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精神保健福祉士(PSW)とは?うつや認知症などによる療養中の困りごとをサポート!

うつや認知症など心の不調や精神疾患は休職による収入減・家族の悩みも出てきます。
コロナ禍の失業や環境変化で心の不調を抱える方もいます。
そんな時、受診先で経済面なども相談できるのが精神保健福祉士(通称PSW)。
役割や相談の仕方を説明します。

精神保健福祉士は何をする職種?

精神保健福祉士(PSW)は何をする職種?

精神保健福祉士(PSW)は何をする職種?

精神保健福祉士は、社会福祉士・介護福祉士と並ぶ福祉分野の国家資格です。
もともと心の病の方の相談にのる職種は1950年頃から「精神科ソーシャルワーカー」(PSW:Psychiatric Social Worker)という呼び方で医療チームに加わっていました。
日本では1997年に国家資格の「精神保健福祉士」が誕生し、規定の養成課程を終えて国家試験に合格した人は精神保健福祉士の名称を名乗れるようになりました。
(精神保健福祉法に基づく資格です)
今は精神科関連の病院や福祉施設で相談員を採用する場合、精神保健福祉士の国家資格保有者が求められることが多いですが、院内での呼び方は「PSW」が浸透しています。
社会福祉士も福祉分野の相談を受ける国家資格ですが、精神保健福祉士は精神医学や精神科特有の社会問題についても学んでおり、心の病気の方を支える専門の訓練を経ています。
精神保健福祉士は投薬などの「治療」は行いませんが、患者さんの困りごと解消の手助けや、医師や医療チームと退院・社会復帰の妨げとなる課題を確認し、対策を用意します。

<精神保健福祉士の役割>

  1. 1)患者さんが治療を受ける間の権利を守る
  2. 2)本人や家族の療養中の不安を解消するような相談支援(制度・施設紹介やアドバイス)
  3. 3)医療チームの一員として、安心して仕事復帰や社会参加できるための計画を行う
  4. 4)家庭や職場など患者さんの周りの環境を調整し、不安な点を一緒にトレーニングする

閉鎖病棟にこんなイメージを持っていませんか?

メンタル関係の病気や障害の場合、症状によっては周囲から偏見を受けるケースもあり、また症状が強いと一時的に閉鎖病棟への入院などのデリケートな課題も。
精神保健福祉士は、病院で患者さんの権利が守られながら治療が行われているか医療チームと確認し、一般の方には病気についての正しい理解がされるよう努めます。
そしてメンタルの病気では治療や薬以外の困りごとの解決も、症状改善や再発防止に影響するので、安心して療養できるよう幅広くお手伝いしています。

精神保健福祉士はどこで働いている?

そんな精神保健福祉士が働いているのは

  • ○精神科のある病院やクリニック
  • ○デイケアや入所施設
  • ○役所や精神保健福祉センターなど行政機関の窓口
  • ○相談支援事業所や地域活動支援センターなど相談機関
  • ○介護保険施設や地域包括支援センター
  • などです。

病院や相談機関では経済的な不安や退院後の居場所などの支援策を考えたり、デイケアや入所施設・地域活動支援センターなどでは再発を防ぐためのプログラムや生活訓練もします。
精神保健福祉士は相談にのるだけでなく、長期療養後に一人暮らしをしたい患者さんの料理訓練、お金の管理の練習も行うなど「治療後の地域での暮らし」も支援するのが特徴です。
医師やスタッフに「このことについて相談したいんですが…」といえば精神保健福祉士(いなければ社会福祉士など)の相談員を呼んでもらえます。
総合病院では「医療相談室」などでも相談できます。

病院の相談室についてはこちらの記事でも説明しています

似ている他職種との違い

似ている他職種との違い

精神保健福祉士と混同されがちな似た職種に「社会福祉士」「心理カウンセラー」があります。
社会福祉士との違いは、社会福祉士は内科・外科・小児科・児童福祉・高齢者福祉など幅広く生活相談にのりますが、精神保健福祉士は主に精神科領域の患者さんに関わります。
社会福祉士養成カリキュラムでは福祉分野を幅広く学ぶ一方、PSWを目指す人は精神医学や精神科リハビリ、精神科実習も専門に学び、医療スタッフと協力できる知識を付けます。
(社会福祉士と精神保健福祉士、両方の資格を持っている人もいます。)
心理カウンセラーとの違いは、カウンセラーが心理学で心の悩みを解決する手助けをするのに対し、精神保健福祉士は生活の悩みや社会復帰・退院への不安などの相談にのります。

具体的にどんなことをサポートしてくれる?

