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無趣味・一人暮らしの高齢者の活動量を増やすには?カギはスケジュールを組んであげること

高齢の親を持つ子ども世帯は、心配がつきもの。
特に高齢者が一人暮らし・無趣味で社会的孤立をしている場合は、活動量の減少による体力低下・認知症の発症などが危惧されます。
独居高齢者の社会的孤立は避けられるのか?具体策などについてお伝えします。

今日も誰とも話さなかったな… 一人暮らしの高齢者を孤立させないために

無趣味・独居の高齢者は何が問題か

話を聞いてくれる”誰か”にたやすく心を許してしまうことも

1)社会的な孤立によるコミュニケーション不足

人は、会話をすることで大脳の機能を使います。
会話の内容を聞くのは左脳の聴覚野です。
その会話に対して「面白い」「楽しい」などの感情を抱いたり、会話内容を記憶したりするのは前頭葉で、言語を発するときには言語中枢を働かせます。
他者とコミュニケーションをとる会話やレクリエーションなどは、大脳や言語機能の低下予防に役立つのです。

しかし、一人暮らしで無趣味の高齢者の場合、社会との関わりが減り、他社とコミュニケーションをとる機会が減ってしまいます。
認知症発症の原因の一つに他者との会話がない、刺激がないことがあります。
コミュニケーションの機会が少ない高齢者は、それだけで認知機能の低下が進むリスクがあるのです。

2)犯罪被害発見の遅れ

社会から孤立し、普段他者とのコミュニケーションをとる機会が少ない高齢者の場合、家にかかってきた電話が個人情報を聞きだしてくる不審な内容であっても長く対応してしまうことがあります。
さらに、認知機能が低下している場合は、家にかかってきた電話の内容がおかしいと思う判断が難しくなり、特殊詐欺の被害者になるケースがあるのです。
高齢者の家に近隣の方やヘルパーが出入りしていない場合は、第三者が話を聞いておかしいと指摘する機会も失われているのです。

3)発病・疾病の悪化

もともと慢性疾患を抱えている場合、活動量が低下し、外出がおっくうになっている場合もあります。
独居でいることで高齢者の健康状態の確認をする方がおらず、症状の悪化の発見が遅れる、最悪の場合は孤独死ということもあり得るのです。
こうした事態を防ぐためには、「独居で他者と関わりがない」生活スタイルを改善する必要があります。

高齢者を外に連れ出すには?

今更趣味を作れと言われても 退職後の苦悩

高齢者の子ども世代である壮年期(40歳代~60歳代)であっても、無趣味で友人が少ないという方は少なくないのではないでしょうか。
今まで好きなペースで暮らしていた無趣味の高齢者に、突然「友達をつくって出かけるようにして」と言っても、その話を聞き入れるのは難しいものです。
言い方によっては「年寄り扱いをするな」と怒られてしまうでしょう。
まずは、「子ども世代が高齢者の体力の低下を心配している」ということを伝えて、何かできることはないか一緒に考えよう、と伝えることから始めます。
高齢者自身のためだから外に出なさい、というよりも「こちらが心配しているから何かしてほしい」と伝えると、高齢者の受け取り方が変わる場合もあるでしょう。

高齢者を動かす具体的な方法とは

地域包括支援センターでの教室やサークル活動に参加

1)地域包括支援センターを活用する

各市町村では介護予防特定高齢者施策にもとづき、地域包括支援センターで体操教室などを開催しています。
こうしたイベントを利用し、「スポーツクラブに入るつもりで、まずは一緒に見学に行こう」と高齢者を誘ってみます。
地域包括支援センターには保健師や看護師が常駐している場所が多く、介護予防事業は要介護者でなくても受けられます。
実施しているレクリエーションの内容やスケジュールなどは、各自治体により内容が異なります。
たとえば、近隣の子どもたちとの交流やレクリエーションを実施している地域もありますので、最寄りの市区町村に問い合わせましょう。
週に一度のレクリエーションへの参加など、予定を組んでしまえば、決まった日に決まったことをするというリズムができます。

2)地域での役割を持つ

町内会の役員・シルバー人材センターでの仕事など、何か役割を持ってもらう方法もあります。
それが日課になり、自然と外に出る機会になります。
地区センターでのイベントなどでもいいのです。
回覧板や地域版の新聞などを読んで情報を確認しましょう。
地域の役員会で人がいなくて困っている・手伝ってほしい、といわれると、まじめに仕事をしてきた方は受けてくれるケースもあります。

3)要介護認定をすすめる

元気なうちに相談をしておくことで心理的ハードルを下げる

日常生活が自立しているうちに、一度要介護認定の相談をしておくことも一案です。
高齢者は認知症を発症した後に急速に症状が進むことがあります。
「この間まで何でも一人でできていたのに…」という方は非常に多いのです。
認知症などが進行した後は、日常生活がままならず、すぐにでも介護保険サービスを使いたい、という状態だと思います。
しかし、実は認知症発症後や進行後は本人の協力が得られにくく、受診や相談に出向くこと自体が困難になる場合があります。
健脚であり、自転車で買い物に行き、料理や掃除など身の回りのことができている高齢者は介護保険の申請の必要はないかもしれません。
しかし、最近口数が減った・活動量が減ったなど、今までの生活と比較して少しでも変化があったら、申請のタイミングといえます。
身内から見ると「まだ元気」と思う状態であっても、介護士や医療従事者から見ると「認知機能が低下している」と感じられるケースもあります。
客観的な意見を聞く意味で認定を受けてみるのもよいかもしれません。
相談の結果、「自立」という結果が出てもそれはそれでよいでしょう。
一度認定を申請した事実があれば、次回申請時には本人も家族も心理的抵抗が少なくなるので、申請が進みやすいのです。

高齢者がどうしても外出を拒否する場合

さまざまな策を講じても、「絶対に外には出ない」という高齢者もなかにはいます。
この場合は、家にいながらできる限りのことをするしかありません。
独居の高齢者と子ども世代の住居が近ければ頻回に様子を見に行けますが、そうでない世帯の方も多いものです。
見回りにこまめにいけない場合の具体策を以下に挙げます。

  1. 1) 近所の民生委員などに依頼し、見守りを強化する。
  2. 2) 配食サービスを利用する。介護保険の適用はありませんが、配食自体が安否確認になります。
  3. 3) 各種サービス会社による見守りサービスを利用する。

独居高齢者を孤立させないために

ADLを維持し、認知症の予防をするには高齢者を社会から孤立させないように対策を講じる必要があります。
しかし、それまでの生活で無趣味で友人の少なかった方が、高齢になり突然生活を変えるというのは難しいもの。
まずは地域の交流センターの見学を家族と一緒に行い、それも困難であれば、できるサービスを利用していくのがよいでしょう。

参考:
ダイドーグループホールディングス 「会話」でストレス解消&認知症予防(2021年6月20日引用)
東京都福祉保健局 高齢者等の見守りガイドブック 第3版(2021年6月20日引用)
セコム 高齢者見守りサービス(2021年6月20日引用)
大阪ガスセキュリティサービス おまもりコール(2021年6月20日引用)

  • 執筆者

    島谷 柚希

  • 小児外科・整形外科病棟・総合病院の外来などを経て2015年より医療・看護ライターに。並行して派遣看護師としてデイサービス・整形クリニック・健診機関などで勤務しています。看護師歴は20年以上。看護の知識と実践で得たことを糧に、読者様にわかりやすい記事を届けます。

    保有資格:看護師・介護支援専門員

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