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軽度認知障害(MCI)は治る?認知症に進行させないために必要な対策は?

軽度認知障害(MCI)とは認知症を発症する手前の状態であり、軽度の物忘れなどがみられます。
認知症への進行リスクは高いことがわかっていますが、早期発見により改善させることも可能です。
軽度認知障害(MCI)についてお伝えし、進行させないための取り組みについてご紹介していきます。

軽度認知障害(MCI)を進行させないための取り組み

認知症の一歩手前!軽度認知障害(MCI)の具体的な症状

軽度認知障害(MCI)とは、物忘れや同じ会話を繰り返すことなど、認知機能に低下はみられるものの、特に問題なく日常生活を送れている状態を指しています。
認知機能に障害は認められますが、認知症ではありません。
しかし進行する割合が多いことが報告されているため、早期発見が大事であると考えられています。
ここでは具体的な症状についてお伝えしていきます。

●軽度認知障害(MCI)にみられる2つのタイプ

軽度認知障害(MCI)は早期発見によって早期治療ができる可能性も高いことから、その定義について語られることが多くなってきました。
認知症と診断することはできないが、一定の認知機能の低下によって正常であるともいえない状態を指しています。
物忘れなど記憶障害がみられる「健忘型」、注意が散漫になるなどの「非健忘型」の、大きく2種類に分類することができます。
物忘れがみられる「健忘型」の場合、本人が物忘れを自覚していたり、家族が生活の中で気付いたりすることがあります。
ただし「非健忘型」の場合であれば、日常生活は特に問題なく、また会話においてもまったく支障のないことも多いので気付きにくい特徴を持っています。
また高齢者にはさまざまな基礎疾患があり、うつ病や脳血管障害、水頭症など別の病気である可能性もあるために、定義付けが難しい側面もあります。

●「健忘型」「非健忘型」にみられる具体的な症状

次のような具体的な症状がいくつも現れます。

  1. 1)片付けたものがどこにあるのか見つけることができない
  2. 2)同じことを何度も言うようになった
  3. 3)何かに取り組んでも途中までしか続かなくなった
  4. 4)きれい好きだったのに部屋を散らかすようになった
  5. 5)今まで好きなことだったのに関心がなくなった
  6. 6)料理の味付けが変わった

上記の1と2は「健忘型」、3から6は「非健忘型」の症状です。
日常生活は問題なく送れていることから、なかなか気付かなかったり、気付いていても「年齢のものだろう」「一時的なものだろう」と放置されてしまうことがあります。
ただ初期症状であるとはいえ、持続的に症状が続きますので、おかしいと気付いたのであれば専門医に相談するなどが必要となります。

●症状のサインと物忘れとの違い

診断されるケースとして、

  1. 1)主観的に物忘れの訴えがあるかどうか
  2. 2)年齢以上に記憶力が低下している
  3. 3)認知機能の低下が持続している

ことが挙げられます。
単なる物忘れとの違いについては、なかなか判別するのは難しいと考えられています。
誰でも高齢になるに従って、物忘れしやすくなるものですから、「正常」から「認知症」の境界については以前から多く語られている部分です。
しかし年相応にみられる物忘れではありませんから、注意して観察することによって、その違いに気付くことができます。

軽度認知障害(MCI)を疑った場合に注意するポイント

疑いの症状が出現した場合、周りで関わる家族としてはショックが大きく、早く何とかしたいという気の焦りから本人の自尊心を傷つけてしまうこともあります。
そのような行動によって高齢者本人も、物忘れなどの行動を隠そうとしてしまうことがあり、混乱から進行を早めてしまうこともあります。
また必要な受診に応じないような事態が生じることもありますので、うまく関わっていくことが大事になります。

●日常生活の中での「あれっ」と思ったことをメモに残しておくようにする

日常生活においては、今までとの違いを明らかにすることが大事になります。
症状を具体的にメモしておくことで、その違いを明らかにしておくことができます。
たとえば、「しまい込んだものがわからなくなった」「何度も同じことを言う」といった行為があったときに、その状況を記録として残しておきます。
また部屋でボーっとしていたり、部屋が片付いていない状況などを記録しておけば、今後、受診したり介護サービスを利用する際に、担当者に詳細を伝える上でも便利です。

