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高齢者の「不調」の原因となる「老年症候群」とは

高齢者は何かと身体の不調を訴える事が多く、そして往々にしてその原因が今ひとつ明確に見えてこないという事があります。実は高齢者の不調の原因のひとつに「老年症候群」というものがあります。今回はそんな老年症候群について、その概要と原因となりうる主な疾患を紹介していきます。

高齢者の不調の原因のひとつ「老年症候群」

高齢者の「不調」の原因となる「老年症候群」とは

高齢者の「不調」の原因となる「老年症候群」とは

老年症候群とは「加齢による内臓や筋肉などの全身のさまざまな部分の活動減少と、それによる行動の減少」を原因として出現する症状を指します。
廃用性症候群と言えば、聞いたことがあるかもしれません。

高齢者になると活動量や食欲などの低下もあり、健康状態や運動不足により「動けない」ではなく「動かない」ことが増えてきます。
運動不足や栄養のかたよりは、足の筋力低下や骨密度の低下につながります。
家族や介護者は「危険だから」と「歩かせないようにする」ことが多くなり、年齢が上がればあがるほどその傾向が高くなってしまいます。
これは高齢者にとって非常に良くないことで、体を動かさないから食欲がない、食事量が少ないから便秘になったりするなど「悪循環」になる危険性が高くなります。

特に体調不調になれば、ますます動かさなくなります。症状がでているときに安静にすることはとても大切なことですが「過保護」になりすぎ、体調は回復しているのにも関わらず、安静状態を「持続」させてしまうことがとても多いのです。
体調が回復したのであれば、活動を再開させるのが重要なのです。

活動を再開しないと、寝たきりになる確率が高まります。
また、便意・尿意の感覚が鈍くなり、おむつを着用したり、肺炎・感染症に罹ってしまうなど「作られた寝たきり」により最悪の場合、感染症などで死に至ることもあります。
食事による誤嚥性肺炎も同様に発生率が高まります。
これらを回避するには、体の状態をいち早く察知し、1日でも早く安静状態から活動への移行をスムーズに行えるようにしなければなりません。

老年症候群とは個人差もありますが「加齢に伴い、高齢者の身体に様々な変化が起こることである。」とは前述したとおりですが、
生活環境や薬剤の影響、心理的ストレスなど、さまざまな要因が絡み合い、最終的にそれらが原因となって起こる症状といえます。

なぜ、老年症候群を知る必要があるのか?

老年症候群は、複数の原因が複雑に絡み合って起こる症状で「薬を飲めば治る」といった簡単な症状ではありません。
例えば不調を訴え、家族などに受診を勧められ、検査の結果「異状ない」と言われ、薬は出されますが、飲むことを守らない。また体調不良になるとの悪循環を繰り返すことになるのです。

老年症候群を引き起こす4つの主な原因

老年症候群にさせる、主な疾患4つほど説明します。
今回は施設生活の中での老年症候群の原因を対象にしています。

1)転倒

◯転倒の原因

転倒の原因

脳や感覚器官、筋肉や関節、骨などさまざまな身体の機能低下が挙げられます。また環境の変化や日常生活、薬剤などによって転倒のリスクはあがります。
段差や障害物、認識しにくい色・文字の明るさが不適切なこと、不慣れな環境(トイレの場所が自宅と違う)なども転倒の原因となります。

◯転倒予防と対応

介護職は転倒の原因を理解し、幅広く対応することが求められます。実際に転倒が起こってしまった場合は冷静な判断が重要になってきます。
転倒は入所したばかりの高齢者に多く発生する事故です。ある程度なれてくれば生活空間の中にいると感じるので、転倒のリスクは軽減します。
新しく入居した高齢者のアセスメントをしっかりする必要があります。転倒危険性シートを活用することにより転倒を予防に役立ててください。

◯転倒はADL、QOLの低下につながる

転倒の場合、痛みなど現実に起こる現象と、不安・恐怖などの内面的な症状が絡みあうことがあります。
そのことにより日常生活動作(ADL)の低下で歩けなくなり、生活の質(QOL)の低下にもつながり、意欲低下して老年症候群になってしまいます。

◯介護職の役割

介護士看護師、ケアマネージャー・栄養士・リハビリスタッフ(PT/OT)などと協力しながらどのようにすれば良いか、という方向性を協議していく必要があります。
入居者さんの老年症候群を防ぐ活動の主役は、さまざまな場面を一番観察介護職です。陣頭指揮をとるのは介護職がベストです。
リハビリでの痛みの緩和、介護職による生きがい探し、不安を和らげるケアなどを検討・実践することにより、入居者さんは意欲向上ができます。
さらにリハビリで努力し、レクリエーションなどの参加など、生きがいができるとADLの向上につながる可能性が高まります。
転倒→安静→寝たきりというスパイラルに陥らないために、介護職の果たす役割は大きいといえます。

2)脱水

脱水

これは正式には病名ではありませんが、危険なサインです。夏場だけでなく冬場にも注意が必要です。脱水になると排尿が少なくなり、腎臓に悪影響を与えます。排尿がないと死にも至ることもあります。(終末期で排尿が利尿剤を投与してもない場合は死期が近いのです)

そのため、食事の際の水分摂取量・入浴後の摂取量など、1日のトータルの観察が必要になります。高齢者は感覚が個人差はあれど鈍くなります。そのため喉が渇きにくい症状になってしまいがちですが、脱水は命取りなので介護職に注意が必要になってくるでしょう。

3)便秘

便秘

これも病名ではありませんが、大切な観察ポイントです。便秘の原因には、認知機能の低下、胃腸のぜん動運動の減弱、筋肉量の減少による日中の活動量の低下などのさまざまなものが挙げられます。介護職は高齢者の排便の状態を把握し、下剤や、浣腸などにたよるのは極力避けます。

代わりに自然排便ができるようなアプローチが大切になります。ある施設では便意がある・ないは関係なしに、朝食後に便座に座ってもらう習慣をつける努力をしたところ、便秘が減り、下剤などを使わなくなる回数も大幅に減少したとのケースもあります。
そのために何日排便がないか、介護職は常に入居者を観察する必要があるのです。その中では栄養士に相談し、繊維の多い食事を提供してもらうように協力を求めたりすることも大切です。

4)嚥下障害

嚥下障害

嚥下障害の原因は脳の疾患の他に、口腔や筋肉、骨の密度の低下があります。
その他栄養状態の悪化、食事形態、薬の副作用などの影響もあります。
介護職は口腔ケアや食事介助の工夫、食事道具の作成(例えば、スプーンの柄を曲げて入居者の口に運びやすいような工夫)などを経て食事形態の見直しをするなど、幅広い対応が大切です。
その際も、栄養士などと相談しつつ、栄養アセスメントを利用し、入居者に1番合う食事形態を検討する必要があります。
誰しも最後まで、自分の口で食事をしたいものです。

老年症候群を引き起こさないために他職種連携を

介護職だけで解決しようとするよりも、手間はかかりますが他職種連携で予防策を協議するなど、対策を講じることをおすすめします。
これからはより一層、介護職に求められる業務範囲は広くなっていきます。様々な知識の習得や介護技術の向上も大切です。
それと同様に、他職種連携も重要な役割を果たします。
他の職種に物怖じすることなく、対等な立ち位置で議論し老年症候群に陥る入居者さんを一人でも減らすよう、チームで対応していきましょう。

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