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介護・入院費用

健康保険料や介護保険料に関する負担は、将来2倍になる方も。背景と将来予測を解説します

国民1人当たりの健康保険料や介護保険料は、上昇し続けています。
将来はどこまで上昇するか、不安に感じている方も多いでしょう。

漠然と不安を感じるだけでなく、目安を知ることは重要です。
本記事では公表されているデータをもとに、解説していきます。

上昇し続ける保険料 背景と将来予測を解説

健康保険料や介護保険料の負担額は、どこまで増える?

高齢者が払う保険料は1.4~1.6倍に増加

まず、健康保険料や介護保険料の負担額はどこまで増えるのでしょうか。
厚生労働省は第28回社会保障審議会に提出された「今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー」において、将来の見通しを示しています。
この内容を中心に、将来の負担額について考えていきましょう。

●高齢者が払う保険料は、1.4~1.6倍に増加する

高齢者が払う保険料は、2018年度と比較して1.4~1.6倍に増加すると見込まれています。
まず、75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療保険料」をみていきましょう。

年度 1人当たりの保険料額 2018年度比
2018年度 5,800円
2025年度予測 6,300~6,400円 9~10%増
2040年度予測 8,000~8,200円 38~41%増

2025年度の段階では2018年度とくらべてせいぜい1割程度の増加と、大きな負担増ではありません。
しかし2040年度では約4割の増加となります。
収入を得る手段が限られる高齢者にとって、痛みを伴う負担となることは否めません。

次に介護保険料をみていきましょう。

年度 1人当たりの保険料額 2018年度比
2018年度 約5,900円
2025年度予測 約7,200円 22%増
2040年度予測 約9,200円 56%増

介護保険料は後期高齢者医療保険料よりも早く、そしてより高くなることが特徴です。2018年度から2025年度までの7年間で、2割を超える増加。
2040年度は2018年度と比較して6割弱、2025年度とくらべても28%の増額となります。

上記に挙げた金額は平均額ですから、住民税非課税世帯の方はより負担が軽くなる一方で、収入が多い方はさらに多くの保険料を払うことになります。

●働く方が負担する保険料も、2割程度増加する

保険料の増加は、高齢者に限りません。
働く方が負担する保険料も将来増加することは、知っておくべきポイントです。
まずは健康保険料について、考えていきます。

年度 保険料率
(協会けんぽの場合)
従業員が払う毎月の保険料額
(標準報酬月額30万円の場合)
2018年度比
2018年度 10.0% 15,000円
2025年度予測 10.5~10.6% 15,750~15,900円 5~6%増
2040年度予測 11.5~11.8% 17,250~17,700円 15~18%増

2018年度から2025年度の変化は、給与が高い方を除けば月々数百円程度の増加ですみ、それほど負担増を感じない方も多いのではないでしょうか。
一方で2040年度との比較ともなると、月給20万円程度の方でも月額1,500円以上の負担増は避けられません。

40歳以上の方は、介護保険料率も加算されます。
介護保険料率も以下の通り、将来のアップが見込まれています。

年度 保険料率
(協会けんぽの場合)
従業員が払う毎月の保険料額
(標準報酬月額30万円の場合)
2018年度比
2018年度 1.57% 2,355円
2025年度予測 2.0% 3,000円 27%増
2040年度予測 2.6% 3,900円 66%増

増加額こそ少額であるものの、健康保険料よりも上昇幅が大きいことが特徴です。
保険料の上昇率だけを見ると、高齢者よりも高くなっていることは注目しておきたいポイントです。

40歳以上の方の場合、月々の保険料は健康保険の部分と介護保険の部分(介護保険料率)をセットにして天引きされます。
両者を合計した金額、すなわち実際に天引きされる保険料率と保険料額は、以下のようになります。

年度 保険料率
(協会けんぽの場合)
従業員が払う毎月の保険料額
(標準報酬月額30万円の場合)
2018年度比
2018年度 11.57% 17,355円
2025年度予測 12.5~12.6% 18,750~18,900円 8~9%増
2040年度予測 14.1~14.4% 21,150~21,600円 22~24%増
  • 2018年度から2025年度の負担増は1割程度(多くの方は数百円~2,000円)
  • 2018年度から2040年度の負担増は2割強(毎月数千円の負担増となる)

上記に挙げた負担増は無視できません。
特に収入の少ない方にとっては、重く感じられることでしょう。

実は高齢者の増加ではない。将来の負担額が増加する真の背景

高齢者の負担増加は、少子高齢化によるものと簡単に認識しがちです。
しかしこれからの負担増は、必ずしもそうとはいえません。
その理由と背景について、詳しく解説していきましょう。

●高齢者の増加は、今後は主な要因ではない

今後の負担増において、高齢者の増加は必ずしも主な要因とはいえません。
それは今後、高齢者の増加幅はこれまでよりも下がるためです。

厚生労働省「今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー」や国立社会保障・人口問題研究所が公表した資料より、高齢者の人口と増減率をみてみましょう。

65歳以上(増減率) 65~74歳(増減率) 75歳以上(増減率)
2000年 2,204万人 1,303万人 901万人
2015年 3,387万人(+53.7%) 1,755万人(+34.7%) 1,632万人(+81.1%)
2025年 3,677万人(+8.6%) 1,497万人(-14.7% 2,180万人(+33.6%)
2040年 3,921万人(+6.6%) 1,681万人(+12.3%) 2,239万人(+2.7%)
2060年 3,540万人(-8.7% 1,154万人(-31.5% 2,387万人(+6.6%)

2015年以降、高齢者の増加幅はすでに抑えられています。
特に65歳~74歳の人口は、すでに増減を繰り返しつつ減少傾向に転じています。
また75歳以上を加えた「65歳以上の人口」も、2042年をピークに減少すると予測されています。

高齢者の増加幅が抑えられるならば、健康保険料や介護保険料の負担率もそれほど変わらないはずです。
しかし現実としてそうならず、高齢者の増加率を上回る負担増を求められる背景には、15歳から64歳にあたる「生産年齢人口」が減少するなどの理由が考えられます。

●今後の負担増は、生産年齢人口の減少が主な要因

少子高齢化に伴う経済規模の縮小

高齢者の負担増は、生産年齢人口の減少が主な要因に挙げられます。
さきに取り上げた厚生労働省、および国立社会保障・人口問題研究所が公表した資料で確認していきましょう。

生産年齢人口 増減率(2000年との比較)
2000年 8,638万人
2015年 7,728万人 -10.5%(-10.5%)
2025年 7,170万人 -7.2%(-17.0%)
2040年 5,978万人 -16.6%(-30.8%
2060年 4,793万人 -19.8%(-44.5%

2000年とくらべて2040年には7割弱、2060年には半分近くまで働き手が減ってしまうことがわかります。
これが高齢者の負担増につながる理由は、高齢者の医療費や介護費用が以下の通り、64歳以下の方からも徴収されているためです。

  • ○65歳~74歳の方(前期高齢者)の医療費は、それぞれが加入する健康保険において負担される
  • ○前期高齢者の人数が少ない健康保険組合等に対して、「前期高齢者納付金」の負担が求められる
  • ○75歳以上が対象となる「後期高齢者医療制度」の運営費は、公費や現役世代の負担割合が9割を占める
  • ○40歳以上の方は健康保険料に介護負担分が上乗せされて請求、または天引きされる

なかでも高齢者が負担する保険料は、後