●自尊心には十分配慮すること

疑った場合には、まず本人の自尊心に十分配慮することが大切になります。
周りで関わる家族などにとってショックが大きいことは理解できますが、「認知症を疑われた」ということで本人のショックも計り知れないものになります。
たとえば物忘れによって、同じことを繰り返し聞いてくるような場合においても、はじめて聞いてこられたような対応が必要です。
どこにしまい込んだのか分からない様子であれば、一緒に探してあげるなど寄り添う態度も必要となります。
自分自身も物忘れなど、認知機能の障害に自覚があることが少なくありません。
そのため適切な対処につなげていくためにも、うまく関わることが大事になってきます。

●病院の受診や介護サービスへの流れをつくる

病院に受診することは、高齢者本人にとっては大きなストレスになることがあります。
「認知症と診断されてしまったらどうしよう」と大きな不安があるからです。
そのため家族も受診に付き添うようにして、どうしても拒否される場合でしたら、かかりつけ医の先生に相談したり、地域包括支援センターに助言を求めることも大事です。
背中を押してもらうことによって、高齢者本人も受診を決断することもあります。

軽度認知障害(MCI)の治療に取り組む大きなメリット

治療によって改善の可能性があります。
厚生労働省の調査によりますと、適切な治療によって正常化した人の割合が約4割になっています。
認知症は不治の病というイメージがありますが、早期発見・早期治療によって改善させることが可能なのです。
ただ進行する割合も高いので、うまく治療に結び付けていくことが大事になります。

●認知症疾患医療センターの受診で機能障害の原因を突き止めることができる

認知症疾患医療センターとは、都道府県・指定都市に設置されている専門医療を提供している医療機関です。
早期に受診するメリットとして、別の病気ではないのか確認することができます。
たとえば高齢者に多くみられる「正常圧水頭症」と呼ばれる病気は、よく似た症状が現れます。
脳質の中心部に髄液がたまることによって脳を圧迫し、機能障害を引き起こすのです。
正常圧水頭症による機能障害の場合であれば、髄液を流すためのシャント術と呼ばれる手術を行うことによって治療することが可能です。
また高齢期には「老年期うつ」と呼ばれる、高齢者特有のうつ病によって機能障害が現れる場合もあります。
このような場合においても、薬物治療など精神医療に取り組むことによって改善を図ることが可能です。
ただしいずれの症状においても、放置してしまっては改善しなくなることもありますので、早期治療に取り組むことが大事です。

●軽度認知障害(MCI)本人の不安を軽減させることができる

高齢者本人は、機能障害を自覚していることが多く、「認知症かもしれない」と不安を感じながら過ごしていることも少なくありません。
診断されてしまうことはショックかもしれませんが、早期発見し早期治療に取り組むことはとても重要なことです。
どのような病気であり、どのような治療が必要なのか、どのような生活に取り組んでいけばいいのか知ることができます。
早期治療に取り組めば、改善させることができますから、高齢者自身の不安を軽減させることにつながるでしょう。
そのため認知症になったと諦めないことが大切なのです。

●信頼できる医療・介護サービスとつながることで生活の質を向上させることができる

病気になってから医療に受診する、介護が必要になってから介護サービスを利用するという考えは、とても本人や家族にとって大きな負担となってしまいます。
そのため病気の予防、介護の予防という観点で医療・介護サービスと接することによって、生活の質を維持・継続させることができます。
早期治療に取り組めば、改善させることができますし、健康を維持することができます。
治療に取り組みながら、介護予防に取り組むことによって、心身機能を維持することができますから、治療に対する相乗効果を担うこともできます。
早い段階で信頼できる医療・介護サービスと出会うことは、今後の人生においても大事なことだといえるのではないでしょうか。

軽度認知障害(MCI)で困ったことはかかりつけ医や地域包括支援センターに

軽度認知障害(MCI)は認知症の初期症状であり、進行リスクが高い半面、治療に取り組むことによって改善の可能性も高いことが知られています。
早期発見・早期治療はとても大事です。
機能障害を感じているのであれば、適切な治療に取り組むようにしましょう。
また困ったことはかかりつけ医や地域包括支援センターに相談するようにして、適切に対処できるようにしてください。

参考:
厚生労働省 認知症支援の方法.
https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1h_0001.pdf(2020年4月24日引用)
時事メディカル 適切治療で回復も軽度認知障害.
https://medical.jiji.com/topics/769(2020年4月24日引用)

  • 執筆者

    井上 歳行

  • 特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、介護コンサルタントを行っております。
    保有資格等:介護コンサルタント、主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

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