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フランス生まれの認知症ケアメソッド「ユマニチュード」! 笑顔を取り戻す技法とは

認知症ケアの技法として、ユマニチュードが注目されています。
怒りっぽい認知症の人がユマニチュードケアを行った後、笑顔を見せるようになります。
では、認知症高齢者に効果的であるユマニチュードの意味やその技法についてご紹介します。

フランス生まれの認知症ケアメソッドユマニチュード

フランス人が考えた「ユマニチュード」の意味と内容

ユマニチュードとは、1975年にフランス人のイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏が認知症の高齢者のために作り出したケア技法です。
「ユマニチュード」の意味はフランス語のHumanitude「人間らしさ」から来ています。
もともと、体育学教育に携わっていた2人は、病院職員の腰痛対策に取り組み、病院で寝たきりのまま機械的に介護されている患者を見て、高齢者ケアに取り組みました。
その後研究を重ね、知覚・感情・言語による包括的なコミュニケーションを取るケア技法「ユマニチュード」ができあがったのです。

●ユマニチュードの考え方

以前は高齢者施設や病院では、日本だけでなく海外でも介護する側の都合を優先させたケアが行われていました。
ユマニチュードは、ケアする人とは何か、人とは何かという哲学に基づいています。
介護される側と介護する側が、お互いの関係や絆を言語コミュニケーションや非言語コミュニケーションによって実践している技法です。

つまり、利用者が必要とされているとか、利用者が大切であるという人の尊厳に関わる部分に焦点を当てています。

認知症高齢者の笑顔が増えるユマニチュードケアとは

ユマニチュードケアはいくつもの技法を用いて、あなたが大切な存在であることを相手に伝えます。
高齢になると触れ合う機会が減り、自分の価値観が薄れて意欲をなくし認知症が進みます。

●ユマニチュードの4つの基本動作

ユマニチュードの4つの基本動作

ユマニチュードでは「見る」「触れる」「話す」「立つ」という4つの基本的な動作を柱として、認知症の方にあなたは大切な人であることを伝えます。

1)「見る」

高齢者で認知症の方は視界が狭くなります。
視線がある方向から見ないと視界に入っていないのです。
なので相手と同じ高さの目線で正面から近距離で見ることで、相手は身近な人と感じ親近感を覚えます。

2)「話す」

コミュニケーションは一般に言葉で表しますが、時には指でさしたり握手をしたりなどの非言語で伝えることもあります。
イヴ・ジネスト氏が行ったのは、反応がないと思われる方にも間近で穏やかに優しい声で話しかけ続けることです。
たとえば清拭なら様子をそのまま伝えてオートフィードバックします。
たとえ、相手が無反応な人でも「温かいタオルで顔を拭きますね」「次に首まわりを拭いていきます」「タオルは熱くないですか」などと絶えず声かけをします。

3)「触れる」

相手に何も言わずに触れると、怒ったり嫌な顔をしたりするかもしれません。
触れるときは、指先ではなく優しくできるだけ広い面積の手のひら全体で触れます。
まず肩や腕などから触れていくと、安心感を与えます。

4)「立つ」

高齢者になると、次第に筋肉が衰えてきます。
自力で立つことができない高齢者は、平行棒や手すりなどにつかまって立つ動作をすることで、地に足がついて筋力がつき、骨粗しょう症の予防にもなります。
ジネスト氏は「自分の足で立つことで人の尊厳を自覚する」と語り、1日20分以上立つことを目指しています。

●心をつかむ5つのステップ

ユマニチュードでは、認知症高齢者の心を開くために4つの動作を次の5つのステップの流れで行います。

1)出会いの準備

出会いの準備

ケアに入る前に部屋のドアあるいはベッドをノックして挨拶をします。
ドアを3回ノックする→3秒待つ→何も返事がないならドアを再度3回ノックする→3秒待つ→最後に1回ノックして入室するという流れです。
個室ではない場合に、突然目の前に現れて話かけると驚かせることになります。

2)ケアの準備

ケアの準備

ケアの準備は身体介助を行うために「見る」「話す」によって「あなたに会いにきた」ことを伝え、関係性を築きます。
顔の前で相手の目の高さで見て、3秒以内に話します。
ケアの準備の時間は20秒から3分ほどで、「オムツを交換させてください」などの身体介助をすることを伝えて同意を得ます。

3)知覚の連結

知覚の連結

ケアを心地よく行うために、見る、話す、触れるの2つ以上を行いながら「あなたのことを大切に思っている」というメッセ―ジを伝えます。
介助者が相手の目を見て、話すことと行うことが調和するような行動をします。
たとえば、言葉は優しく話しかけているのに、腕を強くつかんだりすると相手に気持ちが伝わりません。
優しい言葉をかけながら、優しいタッチでオムツ交換や清拭などの身体介護を行うことで心地よいと感じることができます。

4)感情の固定

感情の固定

たとえ認知症高齢者でも、感情は伝わります。
声かけは、プラスの言葉を話すと、話された内容を覚えていなくても良い感情として記憶に残っています。
たとえば「体を拭いたからすっきりしましたね。体を動かしてくれてありがとうございます。」など、ケアが心地よかった良い感情記憶を残しておくと、次回にも受け入れる態度で接することができます。

5)再開の約束

「今日は楽しく歌が歌えましたね」とか「明日も会いましょう」と次の再会の言葉を残します。
話の内容を忘れても、私に会いに来てくれる優しい人という感情は残ります。

在宅介護でユマニチュード技法を用いる

ユマニチュードケアメソッドは、認知症の高齢者も介護職員も介護してよかったと思えるように支援できることが目標です。
フランスの長期療養施設では、ユマニチュードを実践して認知症の人の向精神薬が4割削減、急性期病院への搬送が6割減少しています。

●在宅介護でユマニチュードを実践する

在宅介護でも「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの視点から離れた行為はユマニチュードに反します。
調理をしながら背を向けて話すことは伝わらないので、頃合いを見て手を止めて20㎝ほどの距離で目を見て話します。
また、何も言わずにぎゅっと腕をつかむ行為はユマニチュードに反します。
触れることは、相手に心地よいと感じさせ、信頼関係を培う機会なので、相手の目を見て、話をしながら優しく手のひらを添えるように持ち、相手がリラックスできるケアを行います。
それによって、介助をしてもらって良かったという気持ちが残り、次のケアも来てほしい、この人なら安心できるという感情が残ります。
ユマニチュードを実践することで、暴言を吐いていた人が穏やかになり、入浴を嫌がり大声をあげていた人が「ありがとう」と返事をするようになりました。
「立つ」ことを実践した結果、寝たきりだった人が歩けるようになったという結果もでています。

ユマニチュードで認知症高齢者ににこやかな笑顔を取り戻そう

ユマニチュードは、すでに10カ国の医療施設や介護施設で導入されています。
数々の効果がでているユマニチュード技法は、認知症高齢者がますます増えると予想される日本において、注目されているケア方法です。
在宅介護で、ケアされる人もケアする人も双方にプラスとなるユマニチュードケアメソッドを取り入れてみませんか。

参考:
ヘルプマンジャパン 誰もが学べ、実践できるユマニチュード。5つのステップで患者の心に近づく.(2020年5月3日引用)
プラウドライフ株式会社 コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード」の実践に向けた取組み開始のお知らせ.(2020年5月3日引用)
総合メディカル株式会社 ユマニチュードとは?認知症の方に有効なケアメソッド.(2020年5月3日引用)
NHKクローズアップ現代「見つめて触れて語りかけて~認知症ケア“ユマニチュード”」

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