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  • 桑原

    公開日: 2020年11月13日
  • 先生のお話

B型肝炎ワクチンはなぜ必要? B型肝炎予防接種の普及と過去の集団接種で感染した方への補償についても解説

2016年10月より日本でもB型肝炎ワクチンが定期接種化しており、予防接種は感染を防ぐための重要な方法の一つです。
ではなぜB型肝炎ワクチン接種が必要なのか、B型肝炎に感染するとどうなるのかについて解説します。
また現在、過去のさまざまな予防接種でのB型肝炎ウイルスの集団感染が取り上げられており、その問題の現状についても解説します。

日本では100人に1人感染している B型肝炎とワクチンについて解説します

B型肝炎ワクチンはなぜ必要なのか?B型肝炎ウイルス感染の症状とは?

B型肝炎ワクチンはなぜ必要なのか?B型肝炎ウイルス感染の症状とは?

B型肝炎はなぜかかるといけないのか、症状やワクチンの必要性についてお話ししましょう。

●B型肝炎ウイルスに感染すると肝炎や肝硬変、肝臓がんになる可能性も。気になる症状について

B型肝炎ウイルスは世界中に広く分布しており、日本ではおよそ100人に1人の方が感染しているといわれています。
B型肝炎ウイルスに感染すると肝臓に炎症を起こす肝炎を発症することがあり、その肝炎が慢性的に起こると慢性肝炎という状態から肝硬変に陥ることがあります。
肝硬変は時に肝臓がんへ進行することがあるため、B型肝炎に罹患しないようにする必要があるのです。
肝炎の症状としては、意識消失や混濁、倦怠感や黄疸、吐き気や食欲不振といった症状が見られます。
B型肝炎の1〜2%の患者さんが劇症肝炎と呼ばれる肝不全と意識障害を主な症状とするものへと進行し、この劇症肝炎にかかると7〜8割の方が死に至るといわれています。

●B型肝炎の感染経路は出産時や性行為なども。感染症状の時間経過も2つのタイプ

B型肝炎の感染経路は出産時や性行為なども。感染症状の時間経過も2つのタイプ

B型肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染が広がるため、垂直感染と水平感染の2つの経路が存在します。

○垂直感染

出生時の母子感染、もしくは母親が妊娠中に産道や子宮内で感染。

○水平感染

性行為、入れ墨、ピアスの穿刺、注射針など医療機器の使い回しなど。
特に1988年以前の集団予防接種などは、注射針や注射器などの医療器具の消毒が十分でないまま使い回していた時代もあり、これらが原因で持続感染している方もいます。

B型肝炎ウイルスは、感染後一時的に肝炎を引き起こすのみで終わる一過性感染と6カ月以上肝炎が持続する持続感染の2つのタイプがあります。
持続感染は生涯にわたってウイルスのキャリアとなり、出産時を含む3歳未満の感染は持続感染となる可能性が高いといわれています。

日本におけるB型肝炎ワクチンの予防接種の今までと現状

日本におけるB型肝炎ワクチンの予防接種の今までと現状

B型肝炎ワクチンは冒頭でもお話しした通り、定期接種化したのがごく最近です。
定期接種の対象と接種方法について解説します。

●B型肝炎ワクチンは0歳から1歳までに3回接種が必要

B型肝炎ウイルスの感染は体液や血液を介して感染が起こるとされますが、免疫の構築が不十分な幼少期に感染すると持続感染を起こし、キャリア(B型肝炎ウイルスを体の中に保有すること)になりやすいとされています。
そのため、日本では2016年10月より、乳児期のB型肝炎ワクチンの定期接種化を制定しました。
これは4~6カ月の間にB型肝炎ワクチンを3回接種することで、体内にB型肝炎の抗体を作るというものです。
生後2カ月からB型肝炎ワクチンを接種でき、4週後に2回目、1回目の接種より20週以降に3回目の接種を行います。
1歳を過ぎるとワクチン接種が自己負担となることがありますので、ワクチンスケジュールを立てておくのが賢明です。

●B型肝炎ウイルスに感染する前にワクチン接種をして抗体を作るのが重要

乳幼児期にワクチンを接種すればほとんどの方が抗体を獲得できますが、年齢が高くなるにつれて抗体産生や持続期間が低下します。
とはいえ、20代であっても高い効果は期待できるので、血液や体液にさらされることが多い職種の方(医療従事者や消防士、警察官など)はB型肝炎ワクチンの予防接種を受けることをお勧めします。
また乳児の場合、母親がB型肝炎ウイルスのキャリアである場合はワクチン接種が強く推奨されます。
もし妊娠中にご自分がキャリアであることが判明した場合には、生後12時間以内に1回目のワクチン接種、生後1カ月で2回目、生後半年で3回目の接種と、通常スケジュールと異なるため、産婦人科と相談しておきましょう。

B型肝炎ウイルスは過去の予防接種時に集団感染している場合も。B型肝炎と診断されたら確認が必要なこと

型肝炎ウイルスは過去の予防接種時に集団感染している場合も。B型肝炎と診断されたら確認が必要なこと

1948年7月1日より1988年1月27日までに集団予防接種の注射器の使い回しなどが原因、もしくはその方から母子感染した方は政府から給付金が支給されることがあります。

●給付金の受給はどのような条件があるのか。B型肝炎ウイルス感染は最大40万人ともいわれる

給付金は1948年7月1日から1988年1月27日までの間で、7歳になるまでに集団予防接種等の注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した方、もしくはその親から親子感染した方を対象にしています。
この条件には、集団予防接種以外のB型肝炎ウイルスへの暴露が考えられない場合に限ります。
給付対象となる方は裁判所に、国を相手とした損害賠償請求を行い、認められる必要があります。

●給付金の条件に該当する可能性がある場合、どうすればいいのか。給付金申請について解説

給付金支給の認定にはまずは国に対して、当該者として損害賠償を請求する訴訟や調停の申し立てを行い、裁判所により認定、和解手続きを行う必要があります。
また、これらの手続きのために救済を受ける条件を証明する書類を証拠として示す必要があります。
弁護士費用や証拠となる医療検査に関しても、補償の対象として支払われるため、十分な証拠がある場合には弁護士さんに委ねることも可能です。
ご自分での提訴を考えている場合には、下記の資料を参考にされると良いでしょう。

B型肝炎訴訟の手続き
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000204341.pdf

給付される金額は条件によりますが、死亡例や肝臓がん、肝硬変などの重症例には3,600万円、軽度の肝硬変の場合には2,500万円、慢性肝炎の場合には1,250万円、無症候性キャリアの場合でも、600万円程度の支給があるといわれています。
これらのなかには家族に対する水平感染の有無の確認や定期検診、ワクチン接種なども含まれています。

B型肝炎についてよく知り、感染防止のため予防接種の必要性を再確認

B型肝炎ウイルスは慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんへの移行、持続感染を引き起こすウイルスです。
日本でも近年予防接種の必要性から定期接種化となりました。
乳幼児期にB型肝炎ワクチンを接種することで抗体の獲得が容易ですが、20代であっても抗体の獲得は可能であり、接種年齢によって異なりますが15年ぐらい抗体保有が可能ともいわれています。
B型肝炎ウイルスに暴露されやすい職種の方はB型肝炎ワクチンの予防接種を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター B型肝炎(2020年11月12日引用)
一般社団法人 日本肝臓学会 B型肝炎、どのような病気?(2020年11月12日引用)
公益社団法人 日本小児科学会 B型肝炎ウイルス母子感染予防のための新しい指針(2020年11月12日引用)
厚生労働省 B型肝炎訴訟について(2020年11月12日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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