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  • 桑原

    公開日: 2020年08月14日
  • 先生のお話

新型コロナウイルスで起こる肺炎の後遺症、肺線維症。症状と長期的なリハビリテーションの重要性

世界中でパンデミックを起こしている新型コロナウイルスは重症な肺炎を起こすウイルスであり、重度の肺炎は回復後も肺に後遺症を残すことが示唆されています。
この新型コロナウイルスが引き起こす肺の後遺症、肺の線維化について症状やリハビリを中心に解説します。

新型コロナウイルスの後遺症とリハビリ

新型コロナウイルスなどの肺炎後に起こる肺線維症。後遺症はなぜ起こるのか

後遺症はなぜ起こる

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、重篤な呼吸器感染症が起こるといわれていますが、その後遺症について解説します。

●COVID-19による肺炎は間質性肺炎を引き起こす

新型コロナウイルスが、重篤な肺炎を起こすウイルスであることは皆さんご存じのことでしょう。
肺の末端の組織である肺胞と毛細血管の間にある組織(間質)が炎症を起こしてしまい、血液と肺胞で行われる酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなることにより、肺炎が起きます。
これを間質性肺炎といい、COVID-19では体内に侵入した新型コロナウイルスによって起こった体内での感染を、自身の免疫により治そうとする力が過剰に反応して、炎症を起こすのではといわれています。

●間質性肺炎を起こした肺の組織は線維化を起こし、酸素の供給が困難となる

炎症を起こした組織は線維化を起こし、硬くなるために、血液と肺胞の間で起こる酸素と二酸化炭素の交換に障害が生じます。
つまり、酸素と二酸化炭素の受け渡しをする際に通る膜が、硬く線維化した壁のように立ちはだかるために、酸素と二酸化炭素の交換がうまく行えなくなるのです。
血液中の酸素濃度が低くなると、酸素が体のすべての臓器へ運ばれなくなり、臓器が十分に機能しなくなります。
運動時の息切れが起こり、重度になると安静にしていても息苦しくなり、日常生活に支障をきたします。

酸素吸入が必要になることも。新型コロナウイルス肺炎による後遺症、肺線維症の症状と治療

後遺症、肺線維症の症状と治療

COVID-19の後遺症により、在宅酸素吸入や呼吸リハビリテーションなどの治療が必要となるケースもあります。

●息切れや咳、だるさなどの症状も。日常生活動作にも大きな影響を与える

肺の線維化は、ウイルス感染が治ってもすぐに改善されるわけではありません。
主な症状は、動作時の息切れ、咳、だるさなどですが、二次障害として不眠やうつ、不安なども起こり得るため、さまざまなケアが必要となります。

●体内の酸素濃度を保つために、在宅酸素療法や排痰や運動療法などが必要となるケースも

先ほどもお話ししたように、肺線維症は新型コロナウイルス感染の後遺症として、一定期間は持続されるようです。
通常、気管の上皮細胞の再生には約100日かかるといわれていますが、肺の修復についての詳しい過程や期間などについては不明で、COVID-19による肺のダメージの回復期間についてもよくわかっていません。
通常、間質性肺炎の治療後の患者さんは、血液中の酸素濃度が低い値となるため、在宅での酸素療法を推奨されることが多いです。
また肺線維症は運動によりさらに多くの酸素を必要とする傾向があり、COVID-19後の呼吸器後遺症に対しても酸素投与下での運動療法などのリハビリを通じて、日常生活に対応していく必要があるといえます。

呼吸リハビリテーションや運動療法も新型コロナウイルス肺炎後の後遺症には重要

呼吸リハビリテーション

COVID-19の後遺症に対して運動療法や呼吸リハビリなどを行うことで、日常生活動作の改善につながります。
また自宅復帰後の長期的なリハビリも視野に入れて進めることが大切です。

●COVID-19治療中の長期臥床により衰えた筋力と体力に対するリハビリには運動療法と筋トレ

COVID-19の肺炎による後遺症の一つ、肺線維症による血液中の酸素不足は日常生活動作に大きな影響を与えますが、ほかにもさまざまな障害が起こります。
たとえば長期間寝たきりになることにより筋力や体力の低下、整形外科的問題(痛みや関節の可動域が制限されるなど)、精神疾患や意識障害、多発性神経障害、栄養不良などさまざまな問題も合併してきます。
これらの障害に対しても運動や筋トレなどは重要ですが、運動療法の際に必要となる酸素が十分に得られない肺線維症の合併によりさらに日常生活が制限されることが予想されます。
筋力を維持するためのリハビリ機器などをうまく利用し、息切れを起こさない範囲でのリハビリを考慮しながら、日常生活動作の獲得を目指す必要があります

●息苦しさや咳、痰に対する排痰や呼吸リハビリも重要!

痰に対する排痰や呼吸リハビリも重要

COVID-19の後遺症である肺線維症による息切れや咳、痰などの症状に対して、呼吸筋の強化、口すぼめ呼吸、排痰などのリハビリも呼吸を楽にしてくれます。
ほかにも、息苦しくなったときのためのパニックコントロール、洗髪や更衣動作の工夫などの日常生活動作の訓練も重要なリハビリといえるでしょう。
在宅酸素療法が必要となる方のなかには、酸素吸入をしてのリハビリに不安を感じ、寝たきり状態になってしまう方や、酸素の扱いに不安を持たれる方も多いことでしょう。
そのような場合には、訪問リハビリや在宅訪問介護などのサービスを利用して、長期的なリハビリや生活支援などを考慮するようにしましょう。

新型コロナウイルス肺炎の後遺症には長期的なリハビリが必要

世界でパンデミックを起こしている新型コロナウイルスですが、今回は肺炎の後遺症、肺線維症に関して解説しました。
肺線維症は日常生活動作にも大きく制限をもたらし、長期にわたり息切れなどの症状に苦しむ可能性があるといわれています。
運動療法や呼吸リハビリなど、患者さんの日常生活活動の質を高めるためにも、長期的なリハビリを考慮、実践していくことが大切です。

※必ずお使いの製品の添付文書および取扱説明書をご確認の上、ご使用いただきますようお願い致します。

参考:
TOHOKU UNIVERSITY 呼吸器感染症の予防
http://www.apmid.med.tohoku.ac.jp/page15/page16/page16.html(2020年8月6日引用)

日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会 厚生労働科学研究特定疾患対策事業びまん性肺疾患研究班 特発性間質性肺炎の診断・治療ガイドライン
https://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/043030179j.pdf (2020年8月6日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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