子どもの扁平足は放っておくとどうなる?幼児期・学童期など成長で異なる対処法
大人の扁平足は長時間歩行後の痛みなどの症状がありますが、子どもの扁平足はどうなのかと思いませんか。
子どもの場合、不調をうまく訴えられない分、大人が気づいてあげる必要があります。
子どもの扁平足が成長などに与える影響があるのかなどについてお伝えします。
子どもの扁平足の原因は?
●赤ちゃんはみんな扁平足
生まれてすぐの赤ちゃんは、足裏の脂肪が厚いため、皆扁平足の状態です。
しかし、1歳前後で歩行を始めると、徐々に脂肪が取れてアーチができ始めるといわれています。
乳児期の扁平足は生理的な脂肪の厚みが原因なのです。
●子どもの扁平足の原因
子どもの扁平足は、以前は遺伝のみが原因だといわれていましたが、それ以外にも原因があることがわかっています。
原因と考えられるものは以下の通りです。
- 1.原因不明の特発性のもの
- 2.脳性まひなど神経疾患による足の腱・筋肉の発達不全
- 3.精神発達遅滞
- 4.足の骨をつなげている靭帯のゆるみ
- 5.腱の断裂など、けがによるもの
子どもの扁平足は自然に治る?
立っていないときに足裏にアーチができるのに、立つとアーチがなくなる扁平足を弛緩性扁平足といいます。
これは先述した靭帯のゆるみが原因です。
弛緩性扁平足は、活発に外遊びをして、歩いたり走ったりしているうちに自然に治る場合もあります。
一方、先天性疾患が原因の扁平足は、装具や手術療法などの治療が必要になります。
扁平足の病態についてはこちらの記事に記載しています。
扁平足とはどのようなものかは大人も子どもも同じですので、参考にしてください。
●幼児期の扁平足
1歳以降、幼児期の扁平足では特に症状はありません。
幼児期の扁平足は親御さんが気づいて病院を受診することがほとんどで、本人からの痛みや違和感などの訴えはありません。
幼児期は体重もそれほど重くなく、足に強い負荷をかけるような運動をすることもないため、本人は気づきにくいものと考えられます。
一方、扁平足で子どもの転倒が多いように感じる親御さんも多いようで、「扁平足のせいでよく転ぶのでは?」と思う親御さんもいます。
しかし、幼児期は頭と体のバランスが取れずによく転ぶため、扁平足とは関係がないものといわれています。
●学童期以降の扁平足
子どもの足裏のアーチは10~15歳くらいまでに完成します。
学童期後半になると、子どもによっては骨格の成長が著しく、体が大きくなる場合もあります。
体重の増加や、スポーツによる足裏への負荷は、時に成人と同じように足裏の痛みとして自覚することもあります。
学童期や思春期にサッカーやバスケットボールなどのスポーツで走ったり、足裏に力を入れ、剣道や柔道などの足を強く踏み込んだりするスポーツをしている子どもが、整形外科を受診するケースがあります。
そのほとんどが扁平足の状態で足裏に負荷をかけたこと(使い過ぎ)で足底腱膜炎を発症しています。
それまでの成長過程では気がつかず、足底腱膜炎になったことで初めて扁平足だとわかる子どももいるのです。
この場合、スポーツを休むなど足を安静にすることで、ほとんどの足底腱膜炎の症状は軽快します。
子どもの扁平足の対処法とは
幼児期の扁平足は、はだしで歩く・つま先で歩く・足でじゃんけんをするなど、足底腱膜を鍛えることで改善することが多いです。
足裏のアーチが完成するのは学童期なので、幼児期の扁平足では特に何もせずに経過観察とする場合もあります。
学童期以降に扁平足による症状の改善が見られない強度の扁平足の場合は、装具業者に依頼してアーチサポートを作成し、足底部に敷くことで扁平足が改善することが多いです。
軽度の場合は、普段使っている靴の中敷きを市販のアーチを支えるインソールに替えるだけでも十分効果が期待できます。
靴選びも重要です。
足先を締め付けず、アーチ部分を支える構造のものを選んでいるでしょうか。
靴底もある程度クッション性があるものが良いです。
いつも平たいサンダルや子どもでもヒールがあるサンダルを履いていると、足を踏み込んで歩くことが少なくなり、アーチの発達を妨げることになります。
また、成長期に食欲が増し、急速な体重増加で肥満になることでも扁平足を進めてしまうこともあります。
成長期でも油脂やカロリーの取りすぎは肥満のもと。
お菓子などのおやつは控えめにし、体重についても気をつけてあげましょう。
子どもの扁平足は自覚症状がない分、周りが気にかけてあげよう
先天性疾患による扁平足は治療が必要な場合もあります。
しかし、それ以外の子どもの扁平足は子どもに自覚症状がない限り、問題とならないことが多いです。
ただし、学童期以降にスポーツを始めたり、体格が急に大きく変わったりすると足裏などの痛みが出るケースもあります。
子どもの足の裏まではなかなか見る機会がないかと思いますので、10歳程度の年齢を目安に、保護者は一度子どもの足裏のアーチができているかをチェックしてあげると良いでしょう。
必要であれば、靴の中敷きを改善するのも一案です。
参考:
益田市医師会立 益田地域医療センター医師会病院 扁平足について(2021年4月25日引用)
日本整形外科学会 幼児期扁平足(2021年4月25日引用)
兵庫県医師会 歩き始めた幼児の扁平足(2021年4月25日引用)
日本整形外科学会 整形外科シリーズ22 小児期扁平足(2021年4月25日引用)
東京リハビリ整形外科クリニック おおた インソールについて(小児)(2021年4月25日引用)
-
執筆者
-
小児外科・整形外科病棟・総合病院の外来などを経て2015年より医療・看護ライターに。並行して派遣看護師としてデイサービス・整形クリニック・健診機関などで勤務しています。看護師歴は20年以上。看護の知識と実践で得たことを糧に、読者様にわかりやすい記事を届けます。
保有資格:看護師・介護支援専門員