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便利だけど危険!? シルバーカーのメリットとデメリットについて

シルバーカーとは、高齢者用の歩行を補助するための手押し車です。
種類が豊富で、歩きをサポートするなどのメリットはあるものの、デメリットについてはあまり知られていません。
しっかりと特徴を把握して、安全にシルバーカーを活用しましょう。

歩行を補助するシルバーカー メリットとデメリットを知ろう

シルバーカーのメリット

シルバーカーにはさまざまな機能がありますので、利用することで得られるメリットについて紹介します。

用途に合わせてシルバーカーを選ぶ

●歩行をサポート

シルバーカーの代表的なメリットとしては、移動をサポートする役割があるので、利用することで楽に歩けるようになることです。
両手でハンドルを持ち、押しながら移動することで体重がシルバーカーにも分散するため、膝や腰への負担が軽減されます。
多くの製品はハンドルの高さを調整できますので、身体に適した位置にすることでより快適な歩行につながります。
目安としては、一般的な杖の選び方と同じ「身長÷2+3」で割り出すことができますので参考にしてみてください。
腰の曲がった円背の方の場合も、無理せず軽く背を伸ばした状態の身長から割り出すと良いでしょう。

計算例

身長 計算式 ハンドル位置の目安
140cm 140÷2+3 73cm
150cm 150÷2+3 78cm
160cm 160÷2+3 83cm

快適な歩行ができることで外出機会も増えるため、筋力や体力の維持、気分転換など全般的な健康のためにも有効な補助具といえます。

●手荷物を入れて楽に移動できる

歩行の補助といえば、まずは「杖」を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、杖を使うと片手がふさがるため、買い物をすると荷物を反対の手もしくはリュックなどに入れる必要があります。
短距離で軽い物の場合や、ある程度体力のある方はこの方法でも大丈夫でしょうが、歩行に杖が必要な状態であれば大半の方は負担に感じるでしょう。
その点、シルバーカーには手荷物を入れるスペースがあるため、移動を安定させながら簡単に荷物を運ぶことができます。

●豊富な種類で希望に応じたものを選べる

シルバーカーは用途に合わせてさまざまな種類があり、デザインや機能面も豊富なので希望に応じたものが選びやすい点も魅力のひとつです。

シルバーカーの種類

  • ○コンパクトタイプ:小型で軽量なので小回りが効き、段差でも持ち上げやすいのが特徴。収納スペースは少なめで、安定性としてはやや劣るが手軽に使いやすいのが魅力。
  • ○ミドルタイプ:中間の大きさで収納と安定性のバランスが良く、普段使いから旅行まで幅広く活用できる。
  • ○ボックスタイプ:大型で安定性が高く、最も荷物が入るタイプ。座り心地が良く肘掛けがついているものもある。定番のタイプだが、小回りが効きにくく荷物が入ると重くなるため、段差を越える場合には力を要する。
  • ○ワゴンタイプ:収納力の高いワイヤーカゴが取り付けられており、荷物の運搬に優れたタイプ。園芸品や工具など重い物や汚れやすいものを運ぶ際にも使いやすい。

それぞれには、安全性を高めるためにブレーキ機能が付いていますが、ハンドル部分にレバーがあるタイプや足元にペダルがあるものなど違いがあるため、操作しやすいものを選びましょう。
またキャスターにも種類や動きのタイプがあるので、状態に合わせて選択することが可能です。

  • ○シングルキャスター:車輪がひとつで軽量なタイプ
  • ○ダブルキャスター:安定感が高く溝などの悪路に強い
  • ○直進固定:左右にブレないため悪路でも安定するが方向転換はしにくい
  • ○左右角度固定:一定の角度まではキャスターが回旋するため方向転換がしやすい
  • ○360度回転:自由にキャスターが回転して小回りが効くが安定性は低くなりやすい

●外出中に椅子の代わりになる

歩き疲れたときに腰掛けて一休みできるタイプも

移動の途中でいつでも座って休憩できるので、体力に不安のある方でも外出しやすくなります。
ゆったり座ってくつろぎたい方は、先ほど紹介したボックスタイプを選ぶと座面も広く安定しているため良いでしょう。

シルバーカーのデメリット

たくさんのメリットのあるシルバーカーですが、実は誰もが快適に使えるわけではありません。
人によっては危険や悪影響をおよぼす恐れがあり、費用面で損する可能性などもありますので、デメリットについてもしっかり確認しましょう。

