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老後を迎えた方が安心して暮らすための資産運用ポイント

豊かな老後を過ごすために、できるだけ多くの資産を持ち続けたいと思う方は多いでしょう。
一方で高齢者が資産を運用する際、現役世代と同じ感覚で行うと問題が起こる場合もあります。
それではどのような点を考慮すべきか、本記事で解説していきます。

老後を迎えた方が安心して暮らすための資産運用ポイント

老後を迎え、現役時代と変わること

老後を迎え、現役時代と変わること

老後を迎え高齢者となった方は、現役時代と変わることがいくつかあります。
「若い者には負けない」と思っている方も、老後を無事に過ごすためには以下に挙げる4つのポイントを心がけることが必要です。

●年金を受け取れる

老後を迎えた方が現役時代と異なる代表的なポイントに、年金を受け取れることが挙げられます。
ひとくちに年金といっても、以下のように多種多様な種類があります。

  • ○国民年金
  • ○厚生年金
  • ○国民年金基金(自営業の方が任意で加入する)
  • ○確定拠出年金(企業で加入するタイプと、個人で加入するタイプ(iDeCo)がある)
  • ○個人年金保険(生命保険会社などで加入)

年金によって支給開始年齢は異なりますが、60歳~70歳から受け取りを始められる年金が多くなっています。
また確定拠出年金や個人年金保険の中には5年間や10年間など、期間を決めて受け取れる商品もあります。
このため、公的年金を受け取る前のつなぎに使うことも可能です。

●働いても収入がダウンする方が多くなる

高齢者の中には働く方も少なくありませんが、現役時代と異なり、収入がダウンする方が多いことは留意したい点の1つです。

実際に厚生労働省が公表した「平成30年賃金構造基本統計調査」の結果を見ると、59歳までと60歳以上では、大きく月給が低下していることがわかります。

年齢 男性 女性
55~59歳 41万9,500円 26万6,500円
60~64歳 30万600円 22万2,600円
65~69歳 25万8,800円 20万8,700円

このため現役時代には年収1,000万円を超えたような方でも、60歳以上で引き続き高い年収を確保できるとは限りません。

●医療費は増える

ここまで解説した通り、高齢者になると収入が減る方は多いです。
一方でさまざまな病気を抱えがちとなるため、医療費が増える方は多くなります。

厚生労働省が公表する「医療保険に関する基礎資料」によると、2016年度における1人当たりの自己負担額は、年齢が上がるにつれて増大していることがわかります。

年齢 医療費の自己負担額(年間)
45~49歳 3.9万円
50~54歳 5.0万円
55~59歳 6.1万円
60~64歳 7.5万円
65~69歳 8.8万円

思ったよりも少額と思った方もいるかもしれませんが、上記の金額はあくまでも平均値であることに注意が必要です。
入院や手術をした場合や複数の医療機関にかかっている場合など、年間の医療費が10万円以上となる場合も少なくありません。

●悪質商法のターゲットになりやすい

高齢者は、悪質商法のターゲットになりやすいことにも注意が必要です。
国民生活センターが公表する「消費生活年報2019」によると、60代以上の相談割合は以下の通り増加しています。

項目 2015年度 2018年度
60代 14.7%(約13万6,700件) 19.0%(約18万8,400件)
70代以上 19.7%(約18万3,200件) 24.7%(約24万4,900件)
全相談件数 92万9,989件 99万1,575件

上記に示す通り、全体の相談件数の増加数を上回るペースで、60歳以上の相談数が増加しています。
なかでも、以下の被害が多くなっています。

  • ○訪問販売
  • ○電話勧誘
  • ネガティブ・オプション(注文していない商品を勝手に送付し、後日代金を請求する商法)
  • 訪問購入(貴金属や不用品買取り業者などが自宅に訪問し、強引に買取りをする)

老後はただでさえ収入が減る一方、支出が増えてしまいがちです。
その状況において、悪質商法で資産が奪われることは避けなければなりません。

老後の資産運用で重視したいポイント

老後の資産運用で重視したいポイント

ここまで解説した通り、高齢者は現役世代と異なる特徴があります。
そのため、資産運用においても考慮すべき点は異なります。
ここでは老後の資産運用で重視したいポイントを3点取り上げ、詳しく解説していきます。

