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【高齢者の熱中症対策】なぜ年をとると暑さを感じにくくなるのか?

初夏から秋ごろまでは気温が高く、高齢者は「こもり熱」によって熱中症を発症しやすくなります
特に気温が高くなる真夏は、エアコンに拒否反応を示すことも多く、高齢者の体に強いダメージを与えます。
ここでは、熱中症対策の要となる体温調整についてお伝えします

熱中症になる人の半数は高齢者

総務省の調査によると、2017年5月から9月までで熱中症で搬送された方の数は全国で5万2千984人となっています。
そのうち65歳以上の方は2万5千930人と全体の48.9%を占める驚きの結果となっています。
主な熱中症の症状には以下のようなものがあります。

  • ●めまい、顔のほてり
  • ●筋肉の痛みやけいれん
  • ●体のだるさや吐き気
  • ●汗のかき方がいつもより多かったり、逆に少な過ぎる
  • ●体温が高くなる
  • ●呼びかけに応答しない
  • ●自分で水分が補給できない

高齢者が比較的短時間でこのような状態になるのは、体温の調整がうまくいかず熱が体にこもって体温が高くなる「こもり熱」になりやすいからなのです。
ではなぜ、高齢者は体温が高くなりやすいのでしょうか。

高齢者の体温が高くなりやすい理由とは

人は年齢を重ねると、体の機能が衰えさまざまな変化が起こりますが、「体温を調整する」機能も、そのなかのひとつといえます。
体温調整を行うために必要な機能は3つあります。
それぞれの役割と、機能の変化が及ぼす影響について見ていきましょう。

〇汗をかく機能の低下

人は体温が高くなると、汗をかいて体温を調整しようとします。
ちなみに体重70kgの人の体温を1度下げるためには100mlの汗が必要とされています。
高齢者は、この「汗をかく」という働きが弱く、汗の量そのものも少なくなってしまうのです。
真夏でも汗をほとんどかいていない高齢者がいるのはこのためです。
また、体は高くなった体温を下げるために、汗をかくこと以外にも血液の流れる量を増やそうとします
高齢者では、この血液の流れる量を調整する機能も衰えてしまうため、熱を体の外に逃がしにくいのです。
汗や血液の流れで体温を調整するこれらの働きを「自立性体温調節」といいます。
この自立性体温調整機能の衰えは、外にいるときだけでなく室内でも注意が必要です。
日射しが遮られていても、室温や湿度は外と同じように高くなるからです。
室内にいるからといって油断せず、高齢者がきちんと汗をかいているか否かの確認は、こまめに行うようにしましょう
このとき注意することは次の点です。
露出しているところに汗をかいていなくても、背中や腰などの見えないところに汗をかいている場合がある
目で見るだけでなく、体に直接触れて確認することで、シャツが湿ったままエアコンにあたり、体を冷やし過ぎてしまうといった危険性も回避できます。
もし汗をかいていたら、すぐに着替えてもらうようにしましょう。

〇温度を感じる機能の低下

私たちは皮膚にある「温度センサー」によって気温の変化を感じています。
しかしこの機能が衰えてしまうと、寒さや暑さなどを自覚しにくくなります。
そのため真夏では、室温がかなり高くなっているにもかかわらず、高齢者の方は「そんなに暑くない。大丈夫」とお話される場合がよくあります。
暑さを感じることができないと、エアコンを入れたり、着替えるといった環境に合わせた行動が遅れてしまうことになります。
また、いわゆる「熱帯夜」でも、冷えを気にして、掛け物の枚数を減らすことをためらう高齢者は多くいます。
なかには布団などの掛け物を、肩口までしっかりかけてしまう方もいます。
温度を感じる機能が低下していることで、自分の体温が上昇している原因が掛け物であることに気付くのが遅れてしまい、その結果、熱中症を引き起こしてしまうのです。
実際に、日中よりは少ないですが、21時から0時台に熱中症で救急搬送されるケースもみられています。
エアコンの利用を勧めても「お金がかかる」「冷たい風が苦手」と使いたがらない高齢者も多くいますが、そんなときは「冷房」ではなく「ドライ」に切り替える、扇風機と併用するなどの工夫をされるとよいでしょう。
さらに、こまめな水分補給ができるように、寝る前には枕元に水などを用意しておくと脱水予防になります。
室温と湿度を、感覚だけではなく視覚でもチェックできるように、高齢者の寝室や、普段過ごす部屋に温度計を置いておくのもオススメです。

〇体内の水分量を保つ機能の低下

同じくらいの体重であっても、若い人にくらべると、高齢者は体内で保てる水分量が少なくなります。
それが汗をかきにくい原因のひとつにもなっています。
もともと少ない水分量では、汗をかくとすぐに体内の水分が減ってしまうので、脱水症状に陥る危険性が高くなるのです。
体内の水分量を保つためにも、水分補給は欠かせませんが、高齢になると「のどが渇く」といった感覚も、感じにくくなってしまいます
かといって、一度にたくさんの水分をとることは難しいため、少しずつでもこまめに水分をとってもらうことが大切になります。
高齢者がたくさんの水分をとりにくい原因には、機能低下のほかに「お茶などを飲むとむせ込みやすくなる」ことが挙げられます。
むせ込むとご本人も苦しいので、余計水分をとりたがらないという悪循環になってしまうのです。
むせ込みは、誤えん性肺炎につながる原因にもなるので「たかがむせ込み」と油断せず、口から水分補給を行う際は十分注意が必要です。
そうしたむせ込みやすい方のために、薬局やドラッグストアには水分にトロミをつける介護用食品が売られています。
これらは粉状のものが多く、冷たい水にもすぐ溶けるように工夫されています。
食品の味を変えることもないので、気軽に使うことができます。
また、飲料だけでなく、おやつに寒天を出したり、ご飯を雑炊にして食べてもらうなど、食事からも水分を摂取できるよう工夫をすることも必要です。

これらのいくつもの体温調整機能の低下が重なり、高齢者は体の熱を逃がすことがうまくできなくなっています。
その結果、体に熱がこもってしまい熱中症になるリスクが高くなってしまうのです。

体温調整に対する働きかけは、高齢者の気持ちを尊重することから

高齢者の体温調節は、介護側にとって難しい課題のひとつです。
その原因は、介護者側の気持ちや働きかけと、高齢者側の気持ちと感覚が一致しないことが多いからです。
エアコンを入れる、水分をこまめにとるなどの働きかけを迷惑がる高齢者は少なくありません。
介護者は、高齢者の気持ちを尊重しつつ「安全な暮らし」を支援することが求められます。
機能の低下による「感覚の違い」を理解し、感覚だけでなく視覚でも気温の高さを確認できるようにするなど、まずは高齢者の方に納得してもらえるような方法を試みましょう。
なにより、高齢者ご自身が生活の主役であることを忘れてはならないのです。

参考:
2017年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況 総務省(2018年5月20日引用)
熱中症の症状 熱中症について学ぼう 熱中症ゼロへ (日本気象協会)(2018年5月20日引用)
高齢者の熱中症に注意!! ( 東京消防庁 東京都)(2018年5月20日引用)
体温調節機能が低下してくる 高齢者の体温 体温と生活リズム(テルモ体温研究所)(2018年5月20日引用)
Kaoヘルスケアレポート(花王健康科学研究会)(2018年5月20日引用)

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