在宅介護やリハビリなど健康をとり戻す生活に役立つ情報を。

  • Facebook

健康応援 OGスマイル

模擬患者は一般市民だからこそ求められる(その1:一般模擬患者編)

医療系の学部を持つ大学では、コミュニケーション能力が十分な医療者の育成が求められています。
このため各大学では模擬患者という形で、一般市民の協力を得た実習などを行っています。
本記事では主に一般模擬患者について、求められる理由などを解説します。

各大学では模擬患者という形で、一般市民の協力を得た実習などを行っています

模擬患者が求められている理由

模擬患者が求められている理由

医学部や薬学部を持つ多くの大学では、模擬患者を求めています。
ここではまず、その理由について考えていきます。

●模擬患者が求められる背景

模擬患者が求められる背景には、医師や薬剤師にコミュニケーション力が求められていることがあげられます。
このことを受けて、医師や薬剤師を養成する大学ではコミュニケーション能力の向上も実習などの形で、カリキュラムに含まれています。

コミュニケーション能力は、教員や学生同士で進めただけでは遠慮などが生じるため、なかなか向上しにくいことが課題です。
実習に一般市民である模擬患者が入ることで、医療の現場に近い状態でトレーニングを行うことができ、応対能力の向上につながります。

このことを裏付けるように、宮崎大学医学部のWebサイトでは模擬患者の必要性について、以下のように説明しています。

=====引用はじめ=====
医師と患者さんのやりとり(医療面接)を学ぶ際に、何をどのように聴くのか、というコミュニケーションを学ぶには、講義による知識の習得だけではうまくいかず、体験学習が求められます。学生同士がシナリオに沿って医師役と患者役を演じるロールプレイという方法では、友だち同士の慣れ合いから緊張感がない、照れが生じるなど、効果的に学ぶことができません。そのため、SPと呼ばれる模擬患者を用いた教育がなされています。

引用元:宮崎大学医学部 模擬患者(SP)参加型教育
=====引用おわり=====

●模擬患者は、主に医学部と薬学部で募集されている

模擬患者は、主に大学の医学部または薬学部で募集されています。
これは、医学部と薬学部は4年次にOSCE(オスキー、医学系共用試験/薬学系共用試験)を受験することと関係しています。

OSCEは学生の技能や態度を評価する実技試験であり、このなかには患者への応対能力を試す項目が含まれています。
またOSCEに不合格となった場合、5年次の病院や薬局で行われる実習に参加できません。
従って学生のコミュニケーション能力の向上を図るため、模擬患者は重要な役割を果たしています。

なお大学によっては、看護学部でも模擬患者の協力を得た授業が行われる場合もあります。

●一般模擬患者と標準模擬患者との違い

模擬患者は一般模擬患者と標準模擬患者に分けられ、それぞれ役割が異なります。

一般模擬患者は学生などのコミュニケーション能力を向上させる目的で、一般市民に依頼されるものです。
依頼内容は、主に学生からの質問に答えることとなります。
学生に対してどのように答えるかは、模擬患者にある程度の裁量があります。

一方で標準模擬患者は主にOSCEにおいて、患者役として携わります。
試験ですから、学生ごとに応対の差があってはなりません。
このため、応対方法についての細かな決め事があります。

一般模擬患者は、こんなことを行う

一般模擬患者は、こんなことを行う

模擬患者がどのようなことを行うのかは、気になるところです。
ここでは一般模擬患者になるとどのようなことを行うのか、主な点を解説していきます。

●学生に対して、コミュニケーション能力向上の手助けを行う

一般模擬患者の主な役割は、医学部や薬学部の学生に対して、コミュニケーション能力向上の手助けを行うことです。
とはいっても、難しいことではありません。
医学部や薬学部では、コミュニケーション能力向上を図るための授業が実習形式として、カリキュラムのなかに用意されています。
この授業において、患者役として学生に接することが一般模擬患者の役目です。

話すべきポイントは、あらかじめ指示されます。
また応対の仕方も大枠は決められていますから、多くの人は役割を無事にこなせます。

●「本番」へ向けて、研修がある大学も多い

一般模擬患者は、初対面の人と話すことと同じです。
従ってぶっつけ本番では不安を感じる方も多く、また間違いも起きやすくなります。
このため効果的な実習を行うために、模擬患者に対しても複数回の研修を行う大学が多くなっています。

