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  • 桑原

    公開日: 2020年08月24日
  • 先生のお話

手足の震えの原因はパーキンソン病だけじゃない。家族性や加齢など震えの原因について解説します。

手足の震えをきたす病気としてはパーキンソン病が有名ですが、手足の震えは加齢によるものや疲労によっても見られる症状でもあります。
今回は手足の震えを起こす原因や特徴、その見分け方などについて解説します。

体のさまざまな部位に出現する「振戦」

震えは筋肉の収縮と弛緩が繰り返される、自分の意思とは異なる運動

震えは筋肉の収縮と弛緩が繰り返される、自分の意思とは異なる運動

震えは自分で止めたり、起こしたりすることができません。
では、どうして起こるのでしょうか。

●震えは不随意運動のひとつ、手足だけでなく、まぶたや顔などにも起こる

震えとは、体の一部分が自分の意思とは別に規則的に、一定方向に震える症状のことをいい、手や足、顔、頭など体の色々な部位に出現します。
震えは医学用語で振戦(しんせん)といい、安静時に起こるものと動作時に起こるものがあり、原因疾患によって異なります。

○安静時振戦

力を抜いた状態でも震えが現れる。
パーキンソン病やジストニアの一部

○動作時振戦

運動中に起こる震え。
本態性振戦やパーキンソン病の一部

●震えは、どの部位にどんなときに起こるのかに注意しよう。紙に線を引くと顕著にわかる

震えは細かいものや大きな震えなどさまざまで、細かいものは一見判断しにくいですが、紙に線を書いたりするとよくわかります。
どの部分に、どんなときに起こるのか前項でお話ししたものを基に観察することで、原因が何なのか判断しやすくなりますので、本人や家族は観察するとよいでしょう。
震えが起こることで、字が書けない、食事にも支障をきたす、人からの視線が気になる、など日常生活上の障害をもたらします。
緊張すると悪化する傾向が多いため、就労などに影響を与えます。

震え=パーキンソン病ではない。加齢によるものや遺伝により見られることが多い本態性振戦との見分け方

震え=パーキンソン病ではない。加齢によるものや遺伝により見られることが多い本態性振戦との見分け方

手足が震えると、パーキンソン病ではないかと心配される方も多くいらっしゃいます。
しかし加齢や遺伝による震えもあり、ここではこれらの違いについて述べてみましょう。

●加齢により起こる震えや遺伝による震え本態性振戦と、パーキンソン病の震えとの違い

震えの症状を起こす代表的な疾患として、パーキンソン病はよく知られており、震え=パーキンソン病ではないかと不安に思われる方もいらっしゃいます。
加齢により起こる震え(老年性振戦)や遺伝によるもの(本態性振戦)などは、しばしばその発症年齢などからパーキンソン病による震えとの鑑別が必要となります。

○本態性振戦

運動時に震えが起こり、精神的な緊張により増強、アルコールや鎮静剤で軽減するといわれます。
家族性のものも一部あり、その場合には思春期から青年期にかけて始まります。
薬物療法で治療を行います。

○老年性振戦

高齢者に起こり、パーキンソン病の振戦と似ています。
動作時に震えが起こり、筋肉がこわばる。
手や頭、顎、唇、舌によく見られます。

これらの疾患による震えとパーキンソン病との鑑別のためには、パーキンソン病で起こり得るその他の兆候、動きが遅くなる、静止時にも震えが見られる、などの症状があるかが重要となります。

●パーキンソン病で起こる震えはどんな震え?

前項にも書きましたが、パーキンソン病の場合は震えが特徴的な兆候として見られます。
パーキンソン病には、1) 静止時にも、2)手足に、3)大きな振れ幅の特徴的な震えが見られます。
その震えは、手の震えに顕著に見られ、指の動きは薬を丸めるような動きが見られます。
足の震えは座った際につま先やかかとで床をトントンと叩くような動きで、片手から始まり、足にも広がり次に反対側の手足に広がります。
しかしこれらの震えは、寝ている間には見られることはありません。

震えの原因は脳の障害や薬物によるものも。医師にかかるべき震えとは?

震えの原因は脳の障害や薬物によるものも。医師にかかるべき震えとは?

震えの原因は前項でもご紹介しましたが、脳の障害や精神的なもの、中毒によるものなどについてもご紹介します。

●アルコール中毒や小脳疾患で起こる震え、その特徴も解説します

本態性振戦や老年性振戦、パーキンソン病による振戦についてご紹介しましたが、ほかにもアルコールや薬物などの中毒による震え、小脳と呼ばれる脳の一部の障害による震えもあります。

○中毒による震え

手の指に多く見られ、震えの程度に規則性がない。
アルコール、タバコ、水銀やコカイン、甲状腺機能の亢進症であるバセドウ病でも見られます。

○小脳の障害による震え

運動時の震えが大きく見られます。
たとえば、コップを持ち水を飲む動作で口に近づくほど震えが強くなります。

これらは原因となっている疾患の治療が優先となります。

●震えが出現し心配。どんなときに医師にかかるべき?

震えが出現し心配。どんなときに医師にかかるべき?

震えは筋肉の疲労や筋力低下、寒さなどの生理的現象としても現れることがあります。
中毒や小脳の障害による震え、またパーキンソン病の震えは、元の疾患に対する治療が主な治療手段になるため神経内科の診察を受ける必要があります。
本態性振戦や老年性振戦の場合には、震えに対して、抗てんかん薬や精神安定剤などの投薬により治療が行われます。
特に発症年齢が50歳未満と加齢の影響が除外され、突然に起こる震え(家族に同じ症状の人がいない)の場合、歩行障害や筋力低下などのその他の神経症状の併発、脈拍が速い(甲状腺機能亢進の場合には脈拍も速くなる)などの震えとともに起こる特徴にも気をつけ、思い当たる場合には神経内科を受診しましょう。

震えの原因はパーキンソン病以外にもたくさん。加齢や遺伝性など気になる方は医師に相談を

震えは機能的な障害だけではなく、外観や作業に大きく影響するため日常生活や就労に大きな問題を引き起こします。
震え=パーキンソン病と考えられがちなため、加齢や脳の障害、甲状腺疾患などによる震えとの鑑別が必要です。
薬物治療により軽減する震えもありますので、今回解説した特徴に当てはまる方は神経内科の受診をおすすめします。

参考:
田崎義昭, 斎藤佳雄: ベッドサイドの神経の診かた 改訂18版. 南山堂, 東京, 2016, pp. 171−174.
大日本住友製薬 本態性振戦とパーキンソン病(2020年8月15日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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