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口腔ケア 呼吸器疾患

肺炎は歯磨きと枕で予防できる!?今日から自宅でできる、その対策方法とは?

肺炎と聞くと、風邪の延長と考えている方もいらっしゃると思いますが、実は日本人の死因第3位であるほど、怖い病気です。
肺炎を起こさせないことが、健康長寿のポイントの一つであることは、間違いありません。
そこで今回は、今日からできる、肺炎予防のために行いたい対策方法をご紹介します!

肺炎は「口の中の細菌」が原因!?

肺炎は、こちらの記事でも書いているように、さまざまな菌やウイルスによって発症します。
一部の菌は肺炎球菌ワクチンによって発症を防ぐことが可能ですが、それ以外にも肺炎を引き起こす菌はたくさんあるため、ワクチン以外の方法で予防することが大切となります。
そこで重要となるのが、「口の中」です。
なぜ肺のことなのに口の中が重要なの?と思われた方もいらっしゃるかと思います。
実は、口の中には常に500~700種類の細菌が潜んでいます。
そして、歯磨きをしない、あるいはできないなどの理由から、口の中を十分にきれいにできていないと、口の中の細菌数は4000億から6000億にも上ってしまうのです。
この細菌の中には、肺炎を引き起こす原因となる菌も数多く含まれています。
よって、口の中を常に清潔に保つことが、結果として肺炎を予防することにもつながるため、食事後など物を食べた後は必ず歯磨きをすることが大切です。
これを徹底するだけでも、肺炎予防には十分効果を発揮します。

●食事を取っていないのに、歯磨きをしている!?

歯を磨くのは、食後など歯が汚れてしまったときだけでしょうか。
実はそうではありません。
先ほどもお話ししたように、口の中には常にたくさんの種類の細菌が潜んでいます。
そして、常に清潔にしておかないと、その細菌数はどんどん増えてしまいます。
これは、食事を直接食べることができない方であっても同じことです。
つまり、食事に関係なく、常に口の中を清潔にしておくことは、そのまま肺炎を予防する行為につながる、というわけです。
また、口から食事を取れない場合、口の中を湿らせる唾液の分泌量が減ってしまうため、乾燥しやすくなります。
この乾燥、実は細菌にとって最も繁殖しやすい条件なのです。
よって食事を取っていない方は、食事を取っている人以上に丁寧に口の中をきれいにする必要があります。
そのため、施設では歯医者さんが訪問し、定期的に口の状態をチェックするとともに、ご自身で口の中をきれいにできない方に対しては、職員が専用の器具を用いて口腔ケアを行っています。

寝るときは、枕を入れて頭を高くすることが効果的!

数ある肺炎の中でも、特に年を重ねれば重ねるほど発症しやすくなる肺炎が「誤嚥性肺炎」です。
この誤嚥性肺炎、ただ単に「物を飲み込む力が低下することで、食べ物の一部が肺にいってしまい、炎症を起こしている」のではありません。
確かに飲み込む力が低下し、食べ物が肺へ行ってしまうことで引き起こされる肺炎もあります。
しかし、それ以上に重要となるのが、夜間を中心として自覚のないうちに鼻の中や喉の奥、口の中にある細菌が自然と肺の中へ入ってしまうことで肺に炎症が起きてしまう、「不顕性(ふけんせい)肺炎」が圧倒的に多くなっている、という点です。
ではなぜ、年を重ねれば重ねるほど、この肺炎を多く発症してしまうのでしょうか。
それは、加齢とともに物を飲み込む力が落ちてしまうことに由来します。
若いうちならば、体のさまざまな反射が正しく反応するため、肺までの道へ細菌を行かせないようにしています。
万が一飲み込みが悪く肺へ物が行ってしまいそうになっても、激しくむせ込みができるおかげで炎症を起こすことはまずないのです。
しかし、年を重ねてさまざまな反射機能が弱くなってしまうと、肺までの道へ入ってしまった細菌を外へ出す力がなく、そのまま炎症を起こしてしまい、肺炎を発症してしまいます。
よって、肺炎を予防するためには「いかに無意識のうちに肺炎の原因となる菌を肺まで行かせないようにするか」がポイントとなります。
そこでぜひ行いたいのが、枕やタオルによって頭を高く保持することです。
頭からつま先まで平な状態にするのではなく、枕やタオルによって頭を高くすることで、気道の下にある食道へ唾液などが通りやすくなるため、自然と肺へ直接細菌が流れてしまうことを防ぐ働きが期待できます。
枕を使いたくない、という方もいらっしゃるかと思いますし、寝たきりの方に対して枕をするとかえって寝にくくなってしまいそうと考える方もいらっしゃるのですが、肺炎予防という観点からはぜひ枕を使用して横になっていただけたらと思います。

まとめ

肺炎は薬によって治療することは可能です。
しかし、不顕性肺炎の場合はきちんとした対策をしないと、治癒してもすぐに再発してしまうことが分かっています。
また、肺炎治療のために入退院を繰り返すことで全身の筋力が弱まってしまうリスクもあります。
よって日常生活のなかで肺炎予防の対策を自宅でもしっかり取ることが、とても重要です。
歯磨きと寝る際の枕。
この2つを、ぜひ今日から心がけていただけたらと思います。

参考:
毎日新聞 口腔細菌の世界へようこそ(2018年2月28日引用)
和田忠志:やさしい医学知識:技術評論社:東京:2017:pp58-61
大庭豊:病気がみえる Vol.4 呼吸器:メディックメディア社:東京:2013:pp118-131

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