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呼吸器疾患

眠りが浅い原因は閉塞性睡眠時無呼吸症候群かも?リスクについて医師が解説

最近、眠りが浅く昼間も眠気が続いたり、誰かにいびきを指摘されることはありませんか?
もしかしたらその原因は閉塞性睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
ただのいびきと放置しておくのは危険です。
睡眠時無呼吸症候群は糖尿病、高血圧、脳梗塞のリスクが3倍以上高くなります。
さらには心臓突然死や乳幼児突然死症候群などの突然死による死亡リスクも高くなるのです。
そんな睡眠時無呼吸症候群のメカニズムについてお話しします。

ひどいいびき もしかしたら閉塞性睡眠時無呼吸症候群かも?

閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に上気道が狭窄(きょうさく)して、呼吸が止まる病気です。
そして、不眠の原因となる疾患でもあり、血中酸素濃度が下がってしまうことで、深い睡眠を取れなくなってしまい、中途覚醒や熟眠障害などを来すようになり、日中の眠気などを引き起こしてしまいます。
上気道が閉塞することで窒息状態になってしまいます
関連記事:高齢者と不眠の関係~どうして年を取ると眠れなくなるのか~

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は1時間に5回以上呼吸が止まる、もしくは、7時間の睡眠中10秒以上の呼吸停止が30回以上あると診断されます。
また症状としては以下が挙げられます。

  1. ①日中の過剰な眠気、疲労感
  2. ②熟眠感の欠如
  3. ③睡眠中の呼吸停止や自分のいびきの音や窒息感によって目覚める
  4. ④習慣性のいびき、呼吸の中断などを他人(主にパートナー)から指摘がされる

また、高血圧や脳卒中や心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患、心房細動、2型糖尿病などとともに認知症や気分障害(うつ病や躁うつ病など)の精神障害も来すリスクも上がります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群になりやすい人とは

肥満や鼻炎も閉塞性睡眠時無呼吸症候群の要因です

閉塞性睡眠時無呼吸症候群はどういった人がなるのでしょうか?
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は上気道の閉塞やそれを支える顎周りの筋肉の力が低下することで気道が狭くなり、空気が通りにくくなることで、呼吸が止まったりいびきをかいてしまったりします。
その結果、低酸素血症が起きてしまい、それにより交感神経が活性化して眠りが浅くなることで、日中の眠気や倦怠感、夜間の頻尿を来すようになります。

①肥満

肥満は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の最大のリスク因子です。
気道の周囲の脂肪などの組織が厚くなって上気道が細くなったり、内臓脂肪で肺が圧迫されて肺の中に空気をため込む肺気量が減少したりするため、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が起きやすくなります。

②喉や舌の異常

舌が大きい人や扁桃肥大などで口腔や咽頭に異常がある人は上気道の閉塞が起きやすく、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が起きやすくなります。

③副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎

上気道の炎症がある場合も、炎症によって上気道が狭くなり、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が起きやすくなります。

空気を送り込むことで閉塞を予防するCPAP(シーパップ)を使って治療

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の死亡リスクについて~心臓突然死と乳幼児突然死症候群~

アメリカでの調査によると、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は心臓突然死のリスクを上げるということがわかっています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群で突然死を起こしやすい時間帯は日中ではなく夜間(0時から6時)です。
無呼吸の頻度が多く、睡眠時の酸素飽和度が低くなって重症化すればするほど心臓突然死のリスクが上がります。
上気道が閉塞してしまうと、吸気時の呼吸筋運動により、全身からの静脈還流が増加します。
その結果、心室中隔は左心室の方向に傾きます。
また、左心室に対する外部からの陰圧は心臓の収縮に対する障害となるため、心機能が低下してしまいます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんはそうでない患者さんにくらべて、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの心血管イベントの発症リスクが2~3倍高いといわれており、心血管イベントを発症することで心臓突然死が起きやすくなっています。
高齢者だけではなく、赤ちゃんや子どもにとっても睡眠時無呼吸症候群は突然死のリスクが高まります。
乳幼児突然死症候群も、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が伴った場合、覚醒ができず突然死に至るものという仮説が立てられています。
呼吸調節が未熟な子どもに、感染や気温などの変化が負荷されると、呼吸の調節に対する防御反射が遅れ、呼吸が停止し突然死に陥ってしまいます。
そして、閉塞性睡眠時無呼吸症候群があると、乳幼児突然死症候群の発症リスクが非常に高くなるといわれています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は高齢者だけでなく乳幼児に対しても死亡リスクが高い疾患といえるでしょう。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群はさまざまな病気のリスクが上がるだけでなく、突然死の原因となる疾患

いびきの原因となる閉塞性睡眠時無呼吸症候群は糖尿病、高血圧、脳梗塞、認知症やうつなどの疾患のリスクが上がるだけではありません。
心臓突然死や乳幼児突然死などの死亡リスクが上がる疾患です。

参考:
小保内俊雅: 乳幼児における呼吸調節. ENTONI230号: 11-17, 2019.
日本循環器学会 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン(2021年8月15日引用)

  • 執筆者

    佐々木

  • 大学卒業後9年目医師です。 外科系医師として勤務し、手術の傍ら、医療系のライターの仕事をしています。救急の分野を得意とし、医学的根拠に基づいた記事を提供していきたいと思っております。

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