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  • 桑原

    公開日: 2020年05月29日
  • 先生のお話

肺炎や呼吸困難を起こすこともある無気肺はリハビリで予防できる?無気肺のリハビリ、予防、対策について解説します

肺炎や肺水腫、がんなどにより空気の入れ替えができなくなると、無気肺(むきはい)が肺の一部に起こります。
無気肺が起こっている部分では、酸素と二酸化炭素の交換ができなくなるため、息苦しくなり、運動の耐久性も低下します。
今回は肺炎を引き起こすこともある無気肺のリハビリや、無気肺の予防などについてわかりやすく解説します。

術後の無気肺予防どんなリハビリを?

無気肺は呼吸困難や、血液中の酸素濃度が低くなる

無気肺は呼吸困難や、血液中の酸素濃度が低くなる

空気が入らず、酸素と二酸化炭素のガス交換ができない部分が生じる無気肺。
呼吸困難を起こしたり、血液中の酸素が薄くなったりします。

●無気肺とは、肺の一部の空気の出入り機能が失われた状態

無気肺とは異物や痰、がん組織、肺水腫などで、気管支や細気管支などの空気の通り道がふさがれたり、圧迫されたりすることをいいます。
すると空気を取り込むことができなくなるので、その肺の部分は肺胞などが膨らまずしぼんでしまいます。
空気の流れが悪くなり、無気肺になった部分は肺炎を起こすこともあります。

●無気肺になると呼吸困難や血液中の酸素の割合が低くなり、障害を起こす

無気肺はその範囲や程度にもよりますが、息が苦しくなる呼吸困難になったり、血液の中に含まれる酸素の濃度が低くなります。
そのために呼吸が速くなり、日常生活動作に支障をきたします。
また呼吸器に基礎疾患がある場合は、人工呼吸器の装着などに至る場合があります。
特に集中治療室に入室している心臓外科の手術や循環器内科、腹部手術後の患者さんに起こりやすいといわれています。

無気肺のリハビリはうつぶせなど。体の姿勢変換や痰の喀出を促す

無気肺になってしまったら、痰など気道をふさぐ物を体外に排出したり、空気の出入りがしやすいように身体の姿勢を整えるリハビリを行います。

●無気肺は外科の手術の後や、肺炎などの呼吸器疾患により寝たきりになると起こりやすい

外科の手術後、呼吸器疾患などの肺水腫や横隔膜の動きが悪くなることにより起こる無気肺。
空気の出入り口である口や喉から一番遠い場所にある、肺の背中側に起こりやすいといわれています。
手術後の急性期リハビリは、無気肺の予防のためにもできるだけベッドの上で寝て過ごす時間を減らし、座ったり、歩いたりすることが大切です。

●無気肺のリハビリは姿勢を整える、痰がスムーズにでるように促す

無気肺に効果的なのは、無気肺となっている肺の背中側に空気が出入りするように促す呼吸リハビリです。
痰を排出させるようにします。

たとえば、うつぶせになることで圧迫された肺の背中側に空気が入りやすくなります。
その状態で大きく深呼吸をする、または酸素バッグなどで、無気肺となった部分の肺を膨らませる方法でリハビリを行います。

無気肺にならないためには何に気をつけたらいい?対策と予防

無気肺にならないために、気をつけることは一体何でしょうか。

●まずは無気肺の原因を特定する必要がある。自力で起き上がれない場合、うつぶせの呼吸リハビリも効果的

無気肺はCTスキャンやMRI検査などで診断されますが、原因を突き止めリハビリを行う必要があります。
まずは、無気肺が起こっている場所の特定、レントゲン写真のみでは判断ができないため、CTやMRI画像を参考に場所や原因の特定が行われます。
ベッドの上で仰向け寝が多い場合には、背中側のさらに横隔膜に近い側に無気肺ができやすく、自力で起き上がれない場合にはうつぶせ寝にすることが効果的だといわれています。
また、長時間同じ身体の向きにするのではなく、横向きやベッドを起こして座るなど、寝返りが困難な場合には定期的に身体の向きを変えるなどの呼吸リハビリも重要です。

●無気肺の予防は離床を促すことが大切

無気肺の予防は離床を促すことが大切

無気肺の多くは寝たきり状態により、肺の背中側にできることが多く、予防するためにはできるだけベッドの上から離れる時間を増やすことです。
身体を起こし座ることで、無気肺となった部分へ空気が入りやすくなったり、呼吸のしやすさなども変化します。

また、仰向けの状態よりも身体を起こしているほうが横隔膜の位置がより低くなり、お腹に力を入れやすく、痰が吐き出しやすくなります。
そのためベッドサイドでの起き上がりや、車椅子座位などの日常生活動作を行うことで、痰が出しやすくなり、さらに肺の換気を促し、無気肺の予防にもつながるのです。

無気肺の予防には、早期のリハビリと寝たきり予防が大切

外科手術やベッド上での安静が必要となる身体状況では、無気肺と呼ばれる肺のガス交換が行われない部分を生じさせることがあります。
無気肺は呼吸困難や肺炎の原因となることもあり、寝たきりを予防するためのリハビリが重要となります。
無気肺や肺炎を予防するためにも、早期からのリハビリ、寝たきり予防対策をされることをおすすめします。

参考:
独立行政法人国立病院機構大阪刀根山医療センター 慢性の呼吸器疾患患者さまへの理学療法 リハビリテーション科.(2020年5月21日引用)
安藤守秀,片岡竹弘,他:急性期呼吸リハビリテーションの無気肺の予防・解除に対する効果.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌第20巻第3号,2010.(2020年5月21日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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