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閉経後は要注意の骨粗しょう症。ステロイドを飲んでる方はステロイド性骨粗しょう症の可能性も。骨粗しょう症の原因と予防を解説

50代から骨は弱くなるといわれており、骨粗しょう症により骨折が起きやすくなります。
特に骨粗しょう症は女性に多く、閉経後のエストロゲンの低下により起きやすくなります。
また、ステロイドを長期間使用すると、30~50%にステロイド性骨粗しょう症が起きるといわれており、合併症としては一番頻度が高く注意が必要です。
骨粗しょう症の原因と予防について、食事や運動するときに気をつけるポイントを医師が解説します。

老化だけが原因じゃない? 骨粗しょう症の原因と予防を解説

骨粗しょう症はどうして起きるのか?閉経後のエストロゲン低下には要注意の理由

骨粗しょう症とは「骨量の低下と骨組織の構造の劣化によって骨がもろくなり、骨折を起こしやすくなること」です。
体中の骨は骨形成(新たに骨が作られること)と骨吸収(破壊されて骨のカルシウムが血中に溶け出すこと)のバランスで成り立っています。
骨を作る、骨形成を行うのは骨細胞と骨芽細胞の役割で、骨を破壊する、骨吸収を行う働きをするのは破骨細胞の役割です。
骨は加齢とともに、骨吸収のほうが進みやすくなり、骨がスカスカになり、骨粗しょう症になりやすくなります。
特に、閉経後の女性は女性ホルモン、エストロゲンの欠乏により破骨細胞の活性が高まり、骨が破壊される骨吸収が進み、骨粗しょう症になりやすくなります。

ステロイドのお薬の合併症では骨粗しょう症が起きやすくなります。ステロイド性骨粗しょう症には要注意を

塗り薬・錠剤・点滴と処方される形はさまざま

さまざまな病気でステロイドの点滴や錠剤を飲んでいる方はステロイド性骨粗しょう症に注意が必要です。
ステロイド性骨粗しょう症はステロイドを使用されている方の30~50%に起きるといわれている、ステロイドで一番多い合併症です。
ステロイドのお薬を使うことで、骨の中に含まれるコラーゲンなどの構造や骨に栄養を送る脈管に変化が起きることで、骨を作るネットワークに異常が起き、骨を作る骨形成がうまくいかなくなってしまい、骨強度の低下を来します。
ムーンフェイス・肥満・多毛などのすぐ目に見える副作用にばかり目が行ってしまい骨粗しょう症への警戒を怠りがち
3カ月以上内服し続ける場合、骨強度が弱くなり、骨折しやすくなってしまうのです。
閉経後にステロイドを長期間内服し続けると、骨形成がうまくいかないこと、骨密度低下の相乗効果によって骨粗しょう症が非常に進みやすくなるため、骨折が起きるリスクが高くなります。
骨折が以前にあった、65歳以上である、プレドニンに換算すると7.5mg以上内服している、骨密度が若年の成人の平均値(Young Adult Mean :YAM) 70%以下の場合はステロイド性骨粗しょう症のリスクが非常に高いため、骨粗しょう症を予防するためにあらかじめ予防のお薬を飲んだほうが良いでしょう。
ステロイド内服3カ月以内に、骨粗しょう症の予防薬を内服するかどうか、検討が必要です。
ステロイド内服をやめた後も骨の強度が回復するのに1年ほど時間がかかるため、骨粗しょう症予防のお薬を内服し続けたほうが良いでしょう。

骨粗しょう症の起きにくい運動と生活習慣について

若年期の水泳やダイビング、マラソンは骨密度の低下が起きやすく、球技などの荷重運動は骨密度が増加しやすいといわれています。
閉経後女性の場合、有酸素荷重運動、 ウォーキング、筋力訓練などの運動を行うことで骨密度が増加します。
特に、閉経後の女性や高齢の骨量が減少した骨粗しょう症女性において、ジャンプ運動・ 筋力訓練の骨密度増加効果は高いため、骨粗しょう症予防に非常に重要です。
椎体骨折や大腿骨骨折が起きてしまうと寝たきりになり、寿命も短くなってしまいます。
運動することにより筋力もつくことで、廃用症候群や転倒の予防にもなりますので、転倒などのけがには気をつけて運動をしっかり行いましょう。
また、過度の飲酒や喫煙は骨粗しょう症を起こしやすくなります。
1日アルコール3単位以上(ビール中瓶3本以上、日本酒3合以上)摂取すると、アルコールが分解された後のアセトアルデヒドが骨芽細胞の機能や分化を抑制することで骨形成を抑制し、骨粗しょう症が起きやすくなります。
喫煙は骨吸収を起こしやすくする破骨細胞を活性化させ、タバコに含まれるニコチンは末梢血管の収縮や骨折治癒にも悪影響が出ますので厳禁です。
過度の飲酒や喫煙は骨粗しょう症を引き起こしやすくなるために、骨粗しょう症のリスクが高い人はやめたほうが良いでしょう。

医師の指示どおりにきちんと服薬するとともに健やかな生活習慣をつけよう

閉経後の骨粗しょう症には要注意。過度の飲酒や喫煙には気をつけて運動をしっかり行いましょう

閉経後にはエストロゲンの低下のため特に女性は骨粗しょう症が起きやすくなります。
また、ステロイドを長期間使用すると、骨に含まれるコラーゲンの変化により骨がもろくなってしまい、骨粗しょう症が起きやすくなるため、骨粗しょう症の予防のためにお薬を内服しておいたほうが良いこともあります。
過度の喫煙や飲酒は骨粗しょう症の悪化につながるのでできるだけ控え、けがに気をつけてしっかり運動を行いましょう。

参考:
岩本潤: 骨代謝マーカーによるスポーツおよび身体活動の評価. THE BONE33巻2号: 223-228, 2019.

  • 執筆者

    佐々木

  • 大学卒業後9年目医師です。 外科系医師として勤務し、手術の傍ら、医療系のライターの仕事をしています。救急の分野を得意とし、医学的根拠に基づいた記事を提供していきたいと思っております。

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