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老後の不安

収入、資産が多い人は要注意!特別養護老人ホームの料金の仕組み

要介護者の増加に伴い、老人ホームへの入居希望者が増えています。
有料老人ホームは料金が高いから、入居するなら料金が安い特別養護老人ホーム(以下、特養)にしたい。
こう考えている方は多いと思いのではないでしょうか。
確かに有料老人ホームは一般的に料金が高いのですが、入居者の収入や資産状況によっては、実は特養の方が高くなる場合があります。
今回は特養の料金体系についてみていきたいと思います。

特別養護老人ホームと有料老人ホームの料金に差がつく理由

一昔前に比べると、いたるところに老人ホームを見かけるようになりました。
しかし一口に老人ホームと言っても、看板をみるとさまざまな種類があることがわかります。
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、ケアハウス、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などです。
このように老人ホームは非常に多様化しています。料金体系もそれぞれに違い、混乱のもとになっています。

この数ある老人ホームのなかで、特養は「介護保険施設」に分類されます。介護保険施設は自治体、社会福祉法人、医療法人などの公的な法人しか設立・運営できない介護施設です。
特養の他には介護老人保健施設、介護療養型医療施設があります。
中でも特養は自治体か社会福祉法人のみに設立・運営が許可されている公的性格の強い施設です。
特養は新しく建設する時や、増築・改築、また建物の修繕をするときにも自治体から補助金を受けることができます。また融資面でも優遇されています。
加えて特養を運営する社会福祉法人には原則として法人税、住民税および事業税がかかりません。
このように特養は「補助制度・融資制度・税制度」の面で優遇を受けています。

一方、有料老人ホームは株式会社などの営利企業が運営できます。
しかし株式会社には社会福祉法人のような優遇措置はありません。
建設費用は自社負担ですし、課税もされます。
このような背景から特養と有料老人ホームの料金に差がつくのは当然といえます。
しかしその反面、特養は自治体の監督が厳しかったり、食費や居住費を高額な料金に設定できないなど、さまざまな制限を受けます。
有料老人ホームは建物・設備・サービス面に付加価値を上乗せすることができ、自由な料金体系を組むことが出来ます。

特定施設入所者生活介護とは?

一般的に高いと思われている有料老人ホームですが、最近では入居一時金0円、月々の費用も特養並に入居できるホームが増えてきました。
その理由としては、既存の建物を改修することで初期投資を抑えたり、土地を購入せず賃貸契約するといった企業側の経営努力があります。
また、最も経費がかかるのは介護サービス費(人件費)ですが、これについては「特定施設入所者生活介護」(以下、特定施設)を取得することで介護保険が利用できるようになります。

特養などの介護保険施設は入居者保護のため、建物・設備・人員等に運営基準を設けています。
この運営基準に準拠すれば、介護サービス費に介護保険の適用が受けられます。
つまり介護サービスにかかる費用が特養などと同様の1〜2割の負担で済み、入居者の自己負担額を抑えることができるのです。
「介護付」有料老人ホームを名乗るホームはすべてこの特定施設です。ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホームなども基準を満たせば特定施設になりますが、これらの施設で取得している所は少数です。

介護保険施設の入居者だけが利用できる「食費、居住費の軽減制度」とは

老人ホームの費用のうち、食費と居住費については介護保険が適用されないので自己負担になります。
しかし介護保険とは別に、食費と居住費の負担を軽減する制度が存在します。
ここで注意があります。「食費、居住費の軽減制度」が利用できるのは、特養などの介護保険施設の入居者だけです。
有料老人ホームなどの入居者にはこの制度は利用できません。そのため特養と有料老人ホームの入居者の間には実際に支払う費用に大きな差が出てきます。

しかし誰もがこの「食費、居住費の軽減制度」を利用できるわけではありません。
利用できるのは低所得者に限られており、次のような条件があります。
世帯全員が住民税非課税であること。加えて預貯金等が一定額以下であること。
具体的には配偶者がいる方は合計2000万円以下、 配偶者がいない方は1000万円以下という条件が課されます。その上で、所得により第1段階から第4段階まで負担額が分かれています。
厚生労働省 http://www.fukushi-saitama.or.jp/site/welfare/upload/docs/saisinzyouhouvol.473-2.pdf

