在宅介護で紙おむつを節約する方法!コストが上がる理由、下がる理由
在宅介護で負担になりやすい紙おむつの費用。
漏れないようにとたくさん使ってしまうケースは、在宅介護に限らず多くの施設でも見かけます。
特にパットの使い方は自己流になりやすく、コストが上がる主な原因になっています。今回は、紙おむつのコストを下げるパットの効果的な使い方についてご紹介します!
パットはたくさん使うほど高くなる
紙おむつの使用量は最低でも1日1枚使用と考えて月に4,000円〜5,000円ほど。
紙おむつだけではそれほど高くないと感じるのに、パットの代をプラスすると月に10,000円を超えてしまうことも…。
では、なぜパットは必要なのでしょうか?
●紙おむつの交換回数を減らすため
パットはもともと、紙おむつを経済的に使うために生まれました。
紙おむつの単価はおよそ1枚80円〜150円、大きいサイズのものほど高くなります。
これに対し、パットの単価は1枚13円〜80円ほど。
パットの場合は吸収できる量によってサイズが大きくなり、値段も高くなります。
1日に交換する回数はそれぞれ人により異なりますが、パットのみをこまめに交換する方が経済的です。
そのため、パットは本来であれば1枚ずつ使うように設計されています。
詰めこんだり重ねたりしてしまう方もなかにはいますが、パットはむしろたくさん使うことで漏れやすくなり、コストが上がる原因にもなるのです。
では、なぜたくさん使ってしまうのでしょうか?
●漏れを防ぐためにたくさん使用する
使いすぎてしまう原因の多くは、漏れる=尿量が多い=パットが足りないからと考えてしまうためといえます。
実際には、パットは多く重ねても吸収できる量はそれほど変わりません。
それどころか、重ねることによっておむつがかさばってしまい、隙間から尿が漏れ出してしまうことさえあります。
それは重ねることでパットの内側が尿の出口(尿道)にあたらず、うまく吸収できないからです。
そのため、洋服もシーツもビショビショであるのに、詰め込んだパットはまったくぬれていないといった現象が起こるのです。
たとえばこんな使い方をしている方がいました。
宗男さん(仮名・70代)はパットを3枚必ず使用していました。
1枚目はおしりの下に、2枚目は男性あて(陰茎をパットで直接包む方法)、3枚目はその上にかぶせるように使っていました。
ところが、漏れたときにパットを見ると3枚のうち2枚目は必ずぬれていますが、3枚目は確実にぬれている部分が少なく、1枚目は排便時以外あまりぬれていなかったのです。
このケースの場合、ぬれていなかったパットは使う必要がなかった、と考えることが自然です。
また、パットを減らせばかさ張らず、おむつをぴったりとあてることができるので、漏れることが少なくなり、使用したパットもしっかりぬれるはずです。
それでも漏れてしまう場合は、尿量が多いために漏れている可能性がありますので、パットのサイズ変更を検討しましょう。
コストを下げるには「尿測」が重要
ここでは、コストダウンできるパットの上手な使い方をご紹介します。
重ね使いが原因の漏れ以外にも、その方の尿量が多く、パットの吸収量が足りないために起こる漏れもよくある原因の1つです。
パットの吸収量を増やすには、重ねるよりもサイズアップをしてみることをおすすめします。
その方が交換の枚数を効率的に減らせるため、結果的にコストダウンになるからです。
その方に合った吸収量のパットを選ぶためには、正しい尿量を知ることが大切です。
●まずは尿量測定(尿測)をする
介護や医療現場などでは、尿量の測定に表を使います。
これは、1日の水分摂取量や排尿の回数をカウントすることで、次のおむつ交換までの尿量を知るための方法です。
測定方法は機械などで正確に測ることができますが、在宅では自立でトイレに行かれる方なら、紙コップや計量カップなどで1回分の尿量を計り排尿の回数を見ることで、正確な尿量を知ることができます。
寝たきりの方である場合は、紙おむつの重さを量って測定する方法もあります。
- 1)まずは未使用の状態で紙おむつの重さを量る。
- 2)使用後に再度紙おむつの重さを量り、先に量っておいた紙おむつの重さを引きます。
- 3)使用済み紙おむつ−未使用紙おむつの重さ=尿の重さ
ということになります。
夜間だけ紙おむつを使っている方もこの方法なら、夜の尿量を知ることができます。
高齢者は水分摂取量が少なくなりやすい傾向にあります。
利尿作用がある薬を処方されていない方、日中たくさん水を飲んでいる様子がない方に関しては、夜間の排尿回数もそれほど多くなりません。
表や数字で把握すると、漏れの原因が尿量なのか、パットのあて方やサイズ違いによるものなのかなどの予測がつけやすくなります。
●パットの吸収量を確認する
尿量がわかったら次はパット選びをします。
現在お使いのパットがどれくらい吸収するものなのかご存じでしょうか?
人が1回に排泄できる尿量はおよそ150mlですので、パットの吸収量は150mlを1回分として作られています。
メーカーによってパットの形はさまざまですが、吸収量はパッケージに記載されているので、購入まえに確認するようにしましょう。
尿量や吸収量を知ると、これまで使っていたパットが大きすぎた、という方も少なくありません。
あらかじめ測定した尿量に合う吸収量のパットを使用することで、ムダ使いをなくしていきましょう。
●重ね使いにも効果的な方法はある
できれば今使っているパットを変えずに活用したい、どうしても1枚だと不安!という方は安心してください。
重ね使いにも効果的な使い方はあります。
たとえば、男性あてなどは尿道に直接あたるため、パットの交換だけで済む実例が多い方法の1つです。
女性のケースも紹介します。
尿量が多い富江さん(仮名・80代)は、ご家族が夜間の対応としてパットをもう1枚、じゃばら折りを作ってあてるという使い方をされていました。
女性の場合、尿道が短いので男性のようにパットで包むことができません。
そのため、前をおさえることで尿の流れを下に向かせる方法として、この使い方をされていました。
実際に富江さんは漏れることが少なく、夜間はパットの交換のみ。
とても効果的な使い方ができていたからだと考えられます。
このように、試した結果漏れないのであれば、重ね使いも良いといえるでしょう。
在宅での紙おむつトラブル!誤食に水はNG
在宅介護によくある紙おむつのトラブルとして、誤食があげられます。
紙おむつをやぶいて食べてしまい、喉に詰まらせてしまうなどの事故は認知症の方に多いケースです。
紙おむつを食べてしまった場合、慌てて水を飲ませることは大変危険です。
紙おむつのなかには尿を吸収するため、高吸収ポリマーという素材が入っています。
ポリマーは水を吸収すると、大きく膨らんで固まる性質があり、砂のような粒が10倍ほどの大きさにもなるのです。
そのため、水を飲ませてしまうとこれが体内で膨らみ、窒息や腸閉塞などを引き起こす恐れがあるのです。
紙おむつを誤食してしまった場合は、無理やり吐かせようとせず、すぐに医師の診察を受けるようにしましょう。
まとめ
使い方により費用が変わるパットですが、パットは在宅介護を支える大切なアイテムです。
負担を減らすためにも、なるべく少ない枚数での使用をおすすめします。
なにより、おむつのなかにパットを詰め込んでいる状態は通気性が悪く、雑菌の繁殖や床ずれにつながるなど、ご本人にとって気持ちの良いものではありません。
使い方を工夫することで、体への負担も家計への負担も同時に減らしていくことを目標に、効果的なケアをしていきましょう。