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浴室に手すりを設置するポイントとは?位置や高さ、種類の選び方を解説!

寒くなってくると浴室内での事故が増加し、転倒・転落はその後の人生に大きく関わってきます。
浴室は廊下や居室にくらべて床がぬれていたり段差が大きいためバランスを崩しやすく、転倒に至る可能性が高い場所です。
今回は安全に安心して入浴ができるための手すりを設置するポイントを紹介します。

浴室内の事故の予防策のひとつ 手すりの設置するポイントを解説

手すりを設置する前に確認すべきこと

手すりを設置する前に確認すべきこと

浴室の床はぬれていたり、せっけんの洗い残りで滑りやすい環境になっています。
浴室や脱衣所に手すりを設置するには2つのことを確認します。

  1. 1)患者さんの入浴動作(衣服の着脱を含む)の一連の流れを確認
  2. 2)動かしづらいほうの手足を確認

入浴動作を細かく分けると、衣服の着脱や身体を拭く動作、浴室の扉の開閉、浴室内の移動、シャワーチェアなどへの立ち座り、浴槽をまたぐ動作に分けられます。
一連の動作でどこに困難さを感じているのかを確認することが必要です。
動作の中でふらつきがある場所や手をついている場所は手すりを設置する目安になります。
動かしづらいほうの手足を確認することでどこにどのような手すりを設置すれば良いのかを判断することができます。

●入浴動作の一連の流れを確認する

入浴するときの一連の動作は大きく5つの動作に分けられます。

  1. 1)衣服の着脱や身体を拭く動作
  2. 2)浴室の扉の開閉
  3. 3)浴室内の移動
  4. 4)シャワーチェアなどへの立ち座り
  5. 5)浴槽をまたぐ動作
  6. 6)浴槽につかる、浴槽から立ち上がる動作

6つの動作でふらつきや動作の困難さを感じている場所に手すりを設置することで安全に動作ができるようになります。
浴室内での動作は床が滑りやすくなっているため、特に転倒の危険性が高いです。
浴室の壁をつたい歩きしていたり、タオルかけやシャワーヘッド、蛇口を支えにして動作をしていたりする方は多いです。
壁や蛇口から手が滑ったり、タオルかけやシャワーヘッドが取れてしまったりすると、転倒する可能性が高まります。
ふらつきや困難さが生じている場所や手で支えにしている場所を確認することは、手すりを設置する目安になるので必ず確認しましょう。

●動かしづらいほうの手足を確認する

動かしづらいほうの手足を確認することは浴槽のまたぎ動作を安全にするときに重要です。
浴槽に足を入れる順番は良いほうの足から入って、良いほうの足から出るのが原則です。
特に脳血管障害などで片麻痺がある場合、お湯の温度がわからなかったり、浴槽内で踏ん張れなかったりする可能性があるので必ず確認しましょう。

動作別、手すりの設置位置・高さ

動作別、手すりの設置位置・高さ

浴室での動作は前の章で述べた通り、大きく6つの動作に分けられます。

●衣服の着脱や身体を拭く動作

衣服の着脱や身体を拭く動作は立ってする場合と座ってする場合がありますが、どちらであっても縦手すりを設けると立ち座りや、身体を拭いたり、下衣を上げ下げしたりする動作が安全にできます。
手すりの設置位置は浴室の扉の横に長さが50〜60cmの手すりを設置すると良いです。
高さは立っている状態でも座っている状態でも使える高さに設置すると良いです。
脱衣所からの扉の開閉や脱衣所内で椅子に座る場合の方向転換にも使うことができます。

●浴室の扉の開閉

浴室の扉の開閉はバランス機能が必要となる動作です。
特に、片開き扉の場合は開け閉めをするときに前後の重心移動が大きくなるため転倒の危険性が高いです。
安全に扉を開閉するには縦手すりを設置するのがおすすめです。
縦手すりを設置する場所は扉の横に、立った状態で肘を90度曲げた位置を中心に長さ50〜60cmの手すりを設置すると良いでしょう。

●浴室内の移動

浴槽内の壁をつたって歩いていたり、タオルかけを支えにして歩いていたりする方には横手すりを設置することで安全に浴室内を移動することができます。
壁は蒸気や水滴でぬれていて滑りやすく、タオルかけは体重をかけすぎると外れてしまう危険性があります。
安全に浴室内を移動するには、立った状態で自然に腕をおろしたときの手首の高さに横手すりを設置すると良いでしょう。

