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アレルギー患者とアレルギー対策基本法

アレルギー疾患の患者さんは年々増え続けています。
アレルギー疾患はさまざまな原因が重なり合って発症します。
発症すると生活の質が著しく低下すること、そして時には重症になり命を落とす可能性があります。
国、地方自治体、医師、医療関係者、学校の職員、そして私たち一人ひとりに正しい知識、責任を持って対応してもらうため、アレルギー対策基本法が2014年に設立されました。

知っておきたい アレルギーの基礎知識

アレルギー性疾患の原因はすべて同じ、アレルギーマーチについて

アレルギー性疾患とは、具体的には気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーなど、アレルゲン(アレルギーの原因となる食べ物や薬など)が原因として引き起こされる疾患です。
原因がはっきりとわからないこともあり、1つの箇所ではなく、気道、皮膚、鼻粘膜、結膜などの複数の箇所に慢性炎症を引き起こします。
アレルギーマーチ
どうしてこのようなアレルギーが引き起こされるのでしょうか?
本来は細菌やウイルスなどの有害なものに対して免疫反応が起きるはずなのですが、環境や体質によって、本来は無害である物質に対して免疫反応が過剰に起きてしまうことがあります。
本来は無害である物質である、アレルゲン(アレルギー物質)が体内に入ると、敵が入ったとみなし、リンパ球という白血球がIgEという抗体を作ります。
再度、同じアレルゲン(アレルギー物質)が入ってくると、IgEと付着することで、気道、皮膚、鼻粘膜、結膜などの身体のさまざまな箇所でヒスタミンを放出し、炎症が起き、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーなどのアレルギー性疾患を引き起こすのです。
これらのアレルギー性疾患は、病態としては場所が違うだけで同じであり、複数の疾患が重なり合います。
たとえば、ぜんそくにアレルギー性鼻炎を合併している人は67%といわれ、アトピー性皮膚炎の人の50%はぜんそくや鼻炎を発症するといわれています。
これらはアレルギーマーチとして1人の患者さんの病歴をたどると、年齢によって起きやすい疾患が変わり、成人になるまでに複数のアレルギー性疾患を発症していることがわかるのです。

それぞれのアレルギー性疾患について

それぞれのアレルギー性疾患について

1.気管支ぜんそく

アレルゲンを吸入することによって起こる気道の炎症です。
原因としては家ダニが多いですが、スギやブタクサなどの花粉、イヌやネコなどのペット、アスペルギルスなどの真菌(カビ)も原因として挙げられます。
アレルゲンを吸入した後、気道のリンパ球が活性化し、ヒスタミンやそのほかの化学性物質によって気道に浮腫を起こすことや気道の平滑筋が攣縮(れんしゅく)することによって気道が細くなり、喘鳴や呼吸困難を引き起こします。
また、発症した数時間後にリンパ球や好酸球が活性化されることで再び気道狭窄を生じ(遅延型アレルギー)、これが気管支ぜんそくの重症化や慢性化につながるのです。
気管支ぜんそく自体でも死に至る重症な病気ですが、心不全などの心疾患や肺炎などの感染と合併することで、非常に重篤な状態に至る病気です。

2.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

1,掻痒(そうよう) 2,特徴的な皮疹と分布 3,慢性で反復的な経過、の3項目を満たすものをアトピー性皮膚炎と診断します。
年齢によって分布場所が変わるのですが、乳児期は顔や頭からはじまり体幹や下肢に病変が下降すること、幼少期は四肢や頸部に多いこと、思春期以降は上半身に病変が多いといわれています。
湿疹は左右対称に出ます。
重症化すると感染に至り、ヘルペスウイルス感染によるカポジ肉腫や、細菌性感染による蜂窩織炎(ほうかしきえん)を合併します。
カポジ肉腫はHIVに本来は多い合併症でありますが、肝臓や消化管に病変が達した場合は大出血を起こし死に至ります。
また、蜂窩織炎も傷ついた皮膚から細菌が入ることで感染を起こし、敗血症という重篤な状態になると死に至る病気となります。