歩行障害がある場合は歩行器の導入を検討する

●歩行のサポート力は弱い

シルバーカーは自力で歩ける方を対象としているので、サポート力としてはあまり高くありません。
歩行自体に何かしらの障害がある場合に使用すると、転倒の危険性が高くなり、骨折から寝たきりになる可能性もあるのです。
リハビリや歩行にしっかりとした補助が必要なときには、歩行器を使うようにしましょう。
OG Wellnessからも「アルコー1S 型」をはじめとする安定性の高い移動支援の製品が多数出ています。
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●状態によっては身体に悪影響もある

シルバーカーは両手に体重を分散させるため、下半身の負担は減りますが、上半身に悪影響が出る場合もあります。
特にハンドルの位置が高すぎたり低すぎたりすると、首や肩を痛める可能性もあり、円背など姿勢が悪くなる原因にもなるのです。

●介護保険が使えない

歩行器の場合は介護保険が適用されるため、自己負担の金額は少なくなりますが、シルバーカーは全額自己負担で購入しなければなりません。
機能やタイプによって購入金額にばらつきはありますが、1〜2万円前後が目安になるでしょう。
介護保険が使える歩行器は、主にレンタルという形にはなりますが多くの利点があります。

  • ○数万円の商品でも月々数百円で使うことができる
  • ○状態に合わせて別の商品に切り替えられる
  • ○シルバーカー同様に荷物入れや座れる機能の付いている商品もある
  • ○専門家のアドバイスにより最適な歩行器が選べる
  • ○故障や不備、メンテナンスが基本的に無料 など

要介護認定を受けている方の場合は、歩行器をレンタルするほうがお得で安心できる可能性が高いです。

●安全に使用するためには条件がある

歩行ができるのが前提ですが、そのほかにも両手で支えられることが重要です。

  • ○どちらかの手にまひがある
  • ○関節リウマチなどで指や手に変形、痛みがある
  • ○握力や腕の筋力が支えにならないほど弱い など

上記のような症状があって、両手でハンドルを持って身体を支え、ブレーキなどの操作ができなければシルバーカーは適切ではありません。
また、周囲の環境面も大切になり、急な坂道がある場合は利用することでかえって危険度が増すこともあります。
そのほかにも、砂利道や階段の有無など、安全で快適に使用するためには条件がいくつも揃っている必要があります。

シルバーカーが適している人

メリットとデメリットを踏まえて、シルバーカーが適している人についてまとめていきましょう。

●歩行はできるが屋外や長距離は不安

歩行ができて両手で支持できることが前提として、屋外に出歩くことや長距離の移動に不安が出てきた方には最適です。
特に要介護認定に該当しない状態で、膝や腰に痛みなどのある場合には、負担を軽減するためにも役立つでしょう。

  • ○歩けるけど足腰がつらい
  • ○疲れやすくなった
  • ○移動の途中で休憩したい

このような方には、途中で椅子の代わりにもなるシルバーカーが生活のサポートとして活躍します。

●買い物の荷物を楽に運びたい

日常的に買い物などで荷物を運ぶことが多い方にも適しています。
普段の生活で運ぶ荷物の多さに応じて、コンパクトタイプやボックスタイプなどシルバーカーの種類を選ぶと良いでしょう。
大容量になるほどに当然重くなりますので、自身の体力とも折り合いをつけて適切なサイズを選択してください。

●周囲に平坦な道が多い

普段の生活動線の中に急な坂道が多い方は、車輪で動くシルバーカーは危険になるかもしれません。
基本的にフラットな場所を移動するのに適していますので、平坦な道が多い土地であれば快適に使用することができるでしょう。

シルバーカーのメリット・デメリットを知った上で活用しよう

シルバーカーは、歩行のサポートになり荷物を楽に運べるというメリットがあるため、体力が低下してきた高齢者にとっては貴重な補助具です。
しかし、あくまで歩ける方に向けた作りをしているので、状態によっては転倒の危険性を高めます。
目的や身体状況に応じて適切なタイプを選ぶようにして、安全で快適な生活を送りましょう。

参考:
SCRIO(2021年7月5日引用)
介護用品卸センター(2021年7月5日引用)
カイゴジョブ 肩の痛み、シルバーカーの高さが原因では?(2021年7月5日引用)

  • 執筆者

    大久保 圭祐

  • 総合病院に6年間勤務し、脳神経外科や整形外科のリハビリテーションを中心に、急性期・回復期・慢性期を経験。その後、介護支援専門員の資格を取得して家族と共に介護事業を設立。代表取締役であると同時に、現場では機能訓練指導員・介護職・ケアマネジャーを勤めプレイングマネージャーとして活躍。現在は、経営業務をメインに記事の監修やライターとしても活動中。

    保有資格等:作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員

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