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クリニックの内覧会で集患を成功させるために必要なのは、効果的なチームをつくること

クリニックの集患対策として内覧会を行うなら、スタッフ全員で目的を共有し、目標を決めて臨みましょう。
本記事では、筆者が看護師の立場で経験した脳神経外科クリニックの内覧会を振り返りながら、内覧会成功のポイントについて考察します。

目的(集患)達成のために、具体的な目標を決める

クリニックにおいて、内覧会は義務ではありません。
開院前の支出を抑えるために実施しないクリニックもあるでしょう。
それでも内覧会を実施するクリニックの最大の目的は集患だと思いますが、集患につなげる具体的な目標を掲げているクリニックは案外少ないのではないでしょうか。
筆者が勤務していたクリニックも当初は「やらないよりはやったほうが集患できるだろう」という程度の考えでした。

●目的は同じでも、目標は一つではない

内覧会についてミーティングをしたときのことです。
看護部の責任者であった筆者は「地域の方々にクリニックを認知してもらう」ことが内覧会の目標だと考えていました。
しかし事務長は「他のクリニックをかかりつけにしている患者さんを流入させたい」という目標を持っていました。
院長はというと「自身の専門や他のクリニックとの違いを紹介したい」というものでした。
内覧会の目的が「集患」だとしても、目的達成のための目標は人それぞれ違うものです。
しかし、目的を達成するためには、チームが目標を一つひとつ達成しながら進んでいく必要があります。
全員が同じ方向に進んでいなければ目標はクリアできませんし、目的には届きません。

内覧会成功のカギはチームが機能していること

クリニックの目標は院長の意思を尊重し「院長の専門分野と、他のクリニックとの違いをアピールすること」に統一されました。
院長は脳神経外科専門医であり、クリニックにはMRIとCTが導入され、手術は行わないまでも病院と同等かそれ以上の診断が可能でした。
地域初の脳神経外科専門クリニックであること、クリニックでしかできないことを地域の方々に認知してもらうためにはどうすればよいかを話し合いました。

●タックマンモデル

チームを組んで目的を達成しようとするとき、ほとんどの場合において、ぶつかり合いながらも徐々に相手を理解し、結束していくものです。
このことは、心理学者のタックマンが提唱した組織進化(チームビルディング)の5段階である「タックマンモデル」でも示されています。

タックマンモデル

形成期 forming メンバー決定
混乱期 storming 意見のぶつかり合い、対立、混乱
統一期 norming チームの目的や、メンバーの役割が明確になる
機能期 performing 結束力が生まれる
目標に向かって機能する
チームとして成果を出す
散会期 adjourning チームの関係が終結

内覧会の目標を決めた時点では「内覧会は院長のためのもの」という意識が強くありました。
内覧会に成功しても筆者にはそれほど利益はない、面倒だとすら考えていました。
チームとしてはまだ機能していなかったのです。

内覧会の目標達成に向けた準備とそれぞれの役割

「お金をかけた派手な内覧会ではなく、伝わる内覧会にしよう」
院長の希望でコンサルタントは入れず、自分たちで調べて準備することになりました。

●パンフレットは手書きで

まずは、クリニックの特徴をアピールするために、内覧会で配布するパンフレットを手書きで作成しました。
院内の設備でどんなことができるのかを分かりやすく解説し、院長のプロフィールと「軽い頭痛でも気軽に相談にお越しください」の一文を添えました。
敷居が高いと思われがちな脳神経外科を、かかりつけ医としての選択肢に加えてほしいと考えたからです。

●良い印象を持ってもらえなければ始まらない

内覧会の前に講師を招いて接遇研修を実施しました。
基本的な接遇マナーはもちろん、内覧会を想定したシミュレーションも実施しました。
声の大きさ、好感を持っていただける笑顔、お辞儀の仕方、患者さんと向かい合ったときの手の位置、ご案内の動作…。
どんなに素晴らしい医師のいるクリニックでも、スタッフの印象が悪ければ患者さんはリピーターにはなってくれません。

●内覧会のお知らせの広告と開催日時

内覧会のお知らせの広告は、オープン1カ月前と内覧会の1週間前の2回実施しました。
2回目は、1回目の広告の見逃しや紛失に対応するためです。
内覧会の開催も土曜日の夕方、日曜日の日中の2日間としました。
ウイークデーが仕事の方も、土日のどちらかならお越しいただけるのではないかと考えたためです。
2回目の広告を入れたあとは、ひたすら内覧会当日の動きを確認しました。
基本の持ち場を決めておき、事務長がフロアを回って応援が必要な場所をサポートすることになりました。
みんなで意見を出し合い、揉めることもありましたが、院長からユニフォームを手渡された頃には全員が「成功させよう」と考えていました。
ミーティングを繰り返し、全員で準備をしてきたことで「院長のクリニック」から「私たちのクリニック」に意識が変化していたのです。
チームが機能できる状態になったといえるでしょう。

内覧会の集患効果

当日はクリニックの一番奥にあるMRI、CT室まで見ていただけるよう順路を設定していました。
検査でなにが分かるのか、かかる時間、注意すること、原則として予約なしで検査ができることを実際に検査室を見ていただきながら説明したかったのです。
病院では予約・検査・結果と、多ければ3度来院する必要があります。
当日に検査できることはクリニック最大のアピールポイントでしたが、検査室を見学した多くのお客様が院長へ質問や感想を話していましたから、十分アピールできたといってよいのではないでしょうか。

●患者数は目標達成

当時、地域で一番来院患者数が多い内科クリニックは1日100人前後でした。
クリニックの黒字経営の目安は1日40人前後です。(こちらの記事、整形外科クリニックを黒字経営にする必須条件は、来院患者数一日40人以上!をご参照ください
MRIやCT検査の単価は高いですが、設備投資の回収もしなければなりません。
このような理由から、1日来院患者数の目標は「安定して60人以上」を設定していました。
実際の数字はというと、開院から1週間ほどは1日100人以上、以後は少しずつ落ち着きましたが、それでも目標は下回りませんでした。

●内覧会の目標も達成

開院後に実施したアンケートの来院理由には

  • ○当日に検査をしてくれる
  • ○病院と同等の検査が受けられる
  • ○ほかに脳神経外科のクリニックがないから
  • ○内覧会でスタッフの感じが良かった

などの意見が多く挙がりました。
内覧会の目標として掲げていたことは患者さんに伝わっており、集患につなげることができたといえます。

効果的なチームが集患の成果を高める

内覧会を開催する上では、何科のクリニックであってもすべきことは同じです。
院長だけが集患を望んでも、スタッフが同じ気持ちでなければ患者さんを呼び寄せることはできません。
スタッフ全員が目的達成のために一丸となって進んでゆける組織をつくること、つまりクリニックのスタッフが効果的なチームとして機能することが大切なのです。

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