「かかりつけ医」に選ばれるために。クリニックの特色を考えよう。
安定したクリニック経営において集患・増患対策は欠かせません。クリニックが飽和状態の今、いかにして患者様に「かかりつけ医」として選ばれるかが重要な課題です。
私がオープニングスタッフとして勤務していたクリニックも、同じ悩みを抱えていました。地域で長く開業しているクリニックの1日来院患者数に衝撃を受け、ウチは今日何人だったと比べては、一喜一憂していました。
ところが、患者数とは別のところにクリニックの特色を見出し、地域でのクリニックの地位を確立できたのです。今回はその時のことを振り返りたいと思います。
クリニックの役割
私が勤務していたのは、地域で一軒だけの脳神経外科クリニック。流行らないわけがないだろうと、満を持して開院したものです。
院長は患者第一主義の脳外科医。職人気質で融通が利かないタイプ。開院に際し、設備投資は惜しみませんでした。
少し専門的な話になりますが、脳梗塞発症直後はCTでの診断は難しいです。24時間程度経過しなければ病巣がはっきりしません。ところが、MRIなら発症直後でも病巣を確認することができます。
CTとMRI、両方設置することを譲りませんでした。的確な診断をし、病院に繋ぐことがクリニックの役割という思いが強かったからです。
内科には勝てない
頭痛で脳外科を受診する患者様がどれくらいいるでしょう。頭痛ならまず内科を受診、脳外科を勧められてようやく来院という方が多かったですね。
地域には、長く絶大な人気を誇る内科クリニックがありました。なんと、1日の来院患者数は100人だとか。その先生からのご紹介で来院する患者様の多いことといったら。
それでも、クモ膜下出血や脳出血急性期の患者様の診断をするなど、手前味噌ですがレベルが高いクリニックでした。玄人受けはするけど、素人受けはしないといったところでしょうか。
武器はなんだ
地道に頑張っているけれど、設備投資を考えると収入が足りない。誠実な治療をしているけれど患者様は増えない。
院長は医師とはいえ、経営の素人です。理想が高いのは悪いことではないけれど、安定したクリニック運営をできてこそ、ですよね。
院長を中心にスタッフ全員で集まって考えました。ウチの武器はなんだ。
MRIがある。院長の診断は素晴らしい。今まで希望があった時にだけ行っていた脳ドックを、土曜日に予約制で実施してはどうか。
パンフレットを作り、営業が始まりました。少しずつ予約が埋まっていきます。
脳ドックで、脳動脈瘤が見つかった方や、小さな脳腫瘍が見つかった方。血管の狭窄が見つかって指導を受けた方。口コミで脳ドックの評判が広がりました。脳ドックの予約が増えるのに比例して、平日の患者数も増えていきました。
クリニックの特色を考える
どのクリニックも、集患・増患において様々な対策がなされているでしょう。
ホームページの充実や、予約システム導入による待ち時間の短縮。満足度向上などホスピタリティも大切だと思います。
でも、最後に選ばれるのは、このクリニックでなければと思わせる何か、ではないでしょうか。クリニックの勝因は、「自分たちらしさは何か」をスタッフ全員で考えたことだと、私は思っています。