では具体的に精神保健福祉士がどんなサポートをしてくれるのか事例をみてみましょう。

●うつになり休職している間の経済的な不安をサポート

うつや心の病気になると、休職を医師に勧められる場合があります。
休職すると収入が途絶えて生活が厳しくなるため、患者さんがそうした不安を医師に伝えると病院やクリニックでは精神保健福祉士が呼ばれて相談にのることがあります。
「通院医療費の軽減制度」や「傷病手当金」の申請方法やいつ頃まで受けられるか、受けるときの注意点などを説明し窓口を紹介します。
また、長く病気が治らない場合は医師と病気の程度を確認して「障害年金」の申請方法を説明したり、一緒に書類記入をチェック、わからないことを窓口に確認したりもします。
「症状が改善してきたけどいきなり復職は怖い、でも日中どこか出かけてみたい」と思えるようになれば、医師と話し合い、生活リズムをつくる練習として通える施設も紹介します。
病気が良くなってからもフォローしてくれる相談機関の紹介も可能です。

●認知症の通院患者さんが入院するときのフォロー

認知症の症状が悪化すると、医師から「一度入院して治療しましょう」と言われることもあります。
認知症にも対応する精神科病院に患者さんが入院するときには、精神保健福祉士も入院のサポートをします。
激しい徘徊や暴力があるなど、症状が重くなった患者さんの場合、医師の判断で安全のため鍵のかかる病棟で様子見することもあり、その場合家族の不安も丁寧にお聞きします。
鍵がかかる病棟でも電話はかけられること、症状が安定すれば鍵のない病棟に移れたり退院やほかの施設に移ることもできたりすることなど、心配に応じて医師と詳しく説明します。
入院中、医師や病棟スタッフに伝えにくい疑問や意見があった場合も、相談にのり病院との橋渡し役になりますし、介護保険や医療費の相談にものります。
退院できることになったら、医師と相談し、本人やご家族の希望を聞きながら退院後も通える施設や訪問サービスの紹介も行います。
希望があれば同じ病気の患者さんや家族の集まりなども紹介します。

こころの病気になっても、スタッフみんなで支えます

メンタルの病気は他人に相談しにくく、家族も孤独に悩みがち。
さらに休職などの影響で収入や今後への不安も出ます。
まずは受診し治療を受けつつ、生活面・経済面の困りごとはぜひ精神保健福祉士など相談員に話してみてください。
うまく話せなくても一緒に課題を整理して方法を考えますし、家族からの相談もOKです。
病気が良くなるよう、そして生活全般の不安や困りごとが解消されるよう、医師や病院スタッフとともに応援します。

参考:
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 精神保健福祉士について(2021年2月22日引用)
厚生労働省 精神保健福祉士について(2021年2月22日引用)

  • 執筆者

    湖上ゆうこ

  • 大学の社会福祉専攻を卒業後、内科・リハビリ病棟から精神科まで担う医療法人でソーシャルワーカーを勤めました。医療相談・地域連携をはじめ、入所施設の当直シフトもこなしていました。出産後はライターに転身。我が子の療育先で「やっぱりケアの専門職はすごい!」と感嘆する日々。多くの患者様やご家族の声に向き合った経験を活かし、一般の方には分かりやすい制度や社会資源の説明を、経営者・施設職員・コメディカルの方には明日の実践のヒントとなる情報をお届けします。

    保有資格:社会福祉士、精神保健福祉士

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