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模擬患者は一般市民だからこそ求められる(その2:標準模擬患者編)

標準模擬患者は主に医学生・薬学生の試験に携わるもので、大きな社会的意義があります。
その反面、一般模擬患者との相違点もありますから、役割を担う上では注意が必要です。
この記事では標準模擬患者の特徴と、患者役を務める際のポイントを解説します。

模擬患者は一般市民だからこそ求められる

標準模擬患者とは?

標準模擬患者とは?

標準模擬患者はさまざまな点で、一般模擬患者との違いがあります。
本記事では最初に、標準模擬患者とはなにか、また一般模擬患者とはどう違うかを解説します。

●標準模擬患者が関わる場面

標準模擬患者が関わる場面には、主に以下の2つがあります。

  • ○医学部や薬学部の4年生に対して行われる、基本的技能や態度を評価する試験(共用試験OSCE(オスキー))
  • ○医学部の卒業試験や研修修了時などに行われる、現場での診療能力を評価する試験(Advanced OSCE)

どちらも試験という重要な場に関わる点で社会的意義がある一方、あらかじめ決められたルールに従うことが必須です。
たとえば誰に対しても公平に、制限時間を守って対応するという点があります。
試験時間は薬学部の場合は5分、医学部の医療面接は10分となっています。

●一般模擬患者との違い

一般模擬患者との違い

一般模擬患者と標準模擬患者の目的には、以下に示す相違点があります。

  • ○一般模擬患者は医学生や薬学生のトレーニングに参加し、応対能力の向上を図る
  • 標準模擬患者は医学生や薬学生などの試験時に、応対能力を試す場面で参加する

一般模擬患者の場合は学生の成長を促すため、シナリオの範囲内で回答を工夫することや、患者から見たアドバイスが行えます。
このため、さまざまな医療機関で受診した経験を生かし、オリジナリティのある視点をもった応対が可能です。

一方で標準模擬患者が活躍する場面は試験のため、受験者ごとに対応を変えると正しい評価ができません。
従ってどの受験者にも公平に、同じような態度と言葉で接することが必須ですから、標準模擬患者は決められた対応方法と演技を習得しておく必要があります
加えて、ほかの標準模擬患者と対応方法を合わせることも求められます。

標準模擬患者の協力を得るメリット

OSCEは主に大学で実施される、患者役を必要とする試験です。
大学内で行う試験ならば、患者役も大学の教員で行えば手間いらずと思うかもしれません。

しかし試験を適切に行うには、患者役となる標準模擬患者を、一般市民から募集する必要があります
ここでは標準模擬患者の協力を得ることが必要な理由と、そのメリットを解説します。

●一般市民への応対能力を測る上で適する

医療を求める方のほとんどは一般市民であり、医学や薬に対して詳しくありません。
OSCEではこのような人に対して、わかりやすく説明できるかなどの応対能力が試されます。
標準模擬患者は専門家よりも医学や薬に対して詳しくない方が多いため、実際の場面に近い状況で能力を試すことができます。

一方、医療系の大学教員や薬剤師などの専門家は深い知識を持っているため、「わからない」という反応が自然な形でしにくいものです。
このため、専門家が標準模擬患者を務めることは適しません。

●初めて会う方と接することで、よい緊張感を持てる

医療機関や薬局では、初対面の方と接する機会も多いです。
このためOSCEでは、普段会わない人への対応が適切かどうかも、チェックの観点となります。
しかし大学教員が患者役を務めてしまうと、受験者は普段見慣れた人を相手とするため、緊張感を持ちにくくなりがちです。
これでは、試験を適切に行うことができません。

一方で外部の標準模擬患者が患者役を務める場合、その多くは初対面の方となります。
このため試験でもよい緊張感を持つことができ、正しい応対能力を測ることができます。

標準模擬患者を務める際のポイント

もしあなたが標準模擬患者を務めたいと思った際には、事前に知っておきたいポイントが3点あります。
いずれも、一般模擬患者とは異なる特徴を持つ内容です。

●一般模擬患者の経験者が望ましい

標準模擬患者は一般模擬患者のスキルに加えて、以下の能力が求められます。

  • ○どの受験者にも同じ対応をする
  • ○ほかの標準模擬患者と対応方法を合わせる
  • ○あらかじめ決められた基準に従い、受験者を評価する

従って標準模擬患者になるには、一般模擬患者の経験者が望ましいといえます。
いきなり標準模擬患者になると、覚えることや決まりが多く、ついていくことが大変になる可能性があります。

●十分な準備と練習が必要

標準模擬患者が受験者に対応する方法はあらかじめ決められていますから、アドリブで行うわけにはいきません。
一方で受験者の性格は個々に違いがありますから、同じ対応をしても反応は人により変わります。
従って受験者の反応にかかわらず平静を保ち、試験の基準にあわせた応対ができるようにするためには、事前に十分な練習を行うことが必要です。

また試験では、個々の受験者を評価する作業にも関わる場合が多いです。
この場合は試験の最初から最後まで一定の基準に従い、ブレのない評価が求められます。
いずれにしても、標準模擬患者を務めるには8時間から12時間程度の練習が必要です。

●試験内容の秘密は厳守

OSCEを含めた共用試験は、各大学で実施日が異なります。
2017年度の薬学部OSCEは、12月1日から翌年1月31日までの間で実施されました。

もし試験内容を家族などほかの人に話すとうわさ話となって広がり、後の日程で受験する学生に知られてしまう可能性があります。
このようなことが起きると、公正な試験の妨げとなってしまいます。

従って、標準模擬患者には守秘義務が課されます。
たとえば大学から資料を受け取った場合は、紛失しないようにきちんと管理する必要があります。
また標準模擬患者のことをほかの人に話す場合は、各大学のWebサイトや書籍、論文など、誰でも確認できる情報の範囲内にとどめましょう。

標準模擬患者は負担もあるが、達成感も大きい

標準模擬患者は負担もあるが、達成感も大きい

標準模擬患者は一般模擬患者と異なり、学生の将来を左右する重要な場面で活動します。
そのため細かいルールであってもきちんと守れること、また強い責任感も必要です。
一方で医学・薬学教育の重要な場面に関わることで、医療の発展に貢献でき、大きな達成感も味わえます。
標準模擬患者は負担もありますが、われこそはという方は一般模擬患者の経験を積んだ上で、参加するとよいでしょう。

参考:
佐貫久美子「他」: 標準模擬患者養成におけるICT機器活用による2段階トレーニングの実践と評価. 教育情報学研究 第16号: 49-59, 2017.
鈴木富雄,阿部恵子「他」:よくわかる医療面接と模擬患者. 名古屋大学出版会,名古屋,2011,pp.27-35,65-75.
阿部恵子「他」:標準模擬患者の練習状況とOSCEに対する意識:全国調査第二報.pp.259-265(2019年2月5日引用)
岡田啓太「他」:OSCEにおける試験官と模擬患者による評価の関連性.pp.367-371(2019年2月6日引用)
神戸学院大学 2018年度標準模擬患者(SP)募集.(2019年2月5日引用)
公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構.(2019年2月5日引用)
NPO法人 薬学共用試験センター 2017(平成29)年度薬学共用試験.pp.62-88(2019年2月5日引用)

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