●重視すべきは「大きく増やす」よりも「不用意に減らさないこと」

高齢者が資産運用をする際に留意しておきたい点は、多額の収入が期待しにくい点です。
厚生労働省が公表した「平成30年 国民生活基礎調査の概況」結果によると、高齢者世帯において公的年金が家計に占める割合は、以下の通り高い世帯が多くなっています。

  • ○公的年金だけが収入源の世帯は51.1%
  • ○公的年金の割合が6割を超える世帯は24.6%

上記で示す通り高齢者世帯のうち4分の3以上は、公的年金が主な収入源となっています。
このような家庭ではもし多額の損失を出した場合、二度と埋め合わせができないことも少なくありません。
そのため資産を大きく増やすことよりも、不用意に減らさないことを重視する必要があります。

従って資産を運用する上では定期預金や国債など、安全性の高い金融商品を中心にして運用することが望まれます。
全国銀行協会では、以下の割合で運用することを勧めています。

  • 2カ月程度の生活資金はいつでも引き出せる状態にしておく
  • ○60代以上の場合、株式や投資信託、外貨預金など「リスクのある金融商品」は、全体の3割までにとどめる
  • 資金に余裕がない方は、極力安全性の高い金融商品で運用する

●毎月取り崩す額を決めて、必要以上の支出をしない

高齢者の中には、資産を少しずつ取り崩して生活する計画を立てている方も多いでしょう。
この場合は毎月取り崩す額を決めて、必要以上の支出をしないことが重要です。
それは同じ利率でも、金額が減ると得られる利息額も減ってしまうためです。

1つの例として年1%の社債を購入した場合に、1年間で受け取れる利子の金額を考えてみましょう。
なお、所得税(15.315%)および地方税(5%)を差し引いた額を示します。

元本の金額 受け取れる利子の金額
500万円 39,842円
1,000万円 79,685円

生活費の額は同じでも受け取れる利子の額が減ってしまえば、より多くの資産を取り崩さなければなりません。
従って資産の減少が、加速度的に進むことになります。
これを防ぐために、あらかじめ必要以上の支出をしないことは有効です。
また事前に資産運用のシミュレーションを行うことも、資産を守る上で役立ちます。

●一発逆転の方法は避けるべき

資産をあまりお持ちでない方の中には、お金を一気に増やすことを狙うべく、高利回りが望めるとうたう金融商品に投資する方もいるかもしれません。
しかしこの方法は資産を一気に失うリスクが高いため、資産運用として避けるべき方法です。

特に「必ず儲かる」と持ちかけられた場合は詐欺と考え、手を出さないようにしましょう。
そもそも金融商品取引法などにより、価格が変動する金融商品について「必ず儲かる」などといった断定的判断を提供する行為は禁止されています。

また法令で合法とされる金融商品であっても、それは以下のことを意味しない点に注意が必要です。

  • ○元本は保証されるので、損しない
  • ○損失は一定の割合までに限定してもらえる

特に損した金額を業者が肩代わりする「損失補てん」は、原則として禁止されています。
そのため投資による損失が発生した場合でも、ご自身で責任を負わなければなりません。

毎月の支出額に医療費や介護費用を考えておく重要性

老後はどうしても病気になりやすくなったり、介護サービスを受けたりする方が多くなります。
これらは生活の基本となるべきものですから、優先して考えることが必要です。
ここでは毎月の支出額に医療費や介護費用を考える重要性について、解説していきます。

●お金がないからといって医療費を削ると、命にかかわる場合がある

収入が十分でない方の中には、お金がないあまりに体調を崩しても医療機関にかからない方もいるかもしれません。
しかしこの行為は命にかかわる事態となる場合や、かえって多額の医療費を負担することになる場合もありますから、好ましいとはいえません。

たとえば糖尿病や狭心症の方は、定期的に通院して治療にかかわる薬を服用することが求められます。
もしお金がないからといって通院しないと重症化する恐れがあり、かえって医療費が多くなりかねません。
もちろん本人も病状が悪化すれば、苦しい思いをしてしまいます。

また骨折や脳卒中などでリハビリが必要な場合、十分なリハビリを行うことで社会復帰ができれば、働いて収入を得ることが期待できます。
このようなケースでは、十分な医療費をかけることがあなたの資産を守ることにつながります。
従ってお金がない状況でも、命を守るための医療費はきちんと払えるように備えておくことが重要です。

