新型コロナウイルスワクチンと持病の内服薬の関係・禁忌薬はあるのか。血液サラサラの薬・免疫の薬は注意
新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける方のなかには、持病があって普段飲んでいる内服薬がある、という方もいます。
ワクチン接種時に持病の内服が影響するのかは心配なところ。
この記事では、ワクチンと相性が悪い内服薬があるのか、休薬の必要はあるのかについてお伝えします。
新型コロナワクチンと併用できない禁忌薬
新型コロナウイルスワクチン接種に禁忌薬はありません。
持病の内服薬があるということは、主治医から処方されているかと思います。
その多くの内服薬はワクチンとは作用機序(効き方)が異なるためです。
厚生労働省でも、「持病があり、飲んでいる薬があるからという理由で新型コロナウイルスワクチンが打てないということはありません。」と説明しています。
ワクチン接種時に注意が必要な薬
1.抗凝固薬
一般に「血液をサラサラにするお薬」といわれているもので、不整脈、血栓症、心臓の手術後の方に処方されることが多いお薬です。
具体的な薬品名はワーファリン、ワルファリンカリウム、プラザキサ、イグザレルトなど。
血液凝固系に働きかけ、出血などをしたときに血液が止まりにくくなります。
ワクチン接種時に注意が必要な理由は、接種後に穿刺部位が腫れやすくなるから。
抗凝固薬を服用している方のなかには、普段からぶつけると内出血が広がりやすく、採血後の止血もしにくい方がいます。
普段から採血後などに止血しにくい方はワクチンの接種後には、針を刺した場所を2分間以上、しっかり押さえるようにしましょう。
間違えてもんでしまうと腫れが広がるので注意が必要です。
2.免疫疾患などの持病の薬
リウマチなど自己免疫疾患をお持ちの方は、免疫が自分を攻撃しにくくするお薬を飲んでいることがあります。
治療のため、少しだけ免疫の力を弱めているのです。
このような方は、ワクチンを接種しても予防接種効果が低い場合があるといわれています。
しかし、免疫が全くつかないというわけではありません。
免疫を抑える薬を飲んでいても、接種は推奨されています。
誤解されやすい薬
「血液サラサラの薬」といわれる薬のなかには、抗血小板薬も含まれますが、こちらは特に注意をせずに通常のワクチン接種を受けられます。
血液凝固系のなかでも主に血小板の働きのみに作用するため、接種部位が腫れるリスクはほとんどないのです。
抗血小板薬は動脈硬化・脳梗塞・狭心症の方などに処方される内服薬であり、薬の名前は、バイアスピリン、アスピリン、パナルジン、バファリン、プラビックスなどです。
内服薬の把握はできているか
新型コロナウイルスワクチンの接種会場には、「自分が何の薬を服用しているかわからない、主治医の受診も数カ月に一度だから、言わないできた」という方がいらっしゃいます。
新型コロナウイルスワクチン接種には禁忌薬はないものの、注意が必要な内服は自分で把握しておかなければなりません。
薬の名前がカタカナばかりで覚えられない場合は、ワクチン接種会場にお薬手帳を持参するとよいでしょう。
また、癌・けいれん・血友病など、持病の病状によっては接種後の観察時間を多くとったり、主治医がいる医療機関での接種を勧められたりする場合もあります。
持病がある方は必ず主治医に相談をしてから会場に向かいましょう。
高齢の方は認知症が入っていて自分の病状を把握できないケースもあります。
こうした場合は、家族など周囲の方が付き添って病状の把握、必要時の説明ができるようにしておくのがお勧めです。
新型コロナワクチン接種前に内服薬の把握を
新型コロナウイルスワクチンと持病の内服薬の関係についてお伝えしました。
基本的には新型コロナウイルスワクチン接種にあたって禁忌薬はありません。
ただし、持病がある方は現時点での病状はどうなのかを把握し、ワクチン接種前には主治医に相談をしてから会場に臨みましょう。
お薬手帳の持参があるとよりスムーズです。
参考:
厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A(2021年7月15日引用)
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執筆者
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小児外科・整形外科病棟・総合病院の外来などを経て2015年より医療・看護ライターに。並行して派遣看護師としてデイサービス・整形クリニック・健診機関などで勤務しています。看護師歴は20年以上。看護の知識と実践で得たことを糧に、読者様にわかりやすい記事を届けます。
保有資格:看護師・介護支援専門員