ドライアイとは?加齢に伴う原因とメカニズム、予防法について医師がわかりやすく解説します
目が乾燥したり、ゴロゴロしたり疲れ目の原因となるドライアイ……年を取ったから仕方ないと思っていませんか?
ブルーライト下でスマホやパソコンなどを使用する現代では、モニターを凝視することでまばたきの回数が減ってしまうドライアイは現代病ともいえるでしょう。
今回は加齢に伴うドライアイの原因とメカニズム、そして予防法について医師がわかりやすく解説します。
ドライアイとは?ドライアイの症状について
最近、目に以下のような症状を感じたことはありませんか?
- ○目が乾燥してざらざらする
- ○目に熱感がある
- ○目が充血する
- ○まつげに分泌物がある
- ○朝起きたときに目が開かない など
ドライアイとは、「さまざまな要因により涙液層の安定が低下する疾患であり、目の不快感や視機能異常を生じる病気」です。
涙は保湿や感染予防、栄養を角膜に送るなどの目を守る働きをしています。
しかし、さまざまな原因により涙が目に十分行き届かなくなってしまい、目が乾く、ゴロゴロする、目が疲れるなどの不調を引き起こします。
●涙の成分について
涙の役割は、目が潤うようにすること。
目が潤うことによって、乾燥だけではなく細菌やウイルスなどの微生物から眼球を守り、眼球に栄養を行き渡らせます。
涙の主成分は脂分と水分ですが、水分はただの水ではなく、ムチンなどの粘液成分も含んでいます。
涙は水分と脂分でそれぞれ分泌される場所が違います。
脂分を分泌するのはマイボーム腺というところでまつげの生え際にあります。
涙液(水分)を分泌するのは涙腺というところで眉毛の外側のやや下にあります。
涙が少なくなり、蒸発しやすくなることでドライアイを発症してしまいますが、その原因としては
- ①脂分が減ってしまう
- ②涙液(水分)に含まれるムチンが減ってしまう、または水分自体が減る
- ③乾燥やまばたき不足により蒸発しやすい環境ができてしまう
の3つが挙げられます。
ドライアイが起きる原因について 乾燥とスマホなどのデスクワークには要注意を
ドライアイは涙が少なくなることによって発症すると先述しましたが、その他の要因も症状の増悪に関わってきます。
①空気の乾燥
空気が乾燥する冬場には特にドライアイになりやすいです。
風が当たると涙が出たりと、夏場よりドライアイ症状を訴える人は多いです。
冬場でなくても、夏場にエアコンを利用したことによる乾燥や、エアコンから吹き出す風に直接当たることでもドライアイを引き起こします。
②加齢
加齢によりマイボーム腺の機能が落ち、脂分が減ることや、涙腺からの涙液の分泌量が減ることで涙の量が減り、蒸発しやすくなります。
顔にしわができるように、白目である結膜にもしわができます。
これは結膜弛緩症という病態です。
結膜弛緩症を引き起こすと弛緩している結膜に涙がたまってしまい、涙が取られてしまうために、涙が眼球全体に行き渡らなくなってしまうことでドライアイになります。
③スマホやパソコン
スマホやパソコンを凝視することでまばたきの回数が減り、涙が蒸発しやすくなります。
特にデスクワークをされている方は、エアコンのかかった乾燥しやすい環境でパソコンやスマホなどのタブレットを凝視することでまばたきの回数が少なくなり、とても目が乾きやすくなるのです。
また、ブルーライトはドライアイを発生させ、加速させるといわれています。
ブルーライトを浴びると、酸化ストレスが起きやすくなり、目の表面の角膜上皮細胞の炎症が起きやすくなります。
スマホやパソコンなどをブルーライトの多いLED照明下で使用することで角膜上皮細胞の炎症が起こり、角膜上皮細胞が障害されやすくなり、ドライアイが悪化するといわれています。
④その他 夜更かしや飛行機などの移動、アイメイクなど
夜間は日中と比較すると涙液の分泌が減ります。
夜更かしをして目を開けている時間が長くなると、ドライアイが悪化しやすくなります。
また、飛行機の中は機体の安全を守るために湿度10%以下に設定されているので目が乾きやすい環境にあります。
まつげの生え際にマイボーム腺があるので、アイメイクをその部位に行うとマイボーム腺が詰まりやすくなります。
そうすると、涙の成分にある脂分が出にくくなってしまうため、涙が蒸発しやすくなり、ドライアイになりやすくなってしまうのです。
ドライアイにならないための予防、気をつけることは
ドライアイの予防法はずばり2つ。
- ①涙となる水分を増やすこと
- ②乾燥を防ぎ、涙を蒸発しにくくすること
です。
涙となる水分を増やすこと、それは、目に潤いを与えるために点眼をしっかり行うことです。
最近はさまざまな点眼剤が販売されていますので、ご自身にあった点眼剤を眼科医に相談して処方してもらいましょう。
また、スマホやパソコンの利用を長時間行わないようにして、ときどき目を閉じて目を休ませましょう。
まつげの生え際にはマイボーム腺がありますので、アイメイクを行うとマイボーム腺が詰まりやすくなり、ドライアイの原因になりますので、毎日しっかりクレンジングをしてアイメイクを落としましょう。
マイボーム腺が詰まらないようにするために、温かいタオルやホットアイマスクで目元を温めると良いでしょう。
冬場は乾燥するために、ドライアイになりやすい季節です。
加湿を行い乾燥を予防しましょう。
参考:
小沢洋子, 井手武: ブルーライトによる眼、全身への影響. 医学のあゆみ253巻2号: 149-153, 2015.