●シャワーチェアなどへの立ち座り

シャワーチェアなどへの立ち座り

立ち座りにふらつきや不安がある場合やシャワーヘッドや蛇口を支えにして立ち座りをしている場合は縦手すりを設置すると安全に動作ができます。
シャワーヘッドや蛇口から手が滑ったり、シャワーヘッドが取れてしまったりすると転倒の危険性があります。
立ち座りを安全にするには、前方に50〜60cmの縦手すりを設置すると良いでしょう。
立った状態でも座った状態でも使える高さに設置します。
この縦手すりは浴槽をまたぐ動作でも代用できます。

●浴槽をまたぐ動作

浴槽をまたぐ動作はバランス機能や足の筋力が必要な動作です。
シャワーチェアへの立ち座りと同様、シャワーヘッドや蛇口を支えにしていたり、浴槽のヘリを支えにしていたりする方が多いです。
シャワーヘッドや蛇口、浴槽のヘリから手が滑ったり、シャワーヘッドが取れてしまったりすると転倒の危険性があります。
浴槽をまたぐ動作を安全にするには、縦手すりやL字型手すり、縦手すりと横手すりの組み合わせを設置すると良いでしょう。
L字型の手すりや縦手すりと横手すりの組み合わせの利点は、身体を支える「面」の広さが大きくなり動作が安定して行えることです。
バランス機能や足の筋力に不安がある場合に最適です。

手すりを設置するときには「浴槽の高さ」も重要です。
現在はユニットバスが主流となっており、浴槽のまたぎの高さが内と外で違いがなく、約50cmほどの浴槽が多くなっていますが、昔に建てられた家の浴槽はまたぎの高さが内と外で大きく違う場合があります。
浴槽の底と洗い場の床の高さに大きく違いがある場合は、よりバランス機能や足の筋力が必要となります。
浴槽のヘリと同じ位置に縦手すりを設けてしまうと浴槽から出るときに足の力だけではまたぐのが困難な場合があるため、高さに違いがある場合は洗い場側に10〜20cmほど縦手すりをずらして設置すると腕の力も使って安全に浴槽をまたぐことができます。

脳血管疾患などで片麻痺がある場合は、浴槽の前方、後方にそれぞれ手すりを設置すると安全に動作ができます。
片麻痺がある方が浴槽の出入りをする場合は、原則として良いほうの足から浴槽に入り、良いほうの足から出ます。
良いほうの足から入ることでお湯の温度を確かめることができ、良いほうの足から出ることでまたぎ動作での踏ん張りが効きやすくなります。
身体の機能に合わせて設置を考えましょう。

●浴槽につかる、浴槽から立ち上がる動作

浴槽につかる、浴槽から立ち上がる動作

浴槽につかる、浴槽から立ち上がる動作では浴槽のヘリや蛇口を支えにしていることがあります。
ヘリや蛇口から手が滑ってしまうと後方に倒れて浴槽で頭を打ってしまう可能性があります。
浴槽につかる動作や浴槽から立ち上がる動作を安全にするには浴槽の横の壁に縦手すりやL字型手すりを設置すると良いです。
手すりの位置は縦手すりが座った状態で前方に手を自然に伸ばした場所に設置するとスムーズに立ち座りができます。
縦手すりが近すぎると腕のひっぱる力がうまく使えません。
L字型手すりの場合は横手すりが浴槽のヘリから20〜30cm上になるように設置します。
横手すりが低すぎると風呂蓋が閉められない可能性があるので注意が必要です。

手すりを設置して転倒を予防し、ゆったりとしたバスタイムを

手すりを設置して転倒を予防し、ゆったりとしたバスタイムを

寒い時期になると浴槽につかって身体を温めたいと思う方は大勢いると思われますが、浴室で転倒しないかという不安を抱えている方も大勢います。
冬場は身体が冷えた状態になりやすいため、筋肉が縮こまった状態で動くことになり、転倒の危険性が高まります。
手すりを設置することで転倒を予防し、安全に動作ができるようになり、転倒に対する不安を軽減することが期待できます。
適切な位置に手すりを設置して、安全に、安心してゆったりとしたバスタイムを過ごしましょう。

  • 執筆者

    田中孝尚

  • 大学を卒業後、作業療法士免許を取得。急性期病院やデイサービス、福祉用具・住宅改修業者での勤務を経て、現在は精神科病院にてリハビリ業務に従事。心身の健康や在宅で安全に安心して暮らせる方法をわかりやすく丁寧にお伝えします。医療従事者の方々の健康にも焦点を当てていきたいと思っています。

    保有資格:作業療法士、重度訪問介護従業者、福祉住環境コーディネーター2級

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