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手すりを取り付けるポイントは?高さや位置、種類の選び方を紹介

高齢者になると転倒を防ぐために自宅に手すりの設置を検討するケースが多いです。
しかし、手すりをどこにつけるべきか、どのくらいの高さにつけるのか悩むことも多いかもしれません。
また、縦型や横型などの種類をどのように使い分ければいいのかも難しいところです。
今回は手すりを取り付ける上で知っておきたいポイントを紹介します。

手すりを取り付けるポイントは

手すりの高さは体や動きに合わせて調整しよう

手すりの高さは体や動きに合わせて調整しよう

手すりの高さは一様に同じ高さではなく、一人ひとりの体の特徴や必要な動きに合わせて調整する必要があります。
そこで、高さの基本的な目安と体に合わせて調整する工夫を紹介します。

●基本の高さは「75cm〜85cm」

廊下などで横手すりを利用して移動する場合、しっかり手すりで体を支えるには、肘が少し曲がる程度(約30°)で手すりを握る必要があります。
それを目安にすると、手すりの高さの基本は75cm〜85cmとなります。
また、縦手すりの場合、一番下は横手すりと同じ75cm〜80cmほどから始めて、一番上は肩から10cm程度高い位置にするのが基本です。

●一人ひとりの体に合わせて調整は必要

基本の高さにも幅があるように、人それぞれ体の大きさや特徴に違いがあるため、体に合わせた高さに調整する必要があります。

●動きにあった高さが重要

立った姿勢と歩く姿勢が違う場合、立った姿勢の高さに合わせると、いざ歩くのに手すりを使用した場合、使いにくいといった状況になります。
そのため、どのくらいの高さで支えがあればいいのかを、実際に試して調整する必要があります。
筆者の経験では、壁についている手あかや体を支えることでできた壁の傷などを参考に高さを検討したこともあります。
また、握るのではなく、肘から下の腕全体で支えながら移動する場合は、肘が直角に曲がるくらいの高さ(通常より高め)にする必要があります。
床からの立ち上がりを想定する場合は、縦型を基本の高さより低めにしなければ握り難くなる場合があります。

手すりの種類ごとの性能を知って使い分けよう

手すりには縦型や横型、L字型のようにいろいろな形があります。
また、太さや素材などにも種類があり、それぞれに特徴があります。
そこで、種類ごとの性能と選ぶポイントを紹介します。

●手すりの形の違い、使い分けのポイント

手すりの形の違い、使い分けのポイント

住宅の壁に設置する手すりは大きく分けて、横型、縦型、L字型の3つに分けられます。
それぞれ次のような使い分けができます。

1.横型

横型の手すりは移動の際や座位の姿勢を保つための支えとして使用できます。
たとえば、廊下を伝って歩く場合に横型の手すりをつけることは想像しやすいでしょう。
また、姿勢を保つ場合には、縦型では握って体を支えるだけですが、横型では広い面で支えることができるため、姿勢を安定させやすくなります。
トイレや浴室で座った姿勢を安定させる場合、横型を設置することになります。

2.縦型

縦型の手すりは握って下に引っ張ることで、体を上へ持ち上げる力が発揮できます。
そのため、体を上に持ち上げるような動作が必要な場面で活用できます。
たとえば、トイレの便座からの立ち上がりや玄関の框を上がる場合などは、体を上に持ち上げる必要があります。
その際、脚の力がない場合は、体を上にあげる力が足りないため、縦型を引っ張ることで、手の力で補助して体を上に持ち上げます。
また、トイレや浴室などのドアや戸がある場所への出入りをするために設置する場合があります。
そうすることで、ドアの開け閉めや部屋への出入りが安定して行えます。

3.L字型

狭い空間で縦型、横型の両方のメリットを生かしたい場合は、縦型と横型が一緒になった「L字型の手すり」を設置することになります。
一番よく見かけるのはトイレです。
便座に座った場合に姿勢を安定させるために横型を、便座に座る際と便座から立ち上がる際に縦型を使用するため、一体となったL字型をつける場合が多いです。

