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ドクターショッピングをする理由は、わがままだけ?患者さんの不安や不信感に共感し、患者さんを引き留めるテクニック

まるでショッピングのようにドクターを渡り歩く患者さん。
医療者側としては信頼関係を築きにくそうなイメージですが、逆に貴院を信頼してもらえたら、その患者さんはきっとクリニックの常連になってくれるはずです。
そこで今回は、ドクターショッピングの患者さんを引き留めるテクニックをご紹介したいと思います。

ドクターショッピングをする患者さんは強い不安に襲われている

医療者側にとって、ドクターショッピングをしている人は、患者さんのためにと提案した治療を拒否し、自分の意向にあう診断、あるいは治療法を行ってくれる医療機関を探して受診を繰り返している人、と思ってしまいがちです。
元々、ドクターショッピングとは、医師の診断内容に納得できていない患者さんが行うものです。
よって、医師の診断内容に対し患者さんを納得させることができれば、その患者さんを引き留めることが可能となる、ということになります。
しかし実際に診断内容に対して納得してもらう、というのはたやすいことではありません。
整形外科の場合では、たとえば患者さんは痛みを訴えているものの、画像でも所見でも問題が見られなかったとします。
このとき、患者さんに「痛みがあるとのことでしたが、画像でも所見でも、痛みが出そうな原因は見つかりませんでした」と診断内容をそのまま伝えてしまうと、「痛みがあるのに分からないなんて」と患者さんを納得させることはできません。
このときにポイントとなるのが、受診に来た患者さんは痛みという強い不安に襲われている、という点です。
検査を受けた結果、なにも問題がないという診断を受けたとしたら、「ではこの痛みの原因は何なんだ」というさらに強い不安に襲われる可能性があります。
そしてその不安を解消させる手段として、ドクターショッピングを選択するのです。
つまり、ドクターショッピングをする患者さんとは、より強い不安に襲われている方である、ということになり、その不安をクリニックにおいて軽減させることができれば、患者さんを引き留めることができる、ということになります。

伝えるのではなく、まずは患者さんを受け止める

ではどうすれば、患者さんの不安を軽減することができるのでしょうか。
それは、医療者側がさまざまな情報を伝えるのではなく、まずは患者さんの気持ちや訴えを受け止めることにあります。
先ほどの例では、患者さんが痛む場所について、まず丁寧に問診を行うことで「痛みが起きているという患者さんの現実」を受け入れます。
そして検査などの結果、仮に異常な所見がなかったとしても、痛みが起きているという事実を受け止めた上で、痛みと上手に付き合っていくための提案を行うことが大切となります。
整形外科の場合、多くの患者さんは「痛みが完全になくなること」を目標としています。
患者さんの痛いという気持ちを受け止めつつ、対処法を提示することで、患者さんの不安を軽減させることが可能となるのです。
受診される方のなかには、後期高齢者医療制度や小児医療費の無料化によって、自己負担額が少額で済み、たくさん受診しても自己負担額が少ないために、自分の希望にあった診断をしてくれるまで医師を変える、というケースもあります。
よって患者さんを受け止めるということは、大きく言えばこういったドクターショッピングによる医療費の増大を減らすことにもつながるのです。
患者さんの思いを受け止める上で職員が注意したいポイントについては、こちらの記事(患者さんとのコミュニケーションは表情と声を観察した上で、共感を言葉にすることが重要!)でも詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。

事例から考える、患者さんの受け止め方

ここで一つ、事例から患者さんの受け止め方を考えたいと思います。
糖尿病のAさんは、糖尿病の悪化からインスリン治療を勧められました。
しかしインスリン治療に対し納得できなかったAさんは、B病院を受診しました。
しかしそこでも納得できる治療法を勧められなかったので、さらにCクリニックを受診しました。
さて、みなさんはAさんに対してどのような印象をもたれたでしょうか。
Cクリニックでも、自分のインスリン治療をしたくないという思いから、さらに別の医療機関を受診してしまうのでしょうか。
Cクリニックでは、まずAさんに対し丁寧な問診をしました。
その中で、Aさんはインスリン治療そのものを拒否しているのではなく、インスリン治療がどういうものなのか、なぜしなくてはいけないのかを知らないが故に不安が強くなり、拒否していることが分かりました。
よってCクリニックではまず医師がインスリン注射とはどういう器具を使うのか、どのように行うのか、そしてインスリン治療をなぜ行わなくてはいけないのかについて、詳しく説明しました。
問診と丁寧な説明から、Aさんはインスリン治療の必要性を理解し、治療に同意しました。
そして、Aさんの強い希望から、Cクリニックでは以前通っていた病院からの紹介状を元に、治療を継続させることになりました。
この事例では、Cクリニックで初めて丁寧な問診を行ったことで、Aさんの思いを受け止めることに成功するとともに、インスリン治療の導入、そしてかかりつけ医の変更と、さまざまな点で改善が認められました。
クリニックで患者さんの人数を増やすにあたっては、このように丁寧な問診が重要となるのです。
なお、問診をはじめとする患者満足度を上げるポイントは、こちらの記事(患者満足度を上げるためには、待ち時間の短縮と同時に、わかりやすい説明をすることがポイント!)にて解説しておりますので、合わせてご参照ください。

まとめ

医療者側として、どうしても医師の指示をすぐに受け入れてくれる方を良い患者さん、受け入れてくれない方を悪い患者さんとしてしまいがちです。
しかし、受け入れられない患者さんであっても、気持ちをまずは一度受け止めることで、患者さんとの信頼関係を築き、結果として良い患者さんになってくれる可能性は十分あります。
限られた時間の中でも、ぜひこの患者さんを受け止めるということを意識していただけたらと思います。

参考:
鈴木千春他:整形外科ナースのためのお悩み相談室:整形外科看護:メディカ出版:2015年20巻2号:pp.97-99
坪田康佑:ポイントはここ!かかりつけ医:Nursing BUSINESS:メディカ出版:2016年10巻8号:pp.30-32
佐藤由紀他:インスリン導入をいやがる患者さんのドクターショッピング:糖尿病ケア:メディカ出版:2013年10巻5号
川端恵美子:看護師が知っておきたい更年期女性へのヘルスケア:Nursing BUSINESS:メディカ出版:2011年5巻2号

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