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医療行為の「できる」「できない」訪問介護と訪問看護の違いと、医療行為ではないサービス11種

訪問介護と訪問看護、この2つのサービスは、スタッフの資格や提供できるサービスの内容に大きな違いがあります。
今回は訪問看護師である筆者が、2つのサービスについてわかりやすく解説します。

訪問介護と訪問看護、両者の一番の違いは医療行為が可能かどうか

訪問看護では医療行為が可能ですが、訪問介護では認められていません。
医療行為とは、医師または医師の指示を受けた看護師や助産師など、医療従事者にしか行うことができない治療や処置のことをいいます。
つまり、同じ訪問型のケアでもサービス内容が違うのは、スタッフが持つ資格が異なるからなのです。
ここではまず訪問介護と訪問看護、それぞれの役割とサービス内容を説明します。

●訪問介護 日常生活のお手伝いをしてくれる、心強いサポーター

サービスを提供するのは、介護福祉士や訪問介護員です。
サービス内容は主に、体に触れるケア(身体介護)・日常生活のサポート(生活援助)・通院時の乗車、降車、移動介助など多岐に渡ります。
身体介護と生活援助は分かりにくいので、代表的なものを表にまとめます。

身体介護 生活援助
入浴介助 ×
オムツ交換 ×
部屋の掃除 ×
掃除、洗濯 ×
買いだし ×
調理 ×
食事介助 ×
体位変換 ×
ゴミだし ×

このように、食事に関することでも食事中の手助けと見守りは身体介護、調理は生活援助になります。
また、訪問介護は利用者さん本人にのみ提供されるサービスですので、ペットの散歩、家族の分の調理などはできません。

●訪問看護 医療処置はお任せ、療養生活のパートナー

サービスを提供するのは、保健師、看護師、准看護師です。
サービス内容は主に、医師の指示による医療処置、状態観察、医療機器の管理、療養上のお世話、家族の支援や療養相談、リハビリテーションなどの「医療行為」になります。
訪問看護では、掃除や洗濯、調理などのサービスは提供できません。

訪問介護に依頼できる「医療行為ではない」サービスは11個

医療行為には、医師のみが認められている「絶対的医行為」と、医師の指示に従い、医療従事者が行える「相対的医行為」があります。
実は、相対的医行為には明確な基準がありません。
医療行為が認められていない訪問介護において、医療行為か否かの判断に迷う場面は、過去に数多くありました。
いわゆるグレーゾーンの行為を明らかにする目的で、2005年に厚生労働省から「原則として医療行為ではないと考えられる」項目についての通知がありました。
項目について、以下に列記します。

  • 1)体温測定 水銀、電子、耳式すべて可
  • 2)自動血圧測定器を使った血圧測定
  • 3)動脈血酸素飽和度測定のためのパルスオキシメータ装着
  • (血液中の酸素が十分に足りているかどうか、専用の機器で測定すること※新生児は不可)
  • 4)受診の必要がない軽度の擦り傷、切り傷、やけどの処置
  • 5)医薬品使用の介助 軟膏の塗布、湿布貼付、点眼、一包化された内服薬の内服(舌下錠含む)、坐薬挿入、鼻からの薬剤噴霧
  • (※容態が落ち着いている、薬の調整のための経過、状態観察の必要がない、使用方法に専門的な配慮が必要ないなどの条件あり)
  • 6)健康な爪の爪切り
  • 7)ひどい歯周病がない場合の、歯磨きなど口の中の手入れ
  • 8)耳垢の除去
  • 9)ストマ装具(お腹につくられた便や尿の排泄口のこと)にたまった排泄物を捨てること 装具の貼りかえは不可
  • 10)自己導尿の補助 準備や体位の保持
  • (尿を自力で出すことができない方が、ご自身で管を通して尿を身体の外へ排泄するためのお手伝いをすること)
  • 11)市販の使い捨て浣腸器による浣腸 挿入の長さ、浣腸液の濃度、使用量に規定あり

