、公開講座が増患対策に有効なのでしょうか?
まずは患者さんの立場になって考えてみましょう。
地域に複数の整形外科医院があり、どこで診てもらおうかと迷ったとき、患者さんはなにを最初に思い浮かべるでしょうか。
「あそこの先生は話しやすいから」、「近所でも評判がいいから」、「受付スタッフの愛想がいいから」などが思いつくのではないでしょうか。
これらは「信頼・信用」という基盤があってこそ選択されるものであり、新規患者の集患を考えた場合でも、まずは「信頼・信用」を広く構築することが大切といえます。
この機会を得るための方法として、多くの「集客」と自院を「アピール」することが一度に望める公開講座が極めて有効になるのです。
公開講座でおさえておきたい2つの重要なポイント
公開講座は、単に知識や運動方法の伝達ではなく、医師と患者さんの関係づくりが重要になります。
ここでは、開催するにあたりおさえておきたいポイントについて解説します。
●専門的な内容をわかりやすく伝える
テレビやインターネットでも、「医師監修」というワードがあると信用度が増すのと同じで、病気や運動に関しても専門家の言葉というのは説得力があります。
医師やリハビリ専門職の知識を生かし、実際の経験論や学術的な内容も例に出しながら、わかりやすく説明することがポイントです。
このとき意識しなければならないのは、「相手に知識を伝えること」ではなく、「相手が理解して興味を持ってくれるように話すこと」です。
専門分野などについて話すことが大好きな医師は、熱が入りすぎないように注意が必要です。
●参加者との対話が集患力のカギ
実際に、参加者が困っていることに対して専門的な立場からアドバイスができると、その後の診療や治療へとつなげることができます。
以下に、腰痛の予防をテーマにした公開講座の進め方(メニュー例)をあげてみます。
- ◯自己紹介
- ◯腰痛の原因となる病気についての講義
- ◯腰痛予防体操の実践
- ◯お悩み相談コーナー(医師・看護師・リハビリ専門職)
- ◯診療案内パンフなど、リピートにつながる資料を配布
この流れであれば、参加者にとって「気軽に相談できる先生」と感じてもらうことができ、口コミでの情報拡散も相乗して集患力アップにつながります。
増患対策は信用=集患であることを忘れずに
今回は、整形外科医院における増患対策の一つとして、公開講座の重要性についてご紹介しました。
外来リハビリや介護保険事業の展開が広がるなか、こういった間接的なアプローチで集患を図ることも非常に効果的です。
また、地域の方々と顔の見える関係をつくり、「より身近な先生」として記憶してもらうことは、多くの診療所が新規開院されるなかでもなによりの差別化になるといえます。
自院が患者さんの「第一選択」となるように、信用という確固たる土台を築いて集患力アップを図り、安定した経営を行っていきましょう。
参考:
厚生労働省 平成28年(2016)医療施設(動態)調査・病院報告の概況.(2018年5月19日引用)