ケアマネジャーにはなんでも伝えて欲しい!介護の愚痴から利用者の生い立ちまで
介護サービスを利用する際、さまざまなことを相談できるのがケアマネジャーです。
しかし、初対面に近いケアマネジャーになにをどこまで話せばいいのかわからずに、結局は説明を聞くだけで終わってしまう方もいます。
そこで今回は、ケアマネジャーの視点に立って、利用者である本人やその家族からどのようなことを聞きたいのか、聞いた情報をどうするのかについて解説していきます。
目次
ケアマネジャーはこれからどのような介護を行っていくのかを計画する人
介護サービスを受けたいと思ったとき、必要になるのがケアプランと呼ばれる介護計画書です。
このケアプランは、介護を受けるご本人やその家族が、困っていること、希望していることを考慮して作られます。
そしてそのケアプランを作成するのがケアマネジャーです。
ケアマネジャーは、ご本人や家族から聞いたさまざまな情報をもとに、ケアプランを作っていきます。
たとえば、ご本人が一人でお風呂に入ることに不安を感じているのであれば、介助を付けてお風呂に入れるように、訪問介護やデイサービスの利用を計画します。
また、リハビリを受けたいという希望があれば、デイケアなどのリハビリを提供してくれる施設の利用を計画します。
先ほどもお伝えしましたが、ケアマネジャーはご本人だけでなく、家族が困っていることにも対処できるように、計画を立ててくれます。
毎日の介護が大変で、たまには夜もゆっくり寝たいなどの希望があれば、ショートステイなど泊まりで利用できるサービスを提案します。
このように、ケアマネジャーはご本人や家族にとって必要とされる介護サービスについて考え、ケアプランを作る仕事をしています。
そしてそのケアプランをもとに、介護士などがサービスを提供していくのです。
ケアマネジャーが知りたいのはご本人の現状や家族が困っていること
より希望に合ったケアプランを作るために、ケアマネジャーが聞いておきたいこととはどんなことでしょうか?
以下では、その具体的な項目を挙げていきます。
- •ご本人の現在の状態や生活環境
- •ご本人の生活歴
- •ご本人の希望
- •家族が困っていること
- •家族の希望
一つずつ見ていきましょう。
•ご本人の現在の状態や生活環境
ご本人の状態や生活環境については、ケアマネジャーは事前に、要介護認定のときに作られた資料を見ているので、ある程度知っていることも多いです。
しかし、ケアマネジャーが知りたい情報が資料に書いていなかったり、実際の状態が文章からは想像できないこともあります。
たとえば、ケアマネジャーが自宅を訪れた際に、高い段差が気になったとしたら、上がりにくくないですか?と尋ねるでしょう。
ケアマネジャーはその返事によって、住宅改修などのサービスが必要かどうかを判断します。
•ご本人の生活歴
ご本人がこれまでどのように生活してきたのか、家族構成はどうなっているのかなども必要な情報です。
それらは今後のケアに生かされます。
特に認知症の方は、一見意味のないことをしてしまったりします。
でも、その方の生活歴からひも解くと、意味のあることをしているとわかることもあります。
•ご本人の希望
ご本人の希望は当然伺います。
自宅に来て食事を作って欲しい、病院への行き来が大変だから手伝って欲しいなど提供を求めるものが大半ですが、ときには否定的な希望もあります。
「デイサービスには行きたくない」「体を動かすのは好きではない」などです。
ケアマネジャーはどちらも希望として聞いておきます。
ただ、家族の希望やそれに合ったサービスがあるかどうかによるので、必ずしもすべての希望が計画に反映されるとは限りません。
•家族が困っていること
家族が、現在どのようなことに困っているのかを伺います。
たとえば「ご本人がお風呂を拒否していて困っている」、「毎日なにもしないで過ごしているのが心配」といったことです。
ただの愚痴だと思えるような内容でも、まずはケアマネジャーに伝えてみてください。
家族がどんなことに困っているのかを知ることは、必要なサービスを考えるうえで重要なのです。
•家族の希望
仕事に行っている間はサービスを利用して安心して働きたい、夜ゆっくり休める日が欲しいなど、家族にも希望があるでしょう。
こうした家族の希望は、ときにご本人の希望と相反することもありますが、それについては、ケアマネジャーが間に入ってまとめます。
ご本人や家族の話をするときにケアマネジャーへの遠慮は必要ありません
筆者がケアマネジャーをしていて困ってしまうことは、家族がご本人の話を遮ってしまうことです。
ご本人が普段から話好きだったり、認知症の症状があるために正確ではないことを言うと、家族がご本人の話を遮ってしまうのです。
もちろん、時間を割いているケアマネジャーを気遣ってのことだというのはわかります。
ご本人が間違ったことを話しているのに、ケアマネジャーに正しいと思われるかもしれないと心配になる気持ちもわかります。
しかし、ケアマネジャーは介護支援の専門家です。
多くの利用者や家族と関わってきた経験をもち、話を上手に終わらせる方法も心得ています。
また、家族にとっては「余計な話」と思われることでも、そのなかにケアマネジャーが必要とする情報が入っていることもあります。
過度の心配はなさらず、ご本人とケアマネジャーのやりとりを見守っていてください。
ご本人の間違った話を、ケアマネジャーが真に受けてしまっているのではと不安になった場合は、電話などで確認してみることをおすすめします。
ケアマネジャーにとっては、そんな家族の声も大事な相談ごとのひとつといえます。
ケアマネジャーは教えてもらった情報からより良い介護を行える計画を立てる
ケアマネジャーはご本人や家族から、さまざまな情報を聞きとります。
そして教えていただいた情報をもとに、ケアプランを作ります。
ケアプランには、週に何回デイサービスに通うのか、デイサービスではどのような介護をしてもらうのか、ショートステイは何泊利用するのかなどを計画していきます。
また、介護サービスによる介護だけではなく、家族が行う介護についても漏れなく記入します。
ケアプランを見れば、ご本人の生活サイクルがどういったものなのかが一目でわかるようになっています。
さらにそれらの情報は、サービス開始後のケアにも生かされます。
たとえば、デイサービスを利用していても、ほかのご本人が参加している活動には見向きもしないご本人がいます。
そんなときは、その方の若い頃の趣味に関する情報を活用し、デイサービスでの活動に取り入れることで活気のある1日を過ごしてもらう、といったことができるのです。
また、ケアプラン作成後でもサービスに関する疑問があった場合には、ケアマネジャーに伝えるようにしてください。
デイサービスなどに直接聞いてもいいのですが、ケアマネジャーに連絡すればデイサービスに確認して、疑問を解決してくれます。
さらに、ケアマネジャーが担当したご本人や家族が、どのようなことを疑問に思うのか、また、不満に感じていることはないかなどを把握しておけば、今後のケアにも生かすことができます。
まとめ
初対面に等しいケアマネジャーに、自分のことや家族のことを、あれもこれもと話をするのは苦手だという方もいるでしょう。
そんなときは、関係を深めていってから、少しずつ話をしていけばいいでしょう。
話をしたいと思えるようになったら、遠慮はいりません。
ケアマネジャーに伝えたさまざまな情報は、ご本人や家族の快適な介護サービスの源になります。
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