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高所得者は高額介護サービス費の上限額が倍増!見直される内容とは

2020年10月5日に、厚生労働省は社会保障費が膨らむなかで、介護保険を今後も維持存続するために、高所得高齢者の介護サービス利用料の自己負担分を引き上げることを決定しました。
厚生労働省が見直しを打ち出している内容や高額介護サービス費の概要などを説明します。

厚生労働省が見直しを打ち出している内容や高額介護サービス費の概要などを説明

高額介護サービス費の見直し内容

介護サービス利用料の自己負担分が引き上げられるのは、一定以上の高額所得がある世帯で現状の上限額より2倍から3倍に引き上げられます。
高額介護サービス費支給制度では、介護サービスを利用し一定の額より超えた場合は超えた額が償還されます。
見直しでは高額所得者の自己負担上限額がかなり引き上げられます。

●見直される対象

見直しの対象となる方は、年収が約770万円以上の方です
年収が約770万円以下の方や非課税世帯の方は現状の通りです。

●見直される上限金額

見直されると、下の表のようにオレンジの世帯の方は高額介護サービス費の上限額が2~3倍に引き上げられます。

対象となる世帯年収 現状の自己負担上限額 見直し後の自己負担上限額
課税世帯 約1,160万円~ 44,400円(世帯) 140,100円(世帯)
約770万円~約1,160万円 93,000円(世帯)
~約770万円 44,000円(世帯)
非課税世帯 非課税世帯 24,600円(世帯) 24,600円(世帯)
・生活保護を受けている方(個人)
・前年の所得の合計と公的年金収入
の総合計が70万円以下の単身非課税者
15,000円(個人) 15,000円(個人)

高額介護サービス費とは

高額介護サービス費とは

介護保険料を支払えば、65歳以上で介護認定された方は介護保険サービスを受けることができますが、自己負担分が高額になる場合があります。
その場合、家計を圧迫しないように、自己負担上限額を超えた金額が支給されます。
この支給される金額が高額介護サービス費です。
現在は、課税世帯なら自己負担限度額は最大月額44,400円、非課税世帯なら最大月額24,600円、生活保護世帯なら最大月額15,000円です。
ただし、介護保険施設で支払った食費、居住費、日常生活費の自己負担分や在宅介護サービスの福祉用具購入費や住宅改修費の自己負担分は高額介護サービス費の対象になりません。

高額介護サービス費の算出と申請のしかた

高額介護サービス費の算出と申請のしかた

支払った介護サービス利用料が月額どのくらい戻ってくるかを例を挙げて算出してみましょう。

●高額介護サービス費の算出のしかた

1)年収合計が70万円以下の非課税単身高齢者の場合

自己負担上限額が15,000円で、それを超えた金額が戻ってきます。

高額介護サービス費=介護サービス利用額の自己負担額ー15,000円

たとえば、要介護2の認定を受けている方で、利用限度額まで介護サービスを利用しているなら、自己負担額は19,480円です。
19,480円ー15,000円=4,480円
この場合、高額介護サービス費として償還される金額は、月額4,480円です。

2)課税世帯で合算して算出する場合

高額介護サービス費=(世帯の自己負担額合計額ー世帯の上限額)×(個人の自己負担合計額 / 世帯の自己負担合計額)

年収が770万円までの課税世帯の要介護5の夫と要介護2の妻の世帯が夫婦共に介護サービスを受けているとしましょう。
介護サービス利用料は1割の自己負担額で、夫が自己負担額35,000円、妻が自己負担額19,000円かかっています。
高額介護サービス費の自己負担額上限は44,000円なので、次のように算出します。

(35,000円+19,000円ー44,000円)×{35,000円÷(35,000円+19,000円)}=6481.48≒6,481円

(35,000円+19,000円ー44,000円)×{19,000円÷(35,000円+19,000円)}=3518.51≒3,519円

世帯で償還される高額介護サービス費は、夫6,481円+妻3,519円=月額10,000円です。

●高額介護サービス費支給の申請のしかた

介護保険サービスを利用すると、3カ月後ほどしてから高額介護サービス費の支給に該当する世帯や個人には、高額介護サービス費の通知と申請書が送付されます。
高額介護サービス費申請書に被保険者本人が必要事項を記入して各市区町村の担当窓口に持参するか、郵送で提出します。
提出は2年以内に行わないと高額介護サービス費を受け取ることができなくなります。
自治体によって多少異なりますので、詳しくは各自治体の担当窓口にお問い合わせください。
一度申請すると、あとは自動的に上限額を超えた自己負担額がある場合は毎回口座に振り込まれます。
被保険者本人以外の代理人が申請をする場合は、申請書以外に委任状の提出が必要です。
被保険者が亡くなられてから申請をする場合は、申請書と相続人申立書の提出が必要です。

●介護保険施設に入所されている方は受領委任払いの申請を

介護保険施設に入所されている方は受領委任払いの申請を

介護保険施設に入所あるいは入院されている方は、施設の同意を得て自治体の担当窓口に申請することで受領委任払いをすることができます。
受領委任払いとは、入所者は施設に利用負担上限額を支払い、上限額を超えた額については各自治体が入所者に代わって施設に支払う制度です。
つまり、入居者は高額介護サービス費を前もって差し引いた自己負担上限額のみを支払えばよいのです。

見直された高額介護サービス費支給制度の実施は2021年度より

厚生労働省の発表によると、介護サービス利用料の自己負担分の引き上げは、政令施行後2021年度より実施される予定です。
引き上げの対象となる高額所得高齢者は数%ですが、応能負担の考え方から現役世代の介護保険負担の抑制にもなると考えられています。
今後の厚生労働省の動向がどうなるか注目しましょう。

参考:
東京新聞 高所得者介護負担増へ 65歳以上、月額上限2~3倍.(2019年10月17日引用)
介護のニュースサイトJOINT「高額介護サービス費、現役並み所得者の負担上限額を引き上げへ=報道.(2019年10月17日引用)
マネーの達人 介護費が戻る「高額介護サービス費支給制度」算出方法について.(2019年10月17日引用)
大阪市 介護保険高額介護サービス費支給申請書.(2019年10月17日引用)

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