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中高年に多い股関節痛。その痛みは臼蓋形成不全かもしれません

腰や膝などの関節痛は、加齢に伴い、特別な病気がなくとも生じるものです。
湿布や鎮痛剤で様子をみている方も多いでしょう。
しかし、股関節痛には”加齢に伴う痛み”とは違う”病気”が隠れていることがあります。
加齢によるものと自己判断するまえに、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)を疑ってみてください。

中高年に多い股関節痛。その痛みは臼蓋形成不全かも

股関節痛を引き起こす”臼蓋形成不全”

股関節痛を引き起こす”臼蓋形成不全”

足の付け根が痛む、なんとなく違和感がある、足をうまく動かせなくなってきた…。
これら股関節の悩みの原因として広く知られている変形性股関節症は、中高年の女性に多くみられます。
まず30、40代になったころ、歩き始めに軽い痛みを感じます。
進行すると常に痛みがあるようになりますが、おしりや太ももの痛みと感じて股関節に問題があるとは思わない方もいます。
坐骨神経痛と診断され治療していたという方も多いのです。
太ももの後ろ側が痛む坐骨神経痛に対し、変形性股関節症の痛みは太ももの前や横に現れるという特徴があります。
変形が進むと安静にしていても痛みがあり、軟骨がどんどんすり減ってくるため、痛みのある側の足が短くなってきます。
左右の足の長さに差が出てくると、歩行時のバランスが保てず、歩き方が不安定になります。

不安定な歩行を続けていると、背中や腰、膝などにも負担がかかってしまいます。
この変形性股関節症は片側だけに起こる場合や、片側に発症したのちにもう片側にも発症する場合もあります。
しかし、変形性股関節症はなぜ起こるのでしょう。
「歳をとったからだろう、仕方がない」
そう考えている方が多いのではないでしょうか。
ところが日本においては、原因がはっきりしない変形性股関節症はごくわずかで、8割以上は臼蓋形成不全が原因であることが分かっているのです。

●臼蓋の役割と子供の股関節脱臼

聞きなれない臼蓋(きゅうがい)という骨は股関節にあり、大腿骨の先端(骨頭)の上を蓋のように覆っています。
この蓋は、大腿骨に重さを伝え、かつ動きを妨げないよう、骨頭の大きさに対してちょうどよい大きさでなければなりません。
しかし、臼蓋形成不全では、臼蓋が「ちょうどよい大きさ」に育たず、小さいために骨頭を十分に覆うことができません。

臼蓋形成不全がある赤ちゃんは股関節脱臼を起こしやすくなります。
乳児健診で股関節の状態をチェックするのはこのためです。
なかには、大腿骨を正しい位置に戻した(脱臼を整復した)だけで、臼蓋が発育する(臼蓋形成不全が改善される)こともあるのです。

●臼蓋形成不全から変形性股関節症へ

また、小さな臼蓋には過剰な負荷がかかります。
若いうちは軟骨の厚みがあるために症状はありませんが、加齢とともに軟骨がすり減り、骨は変形していきます。
臼蓋形成不全があることに気づかず中高年になり、変形した股関節が炎症を起こして痛みが出現する、これが変形性股関節症です。

臼蓋形成不全はなぜ起こるのか

●先天性の臼蓋形成不全

筆者の息子は、先天性の臼蓋形成不全です。
股関節脱臼は片側だけで軽いものでしたが、左右の臼蓋に深刻な形成不全があることが分かりました。
臼蓋は成長とともに変化していくものなので、脱臼を整復して臼蓋の発育を待ちましたが思うような結果は得られず、左右ともソルター手術(骨切り術)を受けました。
「このまま成長すると、早ければ10代後半で痛みが出る」可能性が高かったからです。
(高度な臼蓋形成不全の場合には、20代前後で股関節に痛みが出始めることもあります)
現在10代の息子は股関節の発育も良好で、痛みもなく、スポーツを楽しんでいます。

●後天性の臼蓋形成不全

赤ちゃんは普通、足をM字に開脚してバタバタ動かしています。
このように下肢を自由に動かすことは、股関節の発育にとって大変重要です。
下肢の動きを妨げるほどの厚着や抱き方も股関節の発育に影響していると考えられています。

●性ホルモンの関与

息子と同時期に脱臼の治療をしていたお子さんとは現在も交流がありますが、息子以外は全員女の子です。
先天性股関節脱臼は圧倒的に女の子に多く、性ホルモンが関与していることが知られています。
「変形性股関節症は中高年の女性に多い」理由がお分かりいただけたでしょうか。

●遺伝因子

「ご家族に同じような(臼蓋形成不全)方はいませんか?」
筆者も何度か医師に確認されました。
実際に先天性股関節脱臼の治療歴のあるお母さんが、同じく先天性股関節脱臼の娘さんの治療のために通院している、というケースは多かったです。
また、筆者の息子のように脱臼を整復しても臼蓋は発育しなかった、脱臼していない側にも臼蓋形成不全があったなどという場合は遺伝因子が強いようです。
筆者にも、股関節の検査を受けたほうが良いというアドバイスがありました。
先天性股関節脱臼の方と血縁関係にある女性は一度調べてみるのが良いかもしれません。

現在中高年の方々が赤ちゃんだった頃は、先天性股関節脱臼のお子さんは今よりも多く、反して診断技術は今よりも劣っていました。
ごく軽い脱臼は見つけることができず、そのため臼蓋形成不全も気づかれないまま成長し、中高年になってから痛みが出て発見されるケースもあるのです。

臼蓋形成不全と診断されたら

臼蓋形成不全であることが分かったら、まずは変形性股関節症に進行させないことが大切です。

  • ○体重を増やしすぎない、杖の利用
  • ○股関節周りの筋力トレーニング

臼蓋が小さい、つまり大腿骨骨頭を支える面積が小さいのですから、もともと臼蓋への負担が大きく、股関節は不安定です。
体重が増加すればその負担はさらに増え、軟骨がすり減るスピードが速まってしまいます。
進行予防には体重のコントロールが欠かせません。
また、股関節の不安定性をカバーするためにはおしりや太ももの筋力トレーニングも不可欠です。
ごく早期ならこちらの運動も参考にしてみてください。(左記リンク)
かといって、運動のしすぎは股関節に負担をかけることにもつながります。
水中ウォーキングは浮力を利用して効果的に訓練することができ、オススメです。
もちろん、痛みの強いときは安静が第一選択です。
トレーニングはこちらの記事も参考にどうぞ。
地域のみんなで重錘バンドを使った体操をしよう!リハビリに役立つ実践方法や効果を紹介

●変形性股関節症に進行してしまったら

臼蓋形成不全の程度が強い場合や、臼蓋形成不全から変形性股関節症に進行してしまった場合は骨切り術(骨盤を一部切り、臼蓋をつくる)や、人工骨頭置換術の手術療法が必要になります。
できるだけ早い段階で股関節の状態を知ることが大切なのです。

臼蓋形成不全は早期発見が重要

臼蓋形成不全や変形性股関節症は命に関わる病気ではありません。
「股関節の痛み」だけだからと、つい受診が遅れがちではないでしょうか。
とはいえ、股関節は歩くためになくてはならない関節であり、替えはありません。
股関節の専門医は臼蓋の状態をみれば、将来的な予測を立てることができます。
予測に応じた生活指導によって、大切な股関節を長く使うことができます。

股関節に痛みを感じたら、我慢せずにぜひ整形外科を受診してほしいと思います。

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