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公的扶助 障害者手帳

障害者手帳は身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類。違いやメリットを紹介

脳梗塞の後で体に不自由が残ったり、認知症で困難が増えたりしたときにも取得できる障害者手帳。
臓器機能障害など幅広い障がいが対象で、ぜひ活用して頂きたい制度です。
手帳の種類、対象となる障がいの違いや手帳を取得するメリット・デメリットを説明します。

障害者手帳の違い 知っていますか?

障害者手帳は「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類!

「障害者手帳」とは、次の3種類の手帳をまとめた呼称です。

  • 身体障害者手帳(身体機能の障がい)
  • 療育手帳(知的障がい)
    ※自治体によっては「愛の手帳」とも呼ぶ
  • 精神障害者保健福祉手帳(精神障がい)

これらの障害者手帳を持つことで国や自治体・企業が提供するサービスを利用できるようになります。
2005年4月からは発達障がい者も「療育手帳」か「精神障害者保健福祉手帳」を取得できるようになっています。
なお障害者手帳の大きさや色などは自治体ごとに違い、以前は手帳の種類によってカバーの色が別々でしたが、最近は3種類の手帳カバーの色を統一する自治体も増えています。
たとえば大阪府が発行する障害者手帳は3種類とも青いカバーに統一され、障がいの種別にかかわらず必要なサービスが提供されるようになっています。

たとえば大阪府が発行する障害者手帳は3種類とも青いカバーに統一

各手帳の対象となる障がいや等級(障がいの程度)は?

それぞれの手帳の対象となる障がいや等級は以下の通りです。

身体障害者手帳 療育手帳(愛の手帳) 精神障害者保健福祉手帳
手帳の根拠 身体障害者福祉法 「療育手帳制度について(昭和48年厚生事務次官通知)」に基づく各自治体の要綱 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
交付する人 ・都道府県知事
・指定都市の市長
・中核市の市長
・都道府県知事
・指定都市の市長
・都道府県知事
・指定都市の市長
障がい分類 ・視覚障害
・聴覚・平衡機能障害
・音声・言語・そしゃく障害
・肢体不自由
・心臓機能障害
・腎臓機能障害
・呼吸器機能障害
・ぼうこう・直腸機能障害
・小腸機能障害
・HIV免疫機能障害
・肝臓機能障害
知的障害 ・統合失調症
・気分(感情)障害・非定型精神病
・てんかん
・中毒精神病
・器質性精神障害(高次脳機能障害、認知症を含む)
・発達障害
・その他の精神疾患
等級 1級~7級(重度~軽度)
※7級は2つ以上の障害重複で6級扱いとなり手帳交付
重度・中度・軽度
(重度から順に「A1・A2・B1・B2」や「 Ⓐ・A・Ⓑ・B」と区分する自治体も)
重度(1級)・中度(2級)・軽度(3級)
申請できる時期 障がいが固定されてから
(障がいによるが治療から約3カ月後・6カ月後など)
制限なし
(何歳から判定可能かは自治体による)
初診から6カ月以上たってから
判定する人・
診断書作成者
都道府県知事や指定都市長等が指定する「指定医」が診断書を作成 各自治体のこども家庭センター・障がい者自立相談支援センター等で判定 精神保健指定医等が診断書を作成

(※厚生労働省ホームページ「障害者手帳」のページを参考に作表)

実際は手帳の対象となる障がいの範囲(程度)には細かな規定があり、自治体のサイトで確認できるところもありますが、主治医に該当する見込みがあるか聞いてみるのが一番です。

なお障害年金と障害者手帳の等級は必ずしも一致しません。
障害年金は国民年金法・厚生年金保険法という手帳とは違う根拠法による基準で支給決定され、等級も障害基礎年金は1~2級、障害厚生年金は1~3級の区分で、手帳とは異なります。
障害者手帳と障害年金の両方申請する人もいますが、等級や申請手続きは別々になるのでご注意ください。
※一部自治体では障害年金を既に受給していれば障害年金証書を手帳診断書の代わりに申請に使用できるところもあります。

取得するメリット・デメリットは?

取得するメリット・デメリットは?

障害者手帳を取得するとデメリットはあまりなく、メリットが多くなります。
具体的には以下のようなメリット(利用可能なサービス)・デメリットがあります。

●障害者手帳を取得するメリット

<障害者手帳を持っていると受けられるサービスや制度>

サービス内容 利用の具体例
税金の控除・減免 所得税・住民税・相続税・贈与税の控除、自動車税・自動車取得税の減免など
国の福祉手当の受給 「特別障害者手当(20歳以上に支給)」
「障害児福祉手当(20歳未満に支給)」
「特別児童扶養手当(20歳未満の児童の父母等に支給)」など
例)「特別障害者手当」を受給
=月額27,350円(令和2年4月適用の金額)
自治体の福祉手当の受給 「在宅心身障害者手当」
「在宅重度障害者手当」
「心身障害者福祉手当」など
例)「大阪府重度障がい者在宅生活応援制度」を受給
=月額10,000円
NHK受信料の減免や携帯電話料金の割引 NHK受信料の全額・半額免除、携帯会社の割引サービスなど 例)NTTドコモ「ハーティ割引」の利用
=基本使用料の割引、機種変更の手数料無料など
交通機関の運賃・通行料の割引 JR・飛行機・バス・船舶・タクシーの運賃割引、有料道路通行料割引など 例)JR東日本「普通乗車券」身体障害者割引
=50%割引
(規定に該当する障害者と介護者に適用)
住宅関係の優遇 公営住宅への入居の優遇、重度障害者の住宅改造費の補助など
医療費の助成 自治体の「障害者医療費助成制度」利用 例)川崎市「重度障害者医療費助成事業」
→医療費自己負担額を助成
(身体1~2級、療育手帳Aなど)
日常生活用具・補装具の交付 障がいに応じた補装具(義肢・車いす等)や特殊ベッドなどが1割負担で利用可
映画館・美術館・テーマパークなど入館料の割引 公共・民間の映画館・美術館・博物館・テーマパークなどの入館料が割引に
(付き添いも割引対象となる施設も)
例)東京ディズニーリゾート「1デーパスポート(障がいのある方向け)」
→障害者手帳所持者1名につき同伴1名も購入可能

