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  • 桑原

    公開日: 2019年10月29日
  • 先生のお話

慢性呼吸不全と診断されたら?リハビリの重要性と自宅でできるリハビリについて解説します

慢性呼吸不全は本来の肺の機能である息を吸う・吐くこと、血液中の二酸化炭素と酸素の交換を行う機能がうまく働かないことが慢性的に続く状態をいいます。
慢性呼吸不全となると息切れや呼吸苦が動作時、ひどくなると安静時にも出現します。
慢性呼吸不全の原因や症状、リハビリの重要性や自宅でできるリハビリについてご紹介しましょう。

慢性呼吸不全の原因や症状、リハビリ

慢性呼吸不全は日常生活動作に大きく影響を与える息切れが主な症状

慢性呼吸不全は息切れや呼吸苦が主な症状で、呼吸機能が低下している状態をいいます。
これらの症状があると日常生活動作にも影響を与え、活動範囲が狭くなります

●慢性呼吸不全の定義は1カ月以上続く血液中の酸素が低い状態

慢性呼吸不全は1カ月以上続く血液中の酸素が低い状態

呼吸不全とは肺の機能に何らかの障害がある場合に、酸素が十分に体に取り込まれず、血液の中に含まれる酸素の量が少なくなっている状態です。
時には二酸化炭素がたまり、意識障害を起こすこともあります。
1カ月以上も血液中の酸素不足が続いている状態を慢性呼吸不全と呼びます。
慢性呼吸不全が起こる原因としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核を患った後の後遺症、気管支拡張症、膠原病や薬剤の副作用などで起こる間質性肺炎、粉塵などを慢性的に吸引する職業病でもあるじん肺などが主なものです。
このような場合には、在宅酸素療法や在宅人工呼吸などの呼吸機能の補助を行う治療法が必要となります。

●症状は息切れや呼吸器だけではない!慢性呼吸不全はさまざまな臓器に影響

慢性呼吸不全は肺の機能に何らかの障害があり、血液中の酸素濃度が低いために軽い動作でも息切れや呼吸苦が現れます。
しかし、慢性呼吸不全は呼吸機能だけではなく、脳や心臓、血液や筋肉にも大きな影響を与えます

集中力の欠損、頭痛、抑うつ
心臓・循環器 心不全(酸素が足りないため、たくさん血液を全身に送る必要がある)
血液 多血症(血液が濃くなる)、貧血
筋肉 筋肉量の減少(息苦しいと摂食障害が起こり、栄養失調となるため)

このように、さまざまな臓器に負担がかかり二次的な障害として栄養失調や痩せなども起こります。

慢性呼吸不全に対する呼吸リハビリの重要性とその効果

慢性呼吸不全において、呼吸リハビリを行うことは日常生活動作や予後にも大きく関わるため非常に重要です。

●慢性呼吸不全の方に呼吸リハビリはどうして必要なのか

慢性呼吸不全の方々は呼吸が浅くなりやすく、肺を取り囲む肋骨の動きなども硬くなりがちなため、胸郭のストレッチなどにより息の吸い込みを良くしたり、息苦しくなった時にパニックにならないようにリラックスした呼吸法(パニックコントロール)を習得することが重要です。
また運動することで、運動に対する息切れや呼吸苦の発生する閾値が高くなり、日常生活などでの呼吸困難感を抑えることが可能となります。

●ガイドラインでも推奨!運動を行うと入院回数が減る効果も

慢性呼吸不全を引き起こす慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するガイドラインでは、過去の研究などにより呼吸リハビリの効果について述べられています。

  • ○運動能力が改善される
  • ○呼吸困難と感じることが少なくなる
  • ○入院回数の減少と入院日数の短縮
  • ○病気によるうつ症状と不安が軽くなる
  • ○生活の質が向上する

などの効果が期待できます。

自宅でできる慢性呼吸不全の呼吸リハビリ

ではここで、自宅でも行える慢性呼吸不全に対する呼吸リハビリをご紹介しましょう。
医師や担当のリハビリスタッフと相談して息切れや呼吸苦のない範囲から始めましょう。

●呼吸法を習得しよう!横隔膜の動きを最大限に回復させよう

慢性呼吸不全の原因としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺気腫などが主なものとなります。
慢性呼吸不全の場合には、横隔膜をあまり活用せず浅い呼吸となりがちです。

1)腹式呼吸

腹式呼吸

胸とお腹に手のひらを当て、鼻から息を吸いお腹を膨らませます。
口から息を吐き、お腹を凹ませます。

2)口すぼめ呼吸

口すぼめ呼吸""

息を吐く時にろうそくの火を吹き消すように口をすぼめて、フッーと息を吐き出します。

やりすぎは疲労により呼吸困難を招くため、呼吸苦を感じないように回数を調整しましょう。

●胸郭のストレッチも重要!運動とストレッチにも取り組もう!

呼吸を行う臓器である肺は肋骨と背骨、胸骨に囲まれてその下部は横隔膜に覆われています。
肋骨や背骨の動きが悪くなっても、十分に息が吸えないため息苦しくなります。
そのため胸郭のストレッチも運動と合わせて有用です。

1)上肢の運動とストレッチ

上肢の運動とストレッチ

息が苦しくなると肩の筋肉などを使用するため、肩こりが激しくなったり、首の動きも制限されます。

  • ○首を回す、前後左右に傾ける
  • ○肩をすくめる、楽にする、肩を回す
  • ○上半身を回す運動や前後左右に曲げる運動を行う

腕を水平より高く上げると肋骨と背骨もしくは胸骨との関節も多少動きます。
そのため腕を組んで伸びをすると息苦しくなることもあるので注意しましょう。

2)歩行や軽度の持久力運動

息が切れない速さ、距離での運動が最適です。
呼吸と歩行の調子を合わせるようにして、階段や坂道の場合には立ち止まり、大きく深呼吸を2~3回行ってからにしましょう。
特に在宅酸素療法などを行っていると自宅に引きこもりがちになってしまいますので、自宅周囲など短時間、短距離の歩行から始めましょう。
自転車エルゴメーターなどでの運動も可能ですが、担当の理学療法士などに運動の強さや時間などを調整してもらってから行いましょう。

慢性呼吸不全には呼吸リハビリは効果大!無理のない範囲で取り組もう

慢性呼吸不全は慢性的な息切れや呼吸苦のために、日常生活動作が制限されたり、脳や心臓、筋肉などにも大きな影響を与えます。
呼吸リハビリを継続的に行うことでこれらの悪影響が軽減され、さらに精神的な不安などにも良い効果があります。
無理のない範囲で取り組めるストレッチや呼吸法、軽度の運動などを自宅で取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考:
一般社団法人 日本呼吸器学会 呼吸器の病気 慢性呼吸不全.(2019年10月27日引用)
国立病院機構 西新潟中央病院 慢性呼吸不全とは?.(2019年10月27日引用)
日本理学療法士協会 12.慢性閉塞性肺疾患(COPD)理学療法診療ガイドライン.(2019年10月27日引用)
HOT wave No.18 呼吸リハビリテーションの現状と今後の展望 平成19年11月1日.(2019年10月27日引用)
公益財団法人 長寿科学振興財団 慢性呼吸不全のリハビリテーション.(2019年10月27日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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