●どの人も「自分なら介護は不要」とは言い切れない

どの人も「自分なら介護は不要」とは言い切れない

人は誰でも年齢を重ねるにつれて、体が動きにくくなります。
このため公的な介護保険や、民間の介護サービスを受ける方も増えてきます。
厚生労働省が公表する「平成29年度 介護保険事業状況報告」によると、年齢による介護保険の利用率は75歳を境に、大きな違いがあります。

年齢層 要介護・要支援認定者数 年齢層ごとの人口
65歳~74歳 74万人 1,764万人
75歳以上 555万人 1,770万人

上の表で示す通り、75歳以上の方はおよそ3人に1人が介護保険のサービスを利用していることになります。
従って、どの人も「自分なら介護は不要」とは言い切れません。
介護保険を利用する場合の自己負担率は1割が基本ですが、所得に応じ以下のように変わります。

所得額 自己負担率
本人の所得額が220万円以上で、年金収入とその他所得の合計額が463万円
(単身世帯では340万円)以上
3割
1割・3割どちらにも当てはまらない方 2割
本人の所得額が160万円未満
または所得額が220万円未満で、年金収入とその他所得の合計額が346万円
(単身世帯では280万円)未満
1割

上記の表で示す通り、特に現役並みの所得がある方は自己負担率が最大で3倍となることに注意が必要です。
もちろん民間の介護サービスを受ける場合は、全額自己負担となります。
従って介護サービスを受ける費用を支払えるよう、お金を準備しておかなければなりません。

医療費や介護の費用も考慮することは、老後を安心して過ごすポイント

老後は現役時代と異なり、資産を増やすことは難しくなります。
そのため月々に必要な支出を把握した上で、資産を有効活用することが求められます。
なかでも高齢者は病気にかかりやすくなる、介護を受ける可能性が高まることに留意が必要です。
これらは安心して老後の生活を送るために避けることができない課題です。
従って資産運用の際は安心できる日々を過ごすためにも、将来の医療費や介護費用も考慮しておきましょう。

参考:
りそな銀行 「確定拠出年金(401k)」とはどんな制度?.(2019年11月16日引用)
りそな銀行 確定拠出年金の「個人型」と「企業型」、何が違うの?.(2019年11月16日引用)
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要.(2019年11月16日引用)
ソニーライフ・エイゴン生命 個人年金ってどんな保険?.(2019年11月16日引用)
イオン銀行 個人年金保険.(2019年11月16日引用)
JA共済 予定利率変動型年金共済 ライフロード.(2019年11月16日引用)
厚生労働省 平成 30 年賃金構造基本統計調査の概況.p2(2019年11月14日引用)
厚生労働省 医療保険に関する基礎資料.(2019年11月14日引用)
厚生労働省保険局調査課 医療保険に関する基礎資料~平成28年度の医療費等の状況~.p100(2019年11月16日引用)
厚生労働省 医療費の自己負担.(2019年11月16日引用)
内閣府大臣官房政府広報室 政府インターネットテレビ 巧妙な手口が続々 悪質商法に要注意.(2019年11月16日引用)
国民生活センター 消費生活年報2019 PIO-NETにみる消費生活相談-全国のデータから-.pp.4-6(2019年11月14日引用)
警視庁 ネガティブ・オプション(送り付け商法).(2019年11月14日引用)
東京都 基礎知識「訪問購入」.(2019年11月14日引用)
厚生労働省 平成30年 国民生活基礎調査の概況.p11(2019年11月14日引用)
一般社団法人全国銀行協会 20代から70代まで、コレだけは知っておきたい資金計画.
 (2019年11月14日引用)
ソフトバンク 社債情報.(2019年11月14日引用)
国税庁 No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得).(2019年11月14日引用)
川合晋太郎法律事務所 断定的判断の提供.(2019年11月14日引用)
e-Gov 金融商品取引法.(2019年11月14日引用)
弁護士法人海星事務所 澤井弁護士が「損失補てん」について解説した記事がRakuten Infoseekで配信されました。 投資の損失カバーします!「損失補てん」はご法度、接待も×!投資家も逮捕の場合がある?MBA弁護士が解説!.(2019年11月14日引用)
厚生労働省 平成29年度 介護保険事業状況報告(年報) 報告書の概要.p1(2019年11月14日引用)
総務省統計局 人口推計-平成30年3月報-.(2019年11月14日引用)
厚生労働省 平成30年8月から現役並みの所得のある方は、介護サービスを利用した時の負担割合が 3割になります.p2(2019年11月16日引用)

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。

    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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