3.アレルギー性鼻炎

いわゆる花粉症ですが、鼻粘膜に炎症を引き起こします。
くしゃみ、水様性鼻汁、鼻閉を3主徴とするアレルギーです。
季節性アレルギーの原因は主にスギであり、通年性アレルギーの原因はダニです。
年々、アレルギー性鼻炎の患者さんは本邦で増えており、日本人におけるスギ花粉症の有病率は25~30%といわれています。
鼻アレルギー診療ガイドラインでは、くしゃみをした回数、鼻閉の程度で重症度を分類しており、くしゃみや鼻をかむ回数が1日に5回以内を軽症、6~10回程度を中等症、11~20回を重症、21回以上を最重症というように定義しています。
重症化したときに、死に至ることはないですが、仕事や学業などを妨げ、生活の質を著しく下げます。
鼻閉により、睡眠障害をきたすこともあります。

4.アレルギー性結膜炎

結膜という眼の白目に当たる粘膜に炎症を引き起こし、眼が赤くなり、かゆみを伴います。
花粉などの季節性アレルギー性結膜炎、ダニ、カビ、動物の毛などで引き起こされる通年性アレルギー性結膜炎が代表的です。
しかし、それ以外にも、10代に起きやすく、炎症により結膜の巨大乳頭をきたす春季カタルや、アトピーが長引いたことで起きるアトピー性角結膜炎、コンタクトレンズと上まぶたの接触によって起きるコンタクトレンズ性乳頭結膜炎があります。
結膜炎のみの場合もありますが、重症になると、まぶたが黒目(角膜)とこすれ、感染を引き起こし、それにより角膜潰瘍や角膜炎を引き起こします。
点眼で加療し、アレルギーを除去することが大事ですが、角膜潰瘍や角膜炎が治らなかった場合、失明に至ることもあります。
また、眼を強くこすってしまうことでレンズの役割をはたす水晶体に衝撃を与えてしまい、白内障や水晶体が傾いてしまって脱臼を引き起こすこともあり、手術が必要となることがあります。
また、網膜に当たると網膜剥離となり失明することもあります。

5.食物アレルギー

特定の食べ物がアレルゲンとなってしまい、免疫機能が過剰反応を起こし、体内にさまざまな症状を引き起こします。
2015年食品表示法により、容器で包装された加工食品に対して、卵、牛乳、小麦、えび、かに、落花生、そばの7品目のアレルギー物質を表示することが義務づけられるようになりました。
「『食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業』 平成29(2017)年即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告」によると、皮膚(じんましんや掻痒など)、呼吸器(喘鳴、呼吸困難など)、粘膜(口唇や眼瞼の浮腫など)、消化器(嘔吐、腹痛、下痢など)などの症状に加えて、顔面蒼白、意識低下、血圧低下などの全身に重篤な問題(アナフィラキシーショック)を引き起こし、命の危険性が高まることもあります。
0歳台での発症が90%前後と多く、原因は鶏卵(35%)牛乳(20%)小麦(11%)という順になっています。
一番多い皮膚症状が87%ほどあり、また、アナフィラキシーショックに至るものも10%みられます。
最重症となる、アナフィラキシーショックに至った場合、命の危険性が非常に高いため、アレルゲンとなる食品をしっかり理解して、予防を行うことが非常に大事です。

一人ひとりがアレルギー疾患に対して正しい知識を理解しよう

アレルギー疾患には気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーなどがあります。
特に、気管支ぜんそくや食物アレルギーは重症化すると、アナフィラキシーショックとなり死に至る危険があります。
また、死に至る危険がなかったとしても、失明のリスクがあったり、生活に著しく支障が出るなどの問題もあります。
こういった疾患は個別に成り立つわけではなく、体質として、重なり合って発症することも多く、それぞれ関連しあう病態として、アレルギー性疾患を理解する必要があります。
国民の一人ひとりが理解をし、そして、医療や教育に携わる方は、より理解を含め、アレルギー性疾患を持つ方が安心して生活ができるような社会になるように、国、地方自治体全体が取り組むべき問題と考えます。

参考:
鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会: 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症. ライフ・サイエンス, 東京, 2020.
山内広平: アレルギー疾患とは. 臨床雑誌内科Vol.118 No.6, 2016.
環境省 花粉症とは(2021年3月14日引用)

  • 執筆者

    佐々木

  • 大学卒業後9年目医師です。 外科系医師として勤務し、手術の傍ら、医療系のライターの仕事をしています。救急の分野を得意とし、医学的根拠に基づいた記事を提供していきたいと思っております。

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