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  • 桑原

    公開日: 2020年11月30日
  • 先生のお話

キアリ奇形は側弯や脊髄空洞症を併発することも。病態とそのリハビリについて解説します

アーノルド・キアリ奇形(キアリ奇形)は脳の奇形の一つであり、二分脊椎や脊髄空洞症を合併することがあります。
そのためしびれや運動障害つまり麻痺などを引き起こすことがあり、リハビリの対象となることがあります。
今回はこのキアリ奇形の病態やリハビリについてお話しすることにしましょう。

キアリ奇形の病態とリハビリを解説します

キアリ奇形はどのような病態なのか、なぜ脊髄に異常を引き起こすのか

キアリ奇形はどのような病態なのか、なぜ脊髄に異常を引き起こすのか

キアリ奇形は脊髄に空洞ができる脳の奇形として知られていますが、一体どのような病態なのでしょうか。

●キアリ奇形は脳の下部にある小脳が落ち込んだ脳奇形

キアリ奇形と一般的に呼ばれる脳奇形は、アーノルド・キアリ奇形という名称で専門用語では呼ばれるものです。
キアリ奇形の定義としては、大脳の下にある小脳や脳幹(延髄、橋)といった脳の一部分が通常よりも下方向に落ち込んだ状態の脳の奇形です。
具体的には、小脳や脳幹のすぐ下には脊髄からの神経が脳につながるための大後頭孔と呼ばれる大きな穴のような部分があり、その穴よりも脊髄側に落ち込んでしまっている脳奇形です。
脳のMRI検査により異常を確認することができますが、詳しい原因はわかっていないのが現状です。

●小脳が落ち込むことで脳の中にある脳脊髄液の循環が悪くなり、脊髄の中央部が空洞になる

キアリ奇形により、脳と脊髄の移行部に異常をきたすことで起こる合併症状として、脳脊髄液の循環障害による脊髄空洞症を引き起こすことがあります。
つまり、本来なら脳と脊髄を行き来すべき脳脊髄液が小脳や脳幹部が下垂することにより、何らかの理由で脊髄の中心部にある管に必要以上にたまり、空洞ができたように見えます。
脊髄の空洞が大きくなると脊髄の神経などを圧迫し、うまく機能しなくなります。

キアリ奇形の症状と治療法。脊髄空洞症やほかに起こりやすい合併症とは

キアリ奇形の症状と治療法。脊髄空洞症やほかに起こりやすい合併症とは水頭症や側湾症

キアリ奇形の具体的な症状や治療法、また合併症として起こりやすいものについてお話しすることにしましょう。

●キアリ奇形には無症候の人も。具体的な症状と治療法とは

キアリ奇形には無症状の方もいらっしゃいますが、主な症状としては、咳き込むと発生する頭痛、後頭部や首の痛み、さらにはめまいや声のかすれ(嗄声:させい)、誤嚥、歩行障害などがあります。
また脊髄空洞症を合併することにより腕や手の筋力低下やしびれなどが現れることがありますが、これらの症状は数十年かけてゆっくり進行します。
症状がひどい、または進行している場合には、脊髄側に落ち込んだ小脳や延髄の圧迫を取り除くために頭蓋骨の下部にある大後頭孔を広げる手術を行います。
それでも脊髄空洞症が改善されない場合には、脊髄の空洞部分にシャントと呼ばれるチューブを入れ、たまった脊髄液を流すバイパスを作ることもあります。
幸運にも無症候の場合には、様子観察となります。

●キアリ奇形は高確率で脊髄空洞症を併発する。ほかに合併しやすいものは水頭症や側湾症

キアリ奇形は高確率で脊髄空洞症を併発する。ほかに合併しやすいものは水頭症や側湾症

キアリ奇形に合併する脊髄空洞症はキアリ奇形の約50%に起こるといわれ、脊髄空洞症の約1/3に側弯と1〜3割に水頭症を合併します。
脊髄空洞症は難病にも指定されており、症状として痛みや温度の感覚が鈍る温痛覚麻痺やしびれ、力が入りにくくなる運動麻痺を起こすことがあります。
キアリ奇形が引き起こす合併症により、さまざまな身体症状が現れ、それに対する治療やリハビリが必要となります。
またキアリ奇形について遺伝性は証明されていませんが、まれに家族性に起こりうる可能性が示唆されています。

キアリ奇形におけるリハビリ対象となる症状とリハビリ

キアリ奇形におけるリハビリ対象となる症状とリハビリ

キアリ奇形の症状のなかには脊髄空洞症などから起こるリハビリの対象となる症状もあります。
そのリハビリについてお話ししましょう。

●キアリ奇形によって引き起こされる症状のなかでリハビリの必要なもの

先ほど述べたように原疾患であるキアリ奇形で起こる症状と合併する脊髄空洞症や側弯などにより起こる症状にはリハビリの適応となるものがあります。
特に原疾患で起こる運動麻痺やそれに伴う歩行障害、日常生活動作の障害に対してはリハビリの適応となります。

●キアリ奇形の症状に対する具体的なリハビリと注意点

キアリ奇形に関連する症状に対するリハビリは根本的な原因を取り除くアプローチではなくあくまで対処的なものとなります。
そのため、原疾患の状態が悪化すればリハビリの効果は得にくく、現状を維持し、いかに日常生活を自力で行えるようにするのかというリハビリとなります。
特に脊髄空洞症では上肢にしびれや感覚障害、運動麻痺などが起こるため、理学療法だけではなく作業療法による巧緻性の向上などといったリハビリが重要となります。

キアリ奇形は原疾患と合併症に対する治療やリハビリが必要

キアリ奇形はいまだに詳しい原因はわかっていませんが、原疾患による症状だけではなく合併症により引き起こされる脊髄空洞症で身体的な機能障害を呈します。
また脊髄空洞症は難病にも指定されており、症状に合わせて様子観察や大後頭孔の除圧手術やシャントの形成などが必要となると同時に、日常生活動作訓練などのリハビリも重要となります。

参考:
地方独立行政法人秋田県立病院機構 秋田県立循環器・脳脊髄センター 脊髄空洞症、キアリ奇形(2020年11月25日引用)
日本脊髄外科学会 脊髄空洞症(2020年11月25日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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