在宅介護やリハビリなど健康をとり戻す生活に役立つ情報を。

  • Facebook

健康応援 OGスマイル

エコノミークラス症候群の半数は入院中に起きる!?予防するには早期リハビリが必要

エコノミークラス症候群は、旅行中に発症する病気という印象が強いですが、実は入院中に発症する方が半数を占めていることをご存じでしょうか。
飛行機などの狭い座席でずっと座っていると、脚から心臓に戻る血流が悪くなり、血管内で血が固まりやすくなります。
その血の塊(深部静脈血栓)が肺に詰まり、肺塞栓という状態になり、命を脅かします。
なぜエコノミークラス症候群(医学的には肺塞栓もしくは深部静脈血栓症といいます)が入院中に起きやすいのか、そのリスク、早期リハビリなどの必要性についてご説明いたします。

入院中にエコノミークラス症候群になる理由

エコノミークラス症候群はなぜ起きるのか?

エコノミークラス症候群はなぜ起きるのか?

エコノミークラス症候群は、ずっと同じ姿勢でいることで血流が悪くなり、血管内でよどんだ血が固まり、血の塊(深部静脈血栓、以下血栓と表記します)ができることが引き金となります。
身体の中心から遠い血管、脚や骨盤でできた血栓が、脚の静脈から血流にのって心臓に運ばれ、心臓からさらに肺に向かって血栓が流れた結果、肺動脈を詰まらせることで、呼吸困難の原因になり命を脅かすのです。
現在、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)は、初期はこれといった症状がないため早期発見が難しく、心筋梗塞より致死率が高いといわれています。

エコノミークラス症候群の3つのリスク因子とは

エコノミークラス症候群の3つのリスク因子とは

肺塞栓が起きやすいリスク因子は大きく分けると下の3つになります。

①血液が流れにくい

ギブスで固定されていたり、全身麻酔の後長い間寝ていたりすると、長時間脚を動かせない・動かしにくい状況になり、血流が停滞してしまいます。
また、肥満や妊娠などで体重が増えたときも、自分の重みで腰の静脈(腸骨静脈)を圧迫してしまうため、心臓に血が還りにくい体内環境になります。
さらに下肢静脈瘤ができると、足から心臓に還ってくる静脈のポンプの役割を果たす弁が破壊されてしまうため、心臓に還る血流が悪くなり、血液が足の中でたまってしまうことで血栓ができやすくなります。

②血が固まりやすい

脱水状態に陥ると、血液の粘度が増して血が固まりやすくなる状態になるため、血栓ができやすくなります。
悪性腫瘍(がん)になると、がん細胞自体が血管で密集し、腫瘍塞栓という血栓ができやすくなります。
胃がんや肺がんといった臓器のがんのほか、白血病も血液のがんであるため同じ状態となります。
また、妊娠中や各種手術の後や広範囲のやけどを負った後は、身体が大きなダメージを受けているため、血管に炎症が起きます。
すると、体質が変わり血が固まりやすくなるため、血栓ができやすくなってしまいます。

③血管を傷つけてしまう

喫煙や抗がん剤など一部の薬の副作用で血管が傷つきやすくなり、炎症が起きることで、血栓ができやすくなります。
喫煙や加齢で起きる動脈硬化でも血管自体が細くなり、血が固まりやすく、詰まりやすくなるため、エコノミークラス症候群のリスク因子だといわれています。

エコノミークラス症候群はなぜ入院中に起きやすいのか?

なぜ入院中にエコノミークラス症候群が起きやすいか、その理由は上で述べた3つのリスク因子、血が流れにくい環境、血が固まりやすい環境、血管が傷つきやすい環境が重なるからです。
入院中、特に手術後や病気の治療中は、安静にしているように医師から指示を受けていたり、体がだるくて動けなかったりと、脚を動かしにくい環境です。
入院中にずっと安静にしていることに加えて、がんや妊娠などの入院するきっかけとなった病状や体の状態もリスク因子となります。
大きな手術を受けて身体がダメージやストレスを受けると、どうしても脱水状態になりがちです。
また、血管に炎症が起き、血が固まりやすくなり、血栓ができやすくなります。
そして、血液が流れにくくなることで少しずつ血栓は大きくなってしまうのです。

早期リハビリはエコノミークラス症候群の最大の予防

早期リハビリはエコノミークラス症候群の最大の予防

入院中は、入院の原因となっている病気に加え、手術後などに安静を保つために寝たきりになってしまいエコノミークラス症候群のリスクが高まっている状態です。
また、食事もベッドまで配膳され、身の回りのことも見舞いに来た家族や親しい人にお願いできるため、ついつい動くことがおっくうになり、脚を動かすことが少なくなりがちです。
エコノミークラス症候群の原因となる血栓が作られる場所は、脚や骨盤の血管です。
特に長く寝ていた後、急にトイレに行くために立ち上がった際に、エコノミークラス症候群になりやすいといわれています。
急に立ち上がったり、歩いたりしたときに、脚が血を流すために一緒に血の塊も流してしまい、それが肺に詰まり、呼吸困難をきたすのです。
長期間寝ていた後、リハビリを始めるときは特に要注意といえるでしょう。
現在では入院中、肺塞栓の予防のために、リスクの高い方に弾性ストッキングやフットポンプなどを使用している施設も多数あります。
エコノミークラス症候群予防はできるだけ長く寝ている環境を作らないこと、脱水を防ぐために水分補給をしっかりすること、そして一刻も早くリハビリを始めること、すなわち脚を使うことが大事と考えられます。
寝たきりで廃用症候群になってしまうことだけでなく、エコノミークラス症候群の予防のためにもなるべく早くリハビリを始めましょう。

参考:
一般社団法人 日本循環器学会 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)(2020年9月20日引用)

  • 執筆者

    佐々木

  • 大学卒業後9年目医師です。 外科系医師として勤務し、手術の傍ら、医療系のライターの仕事をしています。救急の分野を得意とし、医学的根拠に基づいた記事を提供していきたいと思っております。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)