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高齢者の隠れ結核にご注意を!分かりにくい高齢者結核のサインを医師が詳しく解説

結核は過去の病気というイメージが強いと思いますが、現在でも年間18,000人が新たに結核と診断されています。
特に、高齢者の結核患者や施設内での集団感染も増えているため、施設事業者にとっては注意すべき感染症の一つといえます。
ここでは、結核の特徴と予防対策、早期発見のためのポイントを医師が詳しく解説します。

分かりにくい高齢者結核のサインを医師が詳しく解説

結核とはどのような病気?

結核とはどのような病気?

結核は、結核菌に感染することによって発症する病気です。
結核菌は肺に感染して咳や痰、発熱などの症状を引き起こします。
悪化すると呼吸困難を生じたり、血液にのって全身に結核菌が行き渡ることで、髄膜炎や骨髄炎などの重篤な病気を併発することも少なくありません。
結核はどのように感染するのか、感染してから発症するまでの経緯、症状などを詳しく見てみましょう。

●結核は空気感染する

結核は空気感染によって感染が拡大していきます。
空気感染とは、空気中に漂う細菌やウイルスなどの病原体を別の人が吸い込むことによって感染が成立する感染様式です。
結核菌は、発症者の咳やくしゃみなどのしぶきと共に体外に排出されて空気中を漂う性質をもち、これを同じ空間にいる人が吸い込んでしまうことで感染が広がっていくのです。
とくに集団生活の場では、発病者が一人いると同じ部屋にいた多くの人に集団感染を引き起こす可能性が高くなります。

●感染してから発病するまでの経緯

風邪やインフルエンザなど一般的な感染症の場合は、感染すると2~10日間ほどの潜伏期間を経て、発熱や喉の痛みなどを引き起こします。
一方、結核は潜伏期間が非常に長いという特徴があります。
結核菌は力が弱い菌であるため、肺に入り込むと、身体に備わっている免疫の力によって硬い殻の中に封じ込められます。
このようにして封じ込める硬い殻を医学的に「乾酪壊死」と呼びます。
その名の通り、硬いチーズのような殻に覆われるため、悪さができず殻の中で眠った状態となるのです。
しかし、体調が悪くなったり、高齢になって免疫力が低下しがちになると、結核菌を封じ込めていた硬い殻が脆くなって結核菌が暴れだすことがあります。
その結果、肺の中に病巣を作って咳や痰、発熱などの症状を引き起こすのです。
このような状態を「発病」と呼びますが、結核菌に感染したとしても、一生の内に「発病」するのは15%ほどです。
つまり、結核菌に感染した人の85%は何ら症状もないまま一生を終えることになるのです。
「発病」するまでの期間は人によって異なりますが、最短で半年、長い場合は数十年になることも少なくありません。

●結核の症状

結核を発病すると、典型的には咳や痰などの呼吸器症状が見られます。
また、37.5度程度の微熱や倦怠感などが続き、体重減少や活力の低下が引き起こされることも少なくありません。
結核の初期症状はこのように、「軽い風邪」と思われがちな症状しか現れないため、見過ごされてしまうことが多々あります。
発見が遅れて進行すると、痰の中に血液が混ざったり、呼吸苦や胸痛などの症状が見られるようになります。
この段階で初めて病院を受診して結核と診断されるケースも多いですが、結核は進行すると死につながる可能性もある病気であり、今でも年間2,000人ほどの人が結核によって亡くなっています。

高齢者結核がなぜ増えているのか?

高齢者結核がなぜ増えているのか?

日本全体での結核患者数は年々減少していますが、85歳以上の患者数は増加傾向にあります。
それにともなって高齢者施設での集団発生事例も増加しており、一つの社会問題となっています。
なぜ高齢者の結核が増えているのでしょうか?原因を詳しくみてみましょう。

●既に結核に感染している人が多い

結核の治療には結核菌を死滅させるための抗生剤が使用されます。
抗生剤が開発される前の日本では、結核は不治の病として恐れられており、死因のトップを独走していました。
しかし、1944年に初めて結核菌に効果がある抗生剤ストレプトマイシンが開発され、結核患者数は激減しました。
現在85歳以上の高齢者は、日本で結核が蔓延していた時代に幼少期を過ごしており、既に結核菌に感染している人は80%を超えています
このため、加齢によって免疫力が低下すると結核を発病してしまう人が増えているのです。

●高齢化による基礎疾患の増加

結核は免疫力が低下すると発病しやすいため、糖尿病・COPD・腎臓病などの基礎疾患がある人や、免疫力を低下させるステロイドや抗リウマチ薬、抗がん剤などを使用している人は発病するリスクも高くなります。
高齢化によってこのような基礎疾患を持つ人が増えたことも、高齢者の結核患者が増加している原因の一つといえます。

結核の感染予防で注意すべきことは?

結核は空気感染するため、一般的な感染症と同じような感染予防対策では太刀打ちすることはできません。
結核の蔓延を予防するために注意すべきことをご紹介します。

●手洗い、マスクは効果なし

手洗い、マスクは効果なし

一般的な風邪やインフルエンザのような感染症の多くは、接触感染や飛沫感染と呼ばれる感染様式をもち、唾液や便などとともに排出された病原体を別の人が触ったり、口や鼻の中に入り込むことで感染します。
このため、一般的な感染症は手洗いや手指消毒、マスクの着用を徹底すればある程度は感染を予防することができるのです。
一方、空気感染は、同じ空間にいるだけで患者と直に接触しない場合でも感染する可能性があります。
また、空気中を漂う病原体は非常に小さな粒子であり、市販のマスクの繊維を通過するため予防効果はありません。
結核菌も同様であり、手洗いやマスクの着用を徹底しても感染を防ぐことはできないのです。

●感染蔓延を防ぐには早期発見が大切

結核は発病者が近くにいると、感染を予防するのは極めて困難です。
施設内での感染蔓延を防ぐには、利用者の体調変化にいち早く気づき、早期発見につなげることが大切です。
そのためにも、毎日の体温や食事量、活動性などをチェックして、2週間以上にわたる変調が見られた場合は嘱託医に相談したり、早めに病院を受診するようにしましょう。

高齢者結核のサイン

高齢者は咳や痰などの典型的な結核の症状が現れないことが多々あります
そのため、発見が遅れる傾向にあります。
次のような体調の変化は結核によって引き起こされていることがありますので、当てはまる項目が多い場合は病院で検査を受けましょう。

  1. 1)なんとなく元気がなくなり、ぐったりしている
  2. 2)日中も寝ていることが多くなった
  3. 3)睡眠中に汗をかきやすくなった
  4. 4)食欲がなく、体重が徐々に低下している
  5. 5)夜間眠れないことが多くなった

まとめ

現在、高齢者の結核患者増加にともない、高齢者施設内での集団感染が問題となっています。
結核の蔓延を予防するには、早期発見が何よりも大切です。
そのためには、日頃から利用者の体調管理を厳重に行って、変調がみられた場合は軽く考えず、早めに病院を受診するよう心がけましょう。

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