医療機関の口コミがGoogleマップに?投稿内容や増患対策としてできることを解説
病院やクリニックなど、医療機関の口コミが投稿できるサービスはいくつかあります。
その中でも、Googleマップのレビュー・口コミは、Googleで検索したときにも目立つところに表示されるため、多くの人の目に触れます。
今回は、医療機関に関する口コミの投稿内容や、口コミに関して増患対策としてできることを解説していきます。
医療機関に関するGoogleマップのレビュー・口コミ
まずはGoogleマップのレビュー・口コミがどのようなものか確認していきましょう。
Googleマップのレビューは、病院やクリニックの集客においても無視できない要素といえます。
●Googleマップのレビュー・口コミの概要
Googleマップでは、ユーザーが訪問した場所のレビュー・口コミを投稿することができます。
宿泊施設、スポーツジム、美容院など、さまざまな場所について口コミが投稿されます。
たとえば、飲食店の場合、「夜景が見えてロマンチックだった」「旬の素材を使った料理がおいしかった」といった口コミを投稿することができます。
コメントの記入とは別に、1〜5まで星評価をつけることができ、数値が高いほど高評価となります。
Googleマップに投稿されたレビュー・口コミは一般公開されるため、誰でも見ることが可能となります。
匿名ではなく、Googleのアカウントに登録しているユーザーの名前が表示されます(実名の場合とハンドルネームの場合があります)。
●評価や口コミから病院選びをする人も
Googleマップの口コミには、医療機関を受診したあとの感想も率直に書かれています。
Googleで「◯◯区 内科」などと検索したときには、病院の一覧とともに、Googleマップの評価や口コミも表示されます。
目立つところに表示されるため、これを見て病院選びをしている人も少なくありません。
星評価が「1.0」や「2.0」のように低ければ、何か問題のある医療機関と思われてしまいますが、「4.0」以上など高評価であれば、初見の人からも信頼を得やすくなります。
口コミが少なければ偏った評価である可能性もありますが、ある程度の数の人が口をそろえて述べている感想であれば、信頼に足る情報と判断されるでしょう。
●レビュー・口コミが増患対策の鍵を握る!
レビューや口コミがなかった頃は、医師の腕や評判、経歴などを基準に受診する医療機関を選ぶ方が多かったことでしょう。
あるいは、自宅から一番近い医療機関を選んでいた人もいるかもしれません。
しかし、今となっては、レビューや口コミの影響力は大きくなっています。
増患対策を考える上では、良いレビューや口コミを書いてもらえるような対応を心がける必要があるといっても過言ではありません。
病院やクリニックのレビュー・口コミで投稿される内容
病院やクリニックのレビューや口コミは、ある程度決まった内容について投稿されていることが多いです。
病院やクリニックを評価するときに、患者さんの多くが大切にしているポイントが見えてきます。
1.説明がわかりやすいか
病気や症状に関する説明が「わかりやすいかどうか」を重視する患者さんは少なくありません。
実際、「説明がわかりやすい」という口コミは多く見受けられます。
やはり、説明が論理的でわかりやすければ、患者さんも治療に対して納得できるものです。
医師が症状や検査結果を確認して、「では、この薬を出しておきますね」で終わってしまっては、説明が不十分と受け取られかねません。
検査の画像や数値を用いながら、具体的に説明すると好印象を与えることができます。
病院やクリニックによっては、模型やイラストなどを活用して説明することもありますが、それもわかりやすく伝える手段となります。
2.親身・丁寧な対応か
患者さんは、体のどこかに不調を感じる点があり、弱った状態で病院やクリニックを訪れます。
医師や看護師から同じことを伝えるときでも、話し方や表情で患者さんに与える印象は変わってきます。
「患者の顔を見ない」「雑な対応」「話を聞かない」といった主旨のレビュー・口コミが投稿されることもあるので、親身で丁寧な対応を心がけましょう。
特に、電子カルテが普及した今となっては、患者さんの顔を一度も見ないような医師もいるため注意が必要です。
また、断片的な情報から「風邪」などと決めつけるのではなく、患者さんの話をじっくり聞く姿勢を持つことで、親身で丁寧という印象を与えられます。
3.質問への答え方が適切か
患者さんは医療の専門的な知識がないため、医師や医療従事者からすると、実際とはかけ離れた質問をすることもあります。
そして、業務が多忙で診療を手短に終わらせたいと考えているときに、あれこれと質問を受けると、面倒に感じてしまうことがあるかもしれません。
しかし、患者さんも自信がないなかで、思い切って質問をしているため、そこで一蹴されてしまうと悪い印象を持ってしまいます。
「質問をしただけで医師がいらいらした」「面倒くさそうに答えた」といった内容のレビュー・口コミも存在するため、無意識のうちに態度に現れてしまっている方もいるのでしょう。
