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ゴミ屋敷などセルフネグレクトの利用者宅への訪問介護と介護拒否への対応

セルフネグレクトとは、自分に必要な食事や衛生面などを放棄することをいいます。
家族との死別や病気など、さまざまな理由でセルフネグレクトになる高齢者は、介護を受けることすら拒否する場合があります。
この記事では、ゴミ屋敷状態の家に訪問介護に入る際の対応の仕方や注意する点を主に取り上げています。

セルフネグレクト

高齢者のセルフネグレクトとは

高齢者のセルフネグレクトとは

セルフネグレクト状態とは、家がゴミ屋敷のような不衛生な居住環境、入浴しない身体の不衛生状態、疾患を持ちながら医師の治療を拒むこと、金銭管理ができない状態、近所づきあいを拒否するなどのことをさします。

●身体的・精神的な病が原因

高齢になると判断能力や認知機能が衰えるので、かたづけや掃除が次第にできなくなります。
最近は一人暮らしの高齢者が増えていますが、身体的な病で体を動かしにくくなってもプライドや気兼ねで、子供や行政の世話になりたくないと拒否することも多くなっています。
統合失調症やうつ、対人恐怖やアルコール依存などの精神的な疾患が原因で、病院の受診も拒み、引きこもってしまうケースもあります。
またゴミを大切なものと思い、他人が捨てたゴミまで収集する方もいます。

●物のない時代に育ったため捨てられない

戦時中に育った高齢者の方の中には、使わないものでも大切に押し入れや倉庫にかたづけてしまいます。
もったいないという気持ちがあるため、いつまでも処分できずに物であふれます。
子供たちが使わないものを処分しようとしても拒否されます。

●配偶者や親の死別などの大きな出来事が原因

男性の配偶者や父親が死別するよりも、女性の配偶者や母親と死別するほうが、セルフネグレクトになりやすい傾向にあります。
昔は「男子厨房に入らず」と言われて、家事をすべて妻に任せてきた夫は、妻が亡くなった後、掃除、炊事などができずに、ゴミ出しもしないままひどい状態になるまで放っておく場合があります。

セルフネグレクトの高齢者宅に訪問介護で入る

セルフネグレクトの高齢者宅に訪問介護で入る

ゴミ屋敷状態の家に訪問介護に入るには、悪臭、カビが生えたごはん、ネズミの死骸やフン、足の踏み場がないくらい物が散乱しているなどを覚悟して訪問しなくてはなりません。

●自分の身は自分で守る

悪臭対策や自分の身体を守るために、マスクや専用のエプロン、靴下は必ず身に着けましょう。
訪問介護の終了後は、必ず手洗いやアルコール消毒をする習慣をつけましょう。

セルフネグレクト状態の家には、ネズミの死骸やゴキブリ・ダニのフンなど、アレルギー源がたくさんあり、病気の感染源にもなりかねません。
その後にほかの家を訪問する場合は、病気を感染させる可能性もあります。

●ライフスタイルを尊重するが、動線をつくり転倒リスクを減らす

カビが生えた食べ物、物が散乱して転倒リスクが高くても、食事や物を捨てることを拒否することが多いです。
カビが生えている食べ物はカビが生えていることを見せて、納得してもらった上で捨てましょう。
ゴミ屋敷で暮らしている方は、ゴミが無い状態をストレスに感じます。
利用者さんへの関わりは、その人らしく生きることを支援するのであって、ゴミをかたづける支援ではありません。
しかし、最低限、その人らしく生きられるような環境にしてあげる必要もあります。
その人の動線のゴミはかたづけて、転倒リスクがないようにしなくてはなりません。

たとえば、ゴミが多すぎて台所が使えず、お風呂で食器を洗っていた利用者さんがいました。
入浴もままならず衛生面や栄養面での心配があったので、訪問介護のヘルパーが台所のゴミをかたづけました。
捨てられない物は使っていない部屋に移動して、台所を利用できるようにした結果、その人は台所で食事を作るようになり、お風呂で食器を洗うことがなくなり、ゴミも台所に集めて置くようになりました。

●命に関わるリスクがある場合ははっきりと伝える

セルフネグレクトの方は、病気があっても医療機関に通院せず、自覚していないというケースがあります。
命に関わるリスクがある場合は、訪問診療の医師や看護師からバイタルのチェックや検査結果などを明確に説明してもらうことが必要です。
高齢者の方は、専門職である医師や看護師からの説明だと納得される可能性があるからです。

●孤立している高齢者を社会参加ができるように促す

セルフネグレクトに陥る高齢の方は、社会から孤立している場合が多いです。
そのため、孤独死や自死ということになりかねません。
社会参加できるようになると、明るさを取り戻し、少しずつ人と関わりが持てるようになる場合があります。
配偶者や親の死などに直面して引きこもりになった方には、デイサービスやサロン、配食弁当の見守りサービスの提供などで、徐々に社会参加ができるようになると期待できます。

セルフネグレクト利用者の介護拒否への対応

セルフネグレクトの利用者には、地域支援センターの職員の話すら拒否し、訪問介護を入れられない場合があります。
介護を拒否するセルフネグレクトの方への対応は、どこまで本人の意思を尊重して、どこまで介入するかが難しい課題です。

●拒否があり家にあげてもらえない

強制的に訪問介護を入れることはできないので、最初は見守りという形で完全に信頼を得るまで毎回訪問するなどの形しか取れないこともあります。
ゴミ屋敷として近所からも苦情がきている場合では、地域包括支援センターの職員が何度も訪問するうちに、次第に心が開かれ生活保護を受けられるようになり、訪問介護が受け入れられるようになったケースがあります。
訪問介護が入ることで、きちっと食事や水分の摂取ができるようになり、健康状態が回復し、動線の掃除によって転倒リスクが軽減し、居住空間ができるようになります。

●精神疾患があるためコミュニケーションが取れない

統合失調症や被害妄想などの精神疾患があると、ゴミが宝のように感じ、人が物を盗ると思って介護に入れなくなることがあります。
本人は病気だと認識していないため通院が難しい場合、訪問診療で対応することになりますが、それも困難な場合があります。
だからといって訪問をやめると、その人の生活状態がひどくなって孤独死につながりかねません。
最初は「ゴミをかたづける」とか「ゴミを捨てる」という言葉を使わずに、本人が関心を持ちそうな話題からコミュニケーションを取ります。
たとえば、体を心配してきていることや、近くにきたので立ち寄ったこと、趣味の話などから入ると、スムーズにコミュニケーションが取れる場合があります。

セルフネグレクト高齢者には根気強い支援が必要

セルフネグレクト高齢者には根気強い支援が必要

セルフネグレクトの高齢者は介護拒否の方が多いので、訪問介護では根気強い関わりが大切です。
最初は、ゴミのことに触れず、体調や関心のあることからコミュニケーションを取ります。見守りから生活援助などの介護サービスを受け入れられるまで、関わりをやめないことが必要でしょう。

参考:
編 岸恵美子,他:セルフ・ネグレクトの人への支援 ゴミ屋敷・サービス拒否・孤立事例への対応と予防.中央法規出版,東京,2015.

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