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安定経営を握るカギ スマホを持たない高齢患者に院内報やはがきでアプローチ!

増患対策には、より多くの患者にクリニックを知ってもらうこと、アプローチしていくことが大切です。
今回は、調査結果にもとづき、高齢の患者さんに有効なアプローチ方法をお伝えします。

高齢者がハガキや院内報を見ている様子

高齢者の増加は安定経営につながらない!通院頻度は減少している現状

少子高齢化が進む日本。
2025年には、65歳以上の人口割合が2015年の26.8%から30.3%に増加し、日本人の約3人に1人は高齢者になります。

社会医療診療行為別調査によると、外来患者の実数は1999年から2015年までは年平均2.4%の伸びを示していることから、高齢化に伴い医療の需要は年を追うごとに増しているといえます。
そのため、クリニックを経営されている先生のなかには、高齢化によって患者さん全体の数が増えているのだから、クリニック経営も安泰だとお考えの方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、一方でこんな2つのデータがあります。

先ほどご紹介した社会医療診療行為別調査では、同時に診療所にかかる外来患者の延べ数は2002年から2010年まで減少傾向であり、それ以降は盛り返しているものの、平均成長率は+0.3%とほぼ横ばいなのです。
そして、患者さん1人あたりの1カ月の平均来院頻度は、1999年は平均2.3回/月だったのに対し、2015年には1.6回/月と減少しています。

つまり、高齢者数は確実に増えているにも関わらず、患者一人あたりの通院数が減少傾向にあるため、延べ人数は横ばい状態にある、ということがいえるのです。
患者さんの絶対数は増えているのに、患者さんの来院回数が減っている原因として、医療費の自己負担額の増加、さらに処方日数制限が緩和されたことなどが影響していると考えられます。
そのため、クリニックの経営を安定させるには、少子高齢化といった社会情勢の変化に頼るのではなく、クリニック側から地域住民へ積極的にアプローチしていくことが重要となるのです。

高齢患者の情報収集はインターネットよりも口コミやチラシが有効

チラシを熱心に見る老夫婦

インターネットの全盛期である今、多くのクリニックで採用されているのがインターネット上での宣伝および口コミです。
インターネットは幅広い世代に浸透しているため、ネット上で有効な広告活動を行うことは、周知してもらうための重要な手段となっています。
しかし、インターネットでは十分な集患を見込めない年齢層があります。
それが、高齢者です。

総務省の2017年度(平成29年度)情報通信白書によると、13歳から59歳までのインターネット使用率は90%を超えている一方、60代前半で約80%、後半で約70%と右肩下がりとなり、70代では約50%、80代以降では約20%と半数以下という結果がでています。

一方、少し古い資料となりますが、2016年に厚生労働省が提示した資料によると、外来患者のうち75歳以上の高齢者の増加率は約1.5倍と、ほかの年齢層にくらべて大きな伸び率となっています。
これら2つの調査結果からいえることは、インターネット上でいくら宣伝活動を充実させても、今後さらに増加すると考えられる高齢患者には、効果が期待できないということです。

では、インターネットを使わない高齢者は、普段どういったところから情報を入手しているのでしょうか。
2014年度(平成26年度)内閣府の高齢者の日常生活に関する意識調査結果によると、高齢者の情報源はテレビやタウン誌を含む新聞、家族、友人・近所の人、チラシや折り込みを含むダイレクトメール、インターネットという順でした。

つまり、インターネットよりも友人や近所の人、チラシや折り込み広告を含むダイレクトメールの方が、大きな情報源になっているのです。
よって高齢者に対して行うべき対策は、インターネットでの宣伝強化ではなく、友人や近所の人への口コミ、さらにチラシや折り込み広告といったアナログ的な宣伝であるといえるのです。

高齢患者へのアプローチ。送る「はがき」と手渡す「紹介カード・院内報」

では、高齢者の情報源へアプローチするためには、どういった宣伝方法を展開すればよいのでしょうか。
その方法を3つ、ご紹介します。

●初診後通院していない患者さんへはがきを送る

アプローチというと、つい初診患者さんだけがターゲットだと捉えてしまいがちです。
しかし経営をより安定させるために重要なのは、初診以降継続して通院される患者さんなのです。

よって、初診以降来院されていない高齢患者さんに対しては、有効な手段となる「お知らせのはがき」を送りましょう。
はがきなら高齢患者さんの手元に残るため、ダイレクトにクリニックをアピールすることができます。

また、はがきという「残るもの」にすることで、ご本人が友人や近所の人に見せたり、同じはがきを受け取った人と共通の話題で話がはずみ、口コミにつながるといったメリットもあります。

●受付側にて「紹介カード」を配布する

紹介カードを描いている様子

上述したように、高齢者は「家族」や「友人・近所の人」からの評判を情報源としている割合が高くなっています。
そこで、一度来院した患者さんが家族や友人に口コミを広げてくれるように、受付側から直接「紹介カード」を配布するのも効果的です。

この紹介カードとは、洋服店や飲食店のレジ横にあるショップカードをクリニック用にアレンジしたものです。
名詞サイズのカードに、クリニックの名前や診療時間、電話番号のほかに、理念や特長などを見やすく印字しておくことで、患者さんがクリニックの話題をだしやすくなり、その結果クリニックの口コミが広がっていくことが大いに期待できます。

また、この紹介カードはクリニックだけでなく、お年寄りが集まる地域の集会所などにも置いてもらえば、なかなか病院に足が向かないというお年寄りの目にも、触れやすくなります。

●院内報を発行し、お年寄りに「持ち帰っていただく」

口コミを広める方法として、はがきや紹介カードとともに導入したいのが「院内報」です。
この院内報は、いわば院内で発行している新聞で、季節ごとの疾患やその解説などを載せることが多いのです。
高齢者同士の会話のなかに疾患の話題がでた際、その解説が載せてあれば読み進めてもらえるので、クリニックの存在も同時にアピールすることができるのです。

また、スタッフのコラムなども掲載しておくと、来院された患者さんにクリニックそのものに対しての関心を持ってもらうこともできるでしょう。
実際に、院内報を発行したことで初診の方がその院内報を片手に来院した、というケースもあるため、高齢患者さんへの広告効果としては、インターネット以上の反響が期待できるのではないでしょうか。

まとめ

高齢者の割合が増えるなかで、クリニックの安定経営を図るには、高齢患者さんに周知してもらうことが重要です。
はがきや紹介カード、疾病の解説が書かれた院内報など、インターネットありきの現代だからこそ、あえてアナログな広報活動を行うことが、高齢患者さんへのアピールにつながるのです。
今回ご紹介したツールをぜひご活用いただき、先生のクリニックにおける増患対策のお手伝いができれば幸いです。

参考:
総務省 情報通信白書 2017年度(平成29年度)(2018年1月16日引用)
厚生労働省 第294回 中央社会保険医療協議会 資料(2018年1月16日引用)
内閣府 高齢者の日常生活に関する意識調査結果 2014年度(平成26年度)(2018年1月16日引用)
船井総合研究所著:40の困った!をスッキリ解決診療所経営助っ人ツール:日経BP社,東京.2015,pp12-39
小松大介:診療所経営の教科書 第2版:日本医事新報社、東京、2017,pp54-57

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