第1段階

世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方で 老齢福祉年金を受給されている方
生活保護等を受給されている方

第2段階

世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方で合計所得金額と公的年金等収入額の合計が年間80万円以下の方

第3段階

世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方で上記第2段階以外の方

第4段階

上記以外の方(軽減措置は受けられません)

軽減制度が適用される場合とされない場合の料金差

軽減割合は施設の種類、入居している部屋の種類(個室か多床室か)で変わり、一定ではありません。
特養には従来型、ユニット型という種類があります。
ユニット型はごく最近できたタイプで、9〜10人程度の少集団を一つの単位にして、なじみの関係を尊重する介護体制をとった施設です。
部屋は基本的に個室となります。従来型はとくに小集団を作らず、ワンフロアに20〜30人程度の入居者を擁する特養のことです。
個室もありますが、相部屋の方が多い施設になります。

特養の費用はこの従来型とユニット型の違いと、個室か多床室かの違いで施設サービス費(料金)が異なります。
施設介護サービス費は入居者が住んでいる地域ごとにより変動があります。
また施設ごとに取得している加算の有無で月々の費用が変わります。
ユニット型と従来型では、後者の方が施設介護サービス費が安くなるので、月額料金も低くなります。
以下はあくまで参考例としてお考えください。いずれも負担割合は1割で計算しています。2割の方は、施設介護サービス費が2倍になります。

◯ユニット型(個室、要介護5、第4段階)

施設介護サービス費 1075円/日
居住費 2600円/日
食費  1380円/日
1ヵ月あたり(30日)の費用 15万1650円

◯ユニット型(個室、要介護5、第1段階)

施設介護サービス費 1075円/日
居住費 820円/日
食費  300円/日
1ヵ月あたり(30日)の費用 6万5850円

食費は種類に変わりなく、第1段階は1日あたり300円、第2段階で390円、第3段階で650円です。
厚生労働省は介護施設の1日あたりの食費の基準費用額を1380円としています。
本来、食費、居住費とも各施設で自由に設定できますが、厚労省が提示した額から大きくはみ出す金額にならないよう、各施設が自主規制しています。

まとめ

有料老人ホームなどは食費、居住費はすべてバラバラで、施設によってかなり幅があります。
その点、特養等の介護保険施設は厚労省から食費、居住費の基準費用額が提示されています。
そのため、どの施設もある程度同じような金額になります。このような考え方は、公的施設の使命として低所得者でも入居を保障する考え方を持っているためです。
その最たるものが「食費、居住費の減免制度」です。
食費、居住費の軽減が受けられるか否か、というのが「介護保険施設」と「それ以外の老人ホーム」との大きな差だと言えます。これが特養は安い、有料老人ホームは高い、という差を生んでいます。

しかし、これが近年は崩れてきました。新規開設の「ユニット型」タイプの特養だと、収入が多くまったく食費、居住費の軽減を受けられない人は、月々の費用が14,5万円になることもめずらしくありません。
また介護保険の負担割合が一定所得以上の方は2割負担となっているため、非常に料金負担が上がりました。
これは年金制度が確立したあとの世代が要介護高齢者として現れてきたことに起因しています。
今後より一層このような十分な年金収入と資産を持った高齢者が増えてくると予想されます。

従来型特養の多床室に入居すれば安い費用で済みますが、特養には入居の優先順位を決める規則があります。
より支援の必要性が高い人から優先して入居させることとされていますので、多床室には低所得者が優先される可能性が高いと思われます。

今後、ある程度の資産をもち、厚生年金が現役並にある高齢者の方は「食費、住宅費の軽減措置」が受けられない可能性が高く、そういった方は、料金的な面からみれば特養にこだわる必要はないと言えるかもしれません。
老人ホームを選択する時は、自分の収入状況をしっかり見極めた上で選択する必要があります。
老人ホームはとても高い「買い物」です。あとで後悔しない選択をしないためにも、専門的な知識や経験を持った人の協力が必要になるでしょう。
老人ホームを選ぶ時に信頼できる介護の専門家を見つけておくことが、これからの時代には必須だと言えるのではないでしょうか。

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