●握りやすさには「太さ」、「形状」、「色」の工夫も

握りやすさには「太さ」、「形状」、「色」の工夫も

手すりを使う目的によって、「太さ」や「形状」、「色」を工夫することで、より使いやすくなります。

1.太さは細いと握りやすく、太いと滑らせやすい

手すりの太さは以下の2通りの考え方で選びます。

手すりの太さ 目安の直径 目的
細い 32mm~35mm 立ち上がる場合などにしっかり握って使う
太い 35mm~40mm 歩く場合などに手を滑らせて使う

使用する方の手の大きさによっても握りやすさは違うため、上記の目安を参考にしながら実物を握って確かめることがオススメです。

2.形状は円形が多いが平面や凹凸がついたものもある

もっとも握りやすい形状は円形の手すりです。
しかし、リウマチなどで指が曲げられなかったり、握力がなくて握ることができなかったりする方の場合は、平面型の手すりが活用できる場合もあります。
平面では、手だけではなく、肘から下の腕全体で体重を支えられるというメリットもあり、トイレなど立ち上がりが必要な場所に設置される場合もあります。
また、表面に凹凸がついているものは、指が引っかかりやすいため、より握りやすくなります。

3.転倒予防には色の工夫もオススメ

手すりの色といえば、木材に近い色を使用する場合が多いですが、より見えやすくして掴み損ねを防ぐために、赤のような目立つ色にすることもあります。
また、夜間暗めの場所で使用するときは、暗闇で光る蓄光塗料を使用する場合もあります。
手あかなど汚れが気になる場合は、同じ木の色でも濃いめのものを選ぶのもオススメですが、見えにくい場合もあるので注意しましょう。

動きやすさを考えた手すり配置の注意点

いくら握りやすい高さで、体に合った種類のものを使用しても、動きやすい場所に設置しなければ、生活で必要な動作の助けにはなりません。
そこで、体の動きやすさを考えた配置を事例を交えて紹介します。

●トイレで立ち上がる場合の注意点

トイレで立ち上がる場合に縦型もしくはL字型の縦部分を使用する場合が多いですが、つける位置が便座の真横の場合は、立ち上がりが難しくなります。
なぜなら、スムーズに立ち上がる場合には、体をある程度前にかがめる必要があるためです。
そのため、便座の先端から20~30cm前方につけるようにしましょう。

※自然な立ち上がり方については、「高齢者にお勧めの立ち上がり練習!意外と知らない正しいやり方を理学療法士が伝授します」で解説しています。

●入浴時にまたぎ動作をする場合の注意点

浴槽へ出入りするためにまたぎ動作をする場合、またぎ方によって配置を変える必要があります。

またぎ方 手すりの付け方 理由
立って正面からまたぐ 浴槽側面に縦型 上下移動を安定させるため
立って横向きにまたぐ 浴槽側面に横型 横移動を安定させるため
椅子に座ってまたぐ 浴槽側面に横型
または
浴槽正面にL字型
座位を安定させるため



以上のように、またぎ方によってそれぞれ手すりを必要とする理由が異なるため、手すりの付け方も変えていく必要があります。
浴槽正面のL字手すりは浴槽内からの立ち上がりや浴槽内で座った姿勢を安定させる場合でも活用できます。
その場合は、浴槽の高さから10cm程度高くして蓋の開け閉めができるようにするようにしましょう。

手すりを正しく設置すれば生活が豊かに!悩んだら専門家の助言もオススメ

手すりを正しく設置することができれば、障害があったり、脚の力が弱ったりしても、これまでと同じような動作ができて生活が豊かになります。
そのため、トイレでの立ち上がりや入浴などの生活に必要な動作が難しいと感じたら、今回の取り付け方のポイントを踏まえて検討しましょう。
また、工事で取り付けるような手すり以外にも、福祉用具の手すりを代用できるケースも少なくありません。
もし、手すりの設置に悩んだ場合は、福祉用具の検討も踏まえて、リハビリの専門家や福祉用具の専門業者に相談するのもオススメです。

  • 執筆者

    蔵重雄基

  • 整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
    現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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