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治験と模擬患者の違いを解説―あなたに合った方法で医療への貢献を―

一般市民が医療の進歩に関わる手段としては、治験や模擬患者が代表的です。
この2つには手段や方法だけでなく、目的にも明確な違いがあります。
本記事では一般市民の視点から、治験と模擬患者でどのような違いがあるかについて解説します。

治験と模擬患者の違い

治験と模擬患者の目的は、それぞれ異なる

治験と模擬患者は、一般の方が医療の進歩に関わることができる点では同じです。
しかしその目的と求める効果は、大きく異なります。
ここではそれぞれの目的について、解説していきます。

●治験は、薬をテストすることが目的

治験は薬を世に出す前に、薬の有効性や用法・用量、副作用などをテストする目的で行われます。
テストされる薬のことを、「治験薬」と呼びます。
治験は薬の販売をする前の必須項目であり、以下の3つの段階を経ることが必要です。

第1段階:第Ⅰ相試験

少人数の健康な成人志願者あるいは患者に対して、ごく少量から少しずつ「治験薬」の投与量を増やしていき、安全性を調べます。また、「治験薬」がどのくらい体内に吸収され、どのくらいの時間でどのように体外に排出されるかも調べます。

第2段階:第Ⅱ相試験

少数の患者に「治験薬」を使ってもらいます。
次に、効果が期待できそうな少数の患者について、本当に病気を治す効果があるのか、どのような効き方をするのか、副作用はどの程度か、また、どの程度の量や使い方が良いかなどを調べます。

第3段階:第Ⅲ相試験

多数の患者に「治験薬」を使ってもらいます。
最後に、より多数の患者について、効果や安全性を最終的に確認します。

引用:国立成育医療研究センター 治験ってなあに? 

上記の引用文で示した通り、治験に参加する人の選定基準は、治験の段階やテストしたい内容により異なります。
第1段階では健康な人が、第2段階や第3段階では、薬の効果が期待できる患者さんが対象です。

なお治験には、さまざまな参加条件があります。
とりわけ1つの治験に参加した後、すぐに次の治験に参加することはできない場合が多いため注意が必要です。

●模擬患者は「将来の医療人」をトレーニングする

模擬患者は「将来の医療人」をトレーニングする

模擬患者は学生などの「将来の医療人」に対して、応対するスキルをトレーニングすることが目的です。
このため模擬患者の役割は、会話をすることが主体となります。
相手は医学部や薬学部、看護学部など、医療系の学生となることが多いです。
また実施する場所も、大学などが多くなります。

一方でコミュニケーションが取れれば、模擬患者としての役割は果たせます。
従って健康であるかどうかは、応募の要件に含まれない場合が多いです。
それよりも、「学生を育てる」という意欲のほうが求められます。

参加者に求められる役割にも、大きな違いがある

さきに説明した通り、治験と模擬患者は目的が異なります。
このため、参加者に求められる役割にも大きな違いがあります。

●治験は薬が不可欠

治験は薬が不可欠

治験に参加する場合は通院・入院を問わず、薬との関わりは不可欠です。
たとえば内服薬の場合は医師の指示に従い、定められた用法・用量を守って服用することになります。

その一方でルールさえ守れれば、高いコミュニケーション能力は求められません。
このため「人と関わることが苦手」という人でも、十分に対応できます。

●模擬患者は、コミュニケーションを取ることが役割

模擬患者は、コミュニケーションを取ることが役割

一方で模擬患者の場合、求められる役割は以下の通りとなります。

  • 自分自身の気持ちを伝えること
  • 学生が話しやすいように、コミュニケーションを工夫すること

また対話を通して、気づきを促すなども役割の1つにあげられます。

一方で模擬患者の場合でも薬を渡される場合がありますが、実際に服用することはありません。
これは模擬患者の場合、薬はあくまでもコミュニケーションの道具として使われるためです。
従って薬を渡された場合でも、指示がない限り開封しないように注意が必要です。