●まだまだ分かりにくい「医療行為ではない」サービス

厚生労働省からの通知によって、グレーゾーンの判断基準は明確になったのでしょうか。
実際の現場では、いまだ判断に悩むことがあります。
筆者が経験した、利用者さんの内服介助に関するエピソードをご紹介します。
利用者さんはリウマチがあり、薬を口元まで運ぶことができません。
訪問介護スタッフから質問がありました。
「薬を直接口に入れるのは医療行為ではないか?」
通知をみると、内服薬の介助は可能であり、舌下錠(舌の下に入れることで効果を発揮する薬)も含むとありますから、そのまま解釈すれば口の中に入れることも問題なさそうです。
とはいえ、口の中に入れてもいいとは断言されていません。
このときは結局、利用者さんの手のひらに薬をのせ、訪問介護スタッフが下から手を添えて介助することになりました。
厚生労働省も、個別に判断されるべきと述べているように、細かな部分の対応は事業者の判断に委ねられています。
よって、事業者には常識的で最善の判断が求められているといえます。

●訪問介護に依頼できる「医療的ケア」はたんの吸引と栄養剤の注入

家族が日常的に行う医療的な援助行為を医療行為と区別して「医療的ケア」といいます。
医療的ケアが家族や医師、看護師にしか許されないとなると、多くの方はケアが不十分となり、在宅で暮らすことができません。
このことから、2012年より訪問介護にも医療的ケアの一部が認められるようになりました。
2018年時点では、たんの吸引と胃ろうなどからの栄養剤の注入、2つの行為のみが対象になっています。
もちろん、命にかかわることですから、研修を修了し、医師の指示、看護師との連携がとれる場合に限定されています。
医療依存度の高い利用者さんにとっては待ちに待った制度ではないでしょうか。

事例でみる「知っていればもっと早くお願いできた」こと

判断に苦慮した例を前述しましたが、医療行為ではないと認められている項目を知っていれば、もっと早く訪問介護に依頼できた例もあります。
2つの事例をご紹介しましょう。

●事例1

 
頼子さん(仮名)85歳
寝たきりで意思の疎通は困難、娘さんと2人暮らし。
訪問介護サービスを利用しており、娘さんは爪切りもお願いしたが、「刃物を使うから医療行為である」と断られてしまった。
のちに知人から「爪切りはお願いできるのではないか」といわれ、責任者に確認したところ「水虫や巻爪などがなければ、切ることができる」と返答があった。

●事例2

登美子さん(仮名)90歳
訪問介護サービスを利用しながら1人で暮らしている。
痩せ型で座っている時間が長いので、圧迫ででん部(お尻)がときどき赤くなってしまう。
赤くなったときには、悪化を防ぐためにアズノール軟膏を塗布している。
自分で塗るのが難しいため、訪問介護に依頼すると「軟膏を塗るのは、医療行為なのでできない」と断られてしまった。
往診医に相談し、医師が責任者に確認したところ、指導があれば可能と返答があり、依頼できることになった。
2つのケースから分かるように、サービスを提供するスタッフでも、基準があいまいな場合があります。
なかには事業所の方針で行っていないところもあるので、スタッフではなく責任者に確認してみると良いでしょう。

まとめ

在宅介護には欠かせないサービスである訪問介護と訪問看護。
混同されやすいサービスですが、訪問介護に一部の医療行為が認められたことで、ますます違いが分かりにくくなっているかもしれません。
これからサービスを利用される方はもちろん、すでにサービスを利用されている方も、2つのサービス利用方法に迷ったときは、今回お伝えした内容をお役立ていただければ幸いです。
参考:
厚生労働省 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について 2012年(2018年1月17日引用)

厚生労働省 公的介護保険制度の現状と今後の役割 2015年(2018年1月17日引用)

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