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  • 桑原

    公開日: 2021年02月18日
  • 先生のお話

DNRを選択する上で家族が考えることは年齢や予後、生前の本人の希望

日本は超高齢化社会を迎え、医療の進歩により高齢者に対する医療介入について考える必要に迫られる場合も起こり得ます。
本人の意思や家族の思いについて考えるべきなのか、どのような状況下においてどんなことを考える必要があるのか、どのようにして意思表示するのかなどについて考えてみることにしましょう。

家族の延命 いつまで?どこまで?DNRを考える

DNRとは?その意味と具体的な医療行為を解説

DNRとは?その意味と具体的な医療行為を解説

DNRとは蘇生措置を拒否することですが、その詳しい内容についてお話しすることにしましょう。

●DNRとはDo Not Resuscitation(蘇生)の略、つまり蘇生をしないということ

医療の現場でDNRと呼ばれる蘇生を拒否する意味の“Do Not Resuscitation”という言葉があります。
最近では蘇生を試みる行為ということから、DNAR(Do Not Attempt Resuscitation) と呼ばれることもあります。
つまり、患者さん本人や家族の希望により、Do(する)かDo Not(しない)を蘇生が必要となる前に選択します。
医師から予後が残り少ないと判断された場合や治療による改善が難しいと判断された場合に、あらかじめ家族に提示されることもあります。

●蘇生とは具体的にどのような医療行為をいうのか

DNRは時にすべての医療行為を拒否することと勘違いされがちですが、そうではなく、自然な最後を迎えたいまたは迎えさせてあげたいというものです。
蘇生行為とは具体的にどのような医療行為をいうのか下記に一例をご紹介します。

  1. ○胸骨圧迫による心臓マッサージ
  2. ○気管内挿管
  3. ○人工呼吸器装着
  4. ○薬物投与(血圧を上げる薬など)

これらの医療行為が蘇生を行う際に行われる可能性の高いものであり、時にAEDなどによる除細動(心臓に電気を流し、死に至る不整脈を治療する)が行われる場合もあります。

DNRの意思表示は自宅にいても可能

DNRの意思表示は自宅にいても可能

本人や家族の一員がDNRの意思表示を行えますが、果たしてどのような状況において可能なのか、また意思の変更は途中で可能なのでしょうか。

●DNRは医療または介護施設に入所していない自宅や外出先での突然の出来事でも選択できる

DNRを選択するか否かについては、病院の集中治療室に入院している、介護施設などに入所している患者さんだけに選択権があるというわけではありません。
自宅で元気に暮らすご高齢の方で、突然の病や外出先での出来事で医療機関に運ばれるといった状況下においても、あらかじめ意思を示しておくことは可能です。
Living willという形での終活の一つとして、自己決定する考えは諸外国では取り入れられています。

●DNRは1回決定しても変更することは可能。変更することをためらわないで

DNRの意思決定は、その場で納得、または決定の意思を医療者側へ伝えた後も、考えは揺らぐものです。
ご家族がその決定を下す際には、親類などとの話し合い、また喪失感への恐怖からも考えが変わる場合もありますし、ご本人が意思選択をする場合にも、どうしようか迷うこともあるでしょう。
それほどDNRの決断とは大きく、また重要なものであることは医療者も理解しています。迷ったときには、ためらわず方針を変えることも可能ですし、終末期にはむしろ定期的に考える場を持ち、方針決定に変更がないのか見直すことが大切です。

患者本人と家族の選択、病状との向き合い

患者本人と家族の選択、病状との向き合い

先にお話ししたように終末期医療をスムーズに進めるためにも、知ること、準備することが重要です。

●家族がするべきことは、知識を得て最善の選択をする、また準備をすることが大切

家族にとって大切な人を急に送り出すというのは、喪失感も強く大きなダメージになります。
歳を取るとどうなっていくのか、終末期の医療がどのようなものなのかなどについて、知識を得ることをおすすめします。
たとえば筋萎縮性側索硬化症(ALS)の場合、人工呼吸器を一度つけると、話せない、食事も取れない状態で長く床に伏せることになる可能性もあります。
かかりつけ医や入院中であれば、主治医に話を聞くのもいち手段ですし、同じような経験をした方や書籍、メディアなどで情報を得ることもできます。

●本人の希望を元気な間に聞いておくのも良案

大切な人に関する判断とはいえ、最期をどう迎えるかの決断は重く難しいものです。
元気な間に、苦しく永らえたくないという本人の希望を聞ける機会があれば、それとなく聞いておくのも残された家族が後に苦しまなくてよい手段の一つかもしれません。
終活を考えているご高齢の方は、ご家族などに話しておく、手紙や文書で残しておくことを考慮されるのも残された家族への配慮として重要となるでしょう。
文書例をダウンロードすることもできます。
https://www.city.handa.lg.jp/hoken-c/kenko/iryo/hoken/jizensijisho.html
ほかにも意思表示カードやブレスレットを装着し、自宅や外出先での突然の出来事にも、ご自身の意思を示すことができるツールも販売されています。

本人・家族が自然な終わりを望む場合にはDNRで意思表示を

これまでも述べてきたようにDNRは、大きな選択であり簡単に決定できる事柄でないというのは周知の事実です。
しかし高齢化社会が進む日本において、本人または家族がぶつかる大きな壁であり、知っておくこと、考える機会を定期的に持つことが重要です。

参考:
The Scottish Government Do Not Attempt Cardiopulmonary Resuscitation (DNACPR) – integrated adult policy: guidance(2021年1月12日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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