●地域や大学によっては、他大学の模擬患者と交流する機会もある

模擬患者として参加する地域や大学によっては、他大学の模擬患者とともに講習を受けたり、交流する機会が設けられる場合もあります。
一例として、千葉県では薬学部を持つ6大学が持ち回りで「千葉6大学合同SP研修会」を開催しており、各自のレベルアップにつながるものとなっています。

一般模擬患者に向いている人

一般模擬患者に向いている人

一般模擬患者は、研修を受ければたいていの人はこなせるようになります。
しかし人により、向き不向きがあることも事実です。

筆者も模擬患者として、薬学部学生の教育に関わっております。
その体験を通じて、どのような人が一般模擬患者に向いているか解説します。

●医療はもちろん、学生の教育に関心と意欲がある人

一般模擬患者は医学や薬学教育に関わることになります。
従って医療に関心があることはもちろん、学生の教育に対して、関心と意欲があることも必要です。

●あたたかい目で学生を見ることができる人

学生は初対面の人と会うわけですから、大変緊張しています。
いくら熱意があっても、怒ってしまったのでは学生は委縮してしまいます。
これでは、せっかく模擬患者として参加したことが逆効果となりかねません。

マイナビが2016年2月に実施した調査によると、約8割の学生は「褒めて伸びるタイプ」という結果が出ています。
このため学生には、優しくあたたかい目で接することが大切です。

●会話を通して「気づき」を与えられる人

一般模擬患者を使った授業を受けている学生は、今後医療の現場で実習などを受けます。
もし現場に出る前に実際にありそうな状況を知っていれば、それだけ実習現場での評価も高くなることが期待できます。

あなたの患者としての経験をもとに、会話を通して現場でありがちなシーンを再現して、学生に「こんな状況もあるのか」という気づきを与えることは重要です。
一例として、以下のような状況が挙げられます。

  • ○薬をビールで飲んでよいか
  • ○もし薬を飲み忘れたら
  • ○すぐに医療機関に行くべき症状(副作用や、病状の悪化など)

●模擬患者と教員、それぞれの役割の違いを認識できる人

模擬患者のなかには豊富な医療知識を持っている人もおり、学生に対して専門的な指導をしたいと思う場合もあります。
一方で教員は専門教育を受けているため、模擬患者よりも多くの知識と経験があります。
また教員は多くの学生を見ており、どのタイミングでどのような指導をすべきかについても理解しています。

このため、専門的な観点での指導は教員に任せることがベストです。
一般模擬患者は専門家では気づけない、患者としてあなたが感じたことや思ったことを率直に話すようにしましょう。

まずは近くの大学を調べるところから始めよう

一般模擬患者はコミュニケーション能力が十分な医師や薬剤師を養成する上で、重要な役割を果たしています。
将来はあなたが模擬患者として関わった人から、診療や調剤を受けることもあり得ます。
患者に対して気持ちよく対応してくれる医療者の養成に携わることは、まさに一石二鳥といえるでしょう。

もし関心を持たれた場合は、自分で積極的に調べることが重要です。
まずはお住まいの近くにある大学を調べることから始めましょう。

参考:
宮崎大学医学部 模擬患者(SP)参加型教育.(2018年12月20日引用)
東邦大学医学部 2018年度 医学部模擬患者(SP) ボランティア募集.(2018年12月20日引用)
東邦大学薬学部模擬患者会 活動内容.(2018年12月20日引用)
名城大学薬学部「模擬患者(SP)とは?」(2018年12月20日引用)※【一般模擬患者】
神戸学院大学「標準模擬患者(SP)募集」(2018年12月20日引用)※【標準模擬患者】
公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構 医学系OSCEサンプル課題.(2018年12月20日引用)
薬学共用試験センター 課題と出題方式/OSCE風景.(2018年12月20日引用)
島根県立大学 模擬患者(SP)参加型教育を実施しました(2018年12月20日引用)※看護栄養学部の事例
マイナビ 現役大学生は「褒めて伸びるタイプ」が多数派! 「ほめられる」or「叱られる」どっちがやる気出る?.(2018年12月20日引用)
MEC 医学部生の保護者様へ.(2018年12月20日引用)
昭和薬科大学 6年間の教育プログラム.(2018年12月20日引用)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)