必要な時間や日数にも違いがある

治験と模擬患者では、あなたが費やす時間や日数についても違いがあります。
ここでは両者の相違点について、解説していきます。

両者の相違点について、解説

●治験にかかる時間はさまざまで、入院する場合もある

治験は、製薬会社が医療機関に依頼して実施されます。
従ってあなたが治験に参加する場合は、医療機関に出向くこととなります。

加えてあなたが必要とする時間は、治験の種類によってさまざまです。
たとえば通院で行う治験の場合は、医療機関に複数回通う必要があります。
この場合は、通院のために時間を確保することが必要です。

加えて治験には、病院に入院して行うものもあります。
この場合は定められた期間が終了するまで、24時間医療機関の管理下で過ごすことになります。
従って入院が必要な治験に応募できる方は、まとまった時間を取れる方に限られます。

●模擬患者の場合は、平日に数時間参加する場合が多い

模擬患者の場合、最も多く参加を求められる場面は大学生の教育です。
このため、実習が行われる平日の日中に参加するケースが多くなります。
また参加先によっては、別途研修などへの参加を求められる場合もあります。

いずれにしても1日当たりの所要時間は数時間程度です。
また、宿泊を必要とすることはほとんどありません。

治験と模擬患者は、どのような方に向いているか?

ここまで解説した通り、治験と模擬患者はどちらも医療に貢献できる点では同じです。
一方で、求められるスキルや日数などには大きな違いがあります。
ここでは治験と模擬患者それぞれについて、どのような方に向いているかを解説していきます。

●治験は今の病気で困っている方や、時間のある方に向く

治験に向いている方は、以下のどちらかに該当する人となります。

  • ○病気で困っている方
  • ○時間のある方

たとえば、もし新しい薬で今の苦しみが軽減されるならば、ぜひ使ってみたいと思う患者さんは多いでしょう。
このように「治験薬が対象とする病気」にかかっている方は、治験に向いている人の代表的な例にあげられます。

また治験のうち早期の段階では、健康な方に対して試験が行われます。
このため、時間のある方にも向いているといえるでしょう。

●模擬患者は「人を育てる」という意欲が大切

模擬患者の場合は薬ではなく、学生など「将来の医療人」を育てるという意欲が求められます。
育てるといっても、「教えてやる」という上から目線ではいけません。
学生の意欲を高めるために柔らかい表現力をもって、円滑にコミュニケーションを取ることが求められます。

とりわけ模擬患者では、ほかの人と会話をする場面が多く出てきます。
このため、「人が嫌い」という方には向きません。

情報収集を行い、あなたに合った方法を選ぶことが大切

ここまで解説した通り、治験と模擬患者は、実施方法や求められる役割に大きな違いがあります。
加えて応募先により、応募できる条件や求められる内容、役割は異なります。

このため治験や模擬患者に応募する際には、事前の情報収集が不可欠です。
どちらも説明会が行われていますから、興味のある方は積極的に参加することをおすすめします。
集めた情報をもとに、あなたの希望や得意なことを生かせる方法を選びましょう。

参考:
国立成育医療研究センター 治験ってなあに?.(2019年4月7日引用)
国立病院機構名古屋医療センター 治験の段階について.(2019年4月7日引用)
昭和大学 創薬ボランティアパネルへの登録について.(2019年4月15日引用)
国際医療福祉大学 模擬患者の会.(2019年4月15日引用)
日本医科大学 模擬患者(Simulated Patient)ボランティア募集のご案内.(2019年4月15日引用)
北海道大学薬学部 「模擬患者」をやってみませんか?.(2019年4月15日引用)
筑波大学 地域医療教育学 地域医療教育プログラムの詳細.(2019年4月15日引用)
日本製薬工業協会 治験とは 1.治験のルール.(2019年4月22日引用)
日本製薬工業協会 治験のしくみ.(2019年4月22日引用)
宮崎県医師会治験促進センター機構 一般の方へ.(2019年4月22日引用)
国立保健医療科学院 臨床研究情報ポータルサイト.(2019年4月22日引用)

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。
    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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