ICU、HCUってどんなところ?何をするの?あなたの疑問を解説します
入院するときに利用する病棟。
入院居室には一般の入院居室である大部屋や個室のほかに、集中治療室(ICU)や高度治療室(HCU)と呼ばれる面会制限のある居室があります。
ドラマなどで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
そのICU、HCUについてどんな部屋なのか、一般の入院居室と違う部分について解説します。
ICU、HCUは集中治療室、高度治療室の略語
まずはICUとHCUはどのような意味なのでしょうか。
それぞれの部屋が持つ一般的な病棟とは異なる設備について解説します。
●ICUとHCUの言葉の由来は集中治療室、高度治療室
ICUとはIntensive Care Unit の頭文字をとったもので、Intensiveは集中的な、Careは治療、Unitは単位、という意味の英単語です。
つまり直訳すると集中治療を行う1つの単位という意味を持ちます。
HCUとはHigh Care Unitの略語で、このHighは高度という意味合いで使われるため、こちらも直訳すると高度な治療を行う単位という意味を持っています。
●一般病棟とは異なり高度な治療を行える設備が用意されている
人工呼吸器やカテーテルが挿入されている、もしくは昏睡状態にあるなど、容態が急変する可能性がある患者さんがICUやHCUに入室する対象となります。
ICUはたいていの病院や施設において、一般の病室と区切られた場所にあり、基本的にはどんな病気であっても入室可能な独立した部屋となっています。
HCUは各病棟に何床か、看護師さんの詰所から目の届く場所にあることが多いです。
ICUは一般病棟とどう違うのか
ICUは一般病棟とどのような点で異なるのでしょうか。
●ICUは生命維持装置など救命を目的とした治療や看護を行う
ICUは24時間体制で身体状態を観察・管理する必要がある患者さんが入室し、治療を受ける部屋です。
たとえば、生命を維持するための人工呼吸器や持続して透析を行う機器、人工心肺装置(ECMOなど)や、身体状況を監視するために必要な各種モニター、カテーテル・ドレーンと呼ばれる体液を排出する管、点滴やIVHなどの輸液する管などが患者さんにつながれていることが多いです。
重症の心臓や循環器疾患、意識障害、重度の脳卒中、肺炎などの感染症、一部の外科術後など、さまざまな状態で救命が必要な患者さんが入室し治療を受けます。
施設によってはICU専属の医師がいて、診療科の医師と連携を取りながら救命のための治療にあたります。
●看護や治療が24時間にわたり行われるので、面会時間が限られていることが多い
一般の病室であれば、看護師さん1人につき患者さんを7~10人(施設による)受け持ちますが、ICUの場合は看護師さん1人につき2人までとなっています。
頻繁に観察する必要がある、つまり持続的に血圧や脈拍などをみて問題がないかどうか確認しないといけない身体状況であるため、看護師さん1人で受け持つ人数が少なく密度の濃い観察を一人ひとりの患者さんに対して行います。
そのため、面会などは決まった時間に限られた時間のみ許されていることが多く(緊急事以外)患者さんの治療や看護が優先されます。
HCUは病棟に付属していることが多い
HCUはICUとまたは一般病棟とどのような点で違うのか、またどのような位置づけとされているのか、詳しく解説します。
●HCUはICUと一般病棟のちょうど中間に当たる入院居室
HCUは準集中治療室とも呼ばれ、ICUと一般病棟のちょうど中間に位置するような入院居室です。
ICUに入室している方とくらべると重症度は低くなりますが、通常の一般病棟では治療や看護が難しい患者さんが入室し、重症化しないように必要な治療や看護が行われます。
たとえば、外科の手術直後やさまざまな病気の急性期治療、悪化すると生命が危ぶまれるような場合に入室します。
入室する患者さんはICUと同じく診療科に関係なく医療を受けます。
●一般病棟より密な治療や看護を行うことがある施設設備が兼ね備えられ、治療者の目が届きやすい
HCUは一般の病室よりも看護師さん1人当たりの担当する患者数が4人前後と少なく、より密な治療が必要な患者さんの治療を行います。
人工呼吸器や高濃度の酸素投与、体液を排出する管がたくさん入っている場合や意識がもうろうとしている場合などがその対象となることが多いです。
病棟の詰所に近い部屋に位置していることも多く、身体状況が改善すれば一般病棟へ移ることができ、スムーズな回復を促すことが可能です。
救命を目的に密度の高い治療を受けられる部屋、それがICUとHCU
ICUやHCUはその名の通り、集中的な治療や高度な治療を行う設備の整った特別な入院部屋です。
さまざまな病気やけがと闘う患者さんが、24時間にわたって密度の高い治療や看護を受けることができます。
面会制限や運動制限などさまざまな不自由を強いられることがありますが、最近ではICU、HCUの中でもリハビリが推奨され、病気と闘う人が早く社会復帰できるように尽力されています。
参考:日本集中治療医学会 集中治療とは(2021年2月25日引用)
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執筆者
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1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士