認知症で一人暮らしの生活が難しくなったとき~ケアマネが実際に組み合わせたサービスをご紹介
離れて暮らす一人暮らしの親が認知症になり、一人暮らしを続けることが難しくなることがあります。
認知症になっても、一人暮らしを続けたい、そんなときにはどのような介護サービスの組み合わせが可能なのか、一例をご紹介します。
目次
認知症で家事が難しくなったらホームヘルパーを。進行を予防するならデイサービスを利用しよう
認知症になると、さまざまなことが難しくなっていきます。
家事もそのひとつです。
特に、毎日3食準備する必要がある食事の準備が難しくなると、生活がままならなくなってしまいます。
そこで考えていただきたいのが、ホームヘルパーの利用です。
ヘルパーには調理や洗濯、掃除といった家事援助をお願いすることができます。
認知症で家事の手順が分からなくなりつつあるけれども、手助けやアドバイスがあればこなせるというのであれば、ヘルパーと一緒に家事を行うこともできます。
またそれに加えて、デイサービスの利用もおすすめです。
デイサービスでは、入浴ができ昼食を取ることができます。
リハビリを受けることができたりレクリエーションが充実している施設もあります。
ほかの利用者やスタッフとコミュニケーションをとることができます。
認知症の進行を予防したいという希望を伝えれば、それに応じたプログラムが準備されるのです。
安否確認を兼ねた配食サービスで家族も安心
配食サービスとは、お弁当を高齢者の自宅に届けてもらい、同時に安否確認をしてくれるサービスです。
自治体が行っている地域もあれば、自治体が委託した団体(社会福祉協議会など)が行っている場合もあります。
また、公的な機関が実施していない場合でも、民間企業が提供している同じようなサービスを利用するという手もあります。
このサービスでは安否確認の際、ご自宅に高齢者がいない場合に決められた相手にその旨が伝えられます。
もし、認知症の方が自宅にいない場合、その連絡を受けることで、認知症の方の近くに住む親戚や知人に所在を確認してもらうことができます。
どのようなサービスの組み合わせが可能なのか~実例をご紹介
軽度の認知症のため、もともと苦手だった調理がさらに難しくなってきていた一人暮らしの隆夫さん(91歳)の介護度は、要介護1でした。
隆夫さんは、
- ・デイサービスへ週2回
- ・ホームヘルパーの家事援助を週2回(各90分)
- ・配食サービスを週2回
利用していました。
デイサービスを月曜日と木曜日、ホームヘルパーを水曜日と土曜日、配食サービスを火曜日と金曜日のお昼に利用する組み合わせです。
日曜日には隣市に住む娘さんが訪れ、買い物に連れ出してくれたり、自宅の掃除をしてくれたりして過ごしていました。
●サービスを利用した隆夫さんの食事状況
隆夫さんの朝食は毎日パンと果物でした。
これは、日曜日に娘さんと買い物に行った際に購入したり、ご自身で買いに行っていました。
月曜日と木曜日にはデイサービスで昼食を取り、夜は日曜日に娘さんが作っていってくれたものを食べたり、レトルト食品などを食べていました。
配食サービスをお願いしていた火曜日と金曜日には、昼食は配食サービスのお弁当を食べ、夕食は移動販売車の惣菜などを購入していました。
デイサービスに行かない日は、趣味の読書をしたり時代劇を見て過ごし、外出は買い物のみといった様子で過ごしていました。
ヘルパーが来てくれる水曜日と土曜日は、昼食にヘルパーが作ってくれたものを食べ、夕食時にもその残りを食べて過ごしていました。
●食事以外の隆夫さんの生活状況
隆夫さんは、食事以外の家事についてもそつなくこなせるというわけではありませんでした。
若い頃から片付けることが苦手で自宅は散らかっていることがほとんどでした。
洗濯は比較的こまめに行えていましたが、忘れてしまうこともありました。
娘さんが少し片付けるぶんには問題はありませんでしたが、ヘルパーに掃除の援助をお願いすることは拒否されていました。
洗濯についても忘れることがあるのであれば、ヘルパーに手伝ってもらうことができると説明しましたが、同じく必要ないとのことでした。
隆夫さんには「ヘルパーには食事を作ってもらいさえすればよく、あとは自分でできる」との思いがあったのです。
自宅の片付けや洗濯のことについては、娘さんも交えて話し合った結果現状通り、娘さんにも気に掛けてもらいながら隆夫さん本人が行うと結論が出ました。
また、配食サービスの担当者が自宅に訪れた際、自宅にいても返事をしない、お弁当が届くのを忘れて買い物に行ってしまうということも時々ありましたが、近所に住む親戚の方や民生委員さんが本人の所在を確認してくれ、事なきを得ました。
デイサービスについては、楽しいけれども続けて利用するのは大変で、週2回くらいの利用が一番自分に合っているという隆夫さんの希望通り、週2回で固定されました。
要介護1の隆夫さんの場合~本人の意思を汲み取りながらできない部分を補う介護サービスを
要介護1は、まだまだ自分でできる部分もある段階です。
それを補う形でサービスを提供してもらったり、ご家族にフォローしてもらったりしながら生活が送れるようにします。
介護サービスを受ける本人が納得し、安定した生活が送れる。
また、離れて暮らす家族もできる範囲で本人をフォローしながら、サービスを利用することで安心して生活できる、そんな実例をご紹介しました。
関連記事:
認知症高齢者の人が住みやすい街に~認知症の対応や各自治体のサービス、便利グッズを紹介します!
訪問看護師が教える介護保険制度 ~自宅で暮らしたい方が利用できるサービス~
一人暮らしの高齢者に渡しておきたい安心見守りグッズを3つご紹介します