患者さんが家に帰ってから「あれも聞きたかった」ともやもやするのを回避するため、質問しやすい雰囲気を作ること、そして手短でも質問には丁寧に応じることを意識しましょう。
4.医療接遇ができているか
病院やクリニックのレビュー、口コミで散見されるのは、「医師や看護師が高圧的」といった内容です。
その人の受け取り方にもよりますが、言葉遣いの悪さや表情の堅さから「高圧的」「威圧的」と思われてしまうことがあります。
また、受付のスタッフが「電話口の声が冷たい」「対応が無愛想」「電話をガチャンと切る」など、ネガティブな印象を持たれ、患者さんの足が遠のくケースも存在します。
特に受付は病院やクリニックの「顔」になるため、感じが悪ければ、受診したい気持ちがなくなってしまうものです。
医療機関向けの接遇研修を行うサービスも存在するため、接遇スキルが不十分と判断されれば、利用してみましょう。
病院やクリニックが増患対策としてできること
病院やクリニックが、Googleマップへの口コミに対して、どのようなことができるのでしょうか。
次に、増患対策の一環として取り組んでいきたいことを解説します。
●口コミを真摯に受け止め、改善のヒントを得る
病院やクリニックのレビュー、口コミから、サービス改善のためのヒントが得られる場合もあります。
医師が診療に集中しているときには把握しきれない部分が、レビューや口コミから浮かび上がってくることもあるのです。
同じような口コミが複数あれば、そのように感じる人が多いということになるので、真摯に受け止めて改善していきましょう。
●Googleマップのレビュー・口コミへ返信する
Googleマップでは、ユーザーから投稿されたレビュー・口コミに対して、ビジネスオーナーが返信できる機能があります。
たとえば、次のような形で口コミに返信することが可能です。
口コミへの返信例 | |
---|---|
「診察が丁寧だった」 | コメントありがとうございます。今後もわかりやすく丁寧な説明を心がけてまいります。診察の中で気になることがあれば、お気軽にご相談ください。 |
「今まで行った病院で一番親身に話を聞いてくれた」 | ありがとうございます。◯◯さんのコメントを励みに、皆様から信頼されるクリニックを目指してまいります。 |
「受付の人の私語が気になった」 | 貴重なご意見をありがとうございます。受付スタッフの私語につきまして、不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。接遇改善に向けた教育に取り組んでまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。 |
ネガティブな口コミが投稿された場合も、「貴重なご意見をありがとうございます」とお礼を述べ、改善に向けて努める姿勢をみせましょう。
ビジネスオーナーからの返信があると、医療の質やサービス向上のため、真摯に向き合っている印象を与えることができます。
そして、「経営者が確認している口コミ」となれば、誹謗中傷などを抑止する効果が、少なからず期待できるでしょう。
●誹謗中傷は削除の手続きをする
Googleのレビュー・口コミに、誹謗中傷に当たる内容が書かれていれば、それだけで患者さんからはネガティブな印象を持たれてしまいます。
「このレビューは気に入らない」「これは都合が悪いから消したい」という理由では、簡単に口コミを削除することができません。
しかし、名誉毀損などに当たる内容があれば、ビジネスオーナーとしてGoogleに削除依頼をしてみましょう。
ビジネスオーナーとして、「Googleマイビジネス」にアカウントを登録しておくと、「不適切な口コミとして報告」することができます。
削除するかどうかはGoogle側の判断となりますが、ひどい内容の口コミがあれば報告していきましょう。
患者さんの声に耳を傾ける姿勢を持つ
同じように対応していても、説明が「丁寧だ、論理的だ」と感じる人もいれば、「雑に扱われた」と受け取る人もいます。
受け止め方は人それぞれであり、万人が満足できる医療、サービスを提供することは難しいことも事実です。
しかし、患者さんの率直な感想や意見に耳を傾ける姿勢はサービス向上のために欠かせません。
病院やクリニックの増患対策においては、さまざまな方法がありますが、Googleマップのレビュー・口コミに関して、できる取り組みをしてみてはいかがでしょうか。
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参考:
Googleマップヘルプ クチコミや場所の評価を投稿する.
https://support.google.com/maps/answer/6230175?co=GENIE.Platform%3DDesktop&hl=ja(2019年8月29日引用)
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執筆者
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作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
保有資格:作業療法士、作業療法学修士