(「障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて」p75を参考に作表)
※金額やサービス内容は2021年3月時点のものです
※障害者手帳の種類や等級によっては受けられないサービスもあります
※受給要件に所得制限のある制度もあるので申請窓口でご確認ください

このように障害者手帳があると経済的な負担を軽減できるだけでなく、外出時の金銭負担も大きく減らすことができます。
障がいがあると外出が大変に感じることもありますが、手帳を持つことで多くの交通機関や施設で割引を受けられ、付き添いの分も安くなります。
障害者手帳を取得することで、どんどん外の世界に出かけてみたいという意欲につながり、楽しみを持ちながら生活できるようになる点が、最大のメリットかもしれません。

●障害者手帳を取得するデメリット

障害者手帳を取得するデメリット

障害者手帳を取得するデメリットというのはあまりありませんが、人によっては以下のような懸念があり手帳を申請しない人もいます。

  1. 1)手帳を取得することで障がいがある事実を突きつけられるのがつらい
  2. 2)手帳を使うところを見られることで障がいがあることを他人に知られたくない
  3. 3)手帳のカバーの色で何の障がいがあるのか周りにわかってしまうのが嫌
  4. 4)定期的に「更新」手続きが必要

確かに、障害者手帳の申請では検査や面談など障がいの程度を明確にするプロセスがあるので、それを受けたくない、手帳に等級がはっきり書かれるのを受け入れがたい人もいます。
そういう方は「持つほうが便利かな」と思えるときまで取得しないという選択もいいでしょう。
なお手帳を取得するデメリットが気になる方は、以下の情報も参考に判断してください。

○障害者手帳は取得しても手帳を他人に見せなければ持っているとわからない!

取得して手当の受給や各種減免に役立てて、家からは持ち出さない、という利用の仕方も可能、不要になれば更新しなくてもいいし返還も可。持つか持たないかは本人の自由。

○手帳カバーの色で「知的障害は〇色」「精神障害は〇色」など周りからわかってしまう?

→たしかに障がいの種類によって手帳カバーの色が違う自治体もあるが、冒頭でも触れた通り近年では障がいの種別にかかわらず手帳カバーの色を統一する自治体も増えており、最近は市販でオシャレな「手帳カバー」も販売されている
お出かけを便利に楽しく!両面窓の手帳ケース(フェリシモ)
おしゃれな牛革製「障害者手帳カバー」が評判(福祉新聞)
※これらのグッズを使うと普段は定期入れのように見え、必要なときには入館施設の窓口やバス運転手だけに見えるよう提示できる

○障害者手帳の更新は毎年?

身体障害者手帳は原則更新が不要
療育手帳は18歳未満だと約2年ごと、40歳未満で10年ごとなど自治体によって決められた時期に再判定が必要となることがある。
精神障害者保健福祉手帳はだいたい2年で更新手続きが必要だが、症状が大きく変動していなければ更新後も概ね以前の等級が継続される。
いずれも更新は受付窓口やかかりつけ病院でもサポートするので、負担も大きくない。

障害者手帳をうまく活用し暮らしを楽しみましょう

障がいがあると生活に制約ができたり周りからの目も気になったりと本人も家族も生きづらくなることがあります。
しかし障害者手帳を持つと経済的に多くのメリットを受け取れ「ちょっと旅に行ってみようか」という気持ちも後押ししてくれます。
「未来に楽しみな計画を持てる」ことは暮らしに楽しさをもたらします。
手帳を取得するかは自由なので、いつでも持ちたいと思ったときにかかりつけ医や近くの役所に相談してみてください。

参考:
厚生労働省 障害者手帳(2021年3月5日引用)
厚生労働省 精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(平成7年9月12日健医発第1133号)(2021年3月12日引用)
交野市 障がい者手帳制度(2021年3月5日引用)
厚生労働省 特別児童扶養手当・特別障害者手当等(2021年3月5日引用)
東大阪市 知的障害者(児)療育手帳について(2021年3月11日引用)
さいたま市 精神障害者保健福祉手帳の申請について(2021年3月11日引用)
愛知県 身体障害認定における障害固定の時期の目安について(2021年3月11日引用)
渡部伸(監修): 障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて. 自由国民社, 東京, 2019, pp.60-75.
向山憲男(医学監修),黒木信之(編集・執筆): 医療福祉相談 診療科別便利帳 第7版. 日総研出版, 名古屋, 2019, pp.68-71.pp.164-177.

  • 執筆者

    湖上ゆうこ

  • 大学の社会福祉専攻を卒業後、内科・リハビリ病棟から精神科まで担う医療法人でソーシャルワーカーを勤めました。医療相談・地域連携をはじめ、入所施設の当直シフトもこなしていました。出産後はライターに転身。我が子の療育先で「やっぱりケアの専門職はすごい!」と感嘆する日々。多くの患者様やご家族の声に向き合った経験を活かし、一般の方には分かりやすい制度や社会資源の説明を、経営者・施設職員・コメディカルの方には明日の実践のヒントとなる情報をお届けします。

    保有資格:社会福祉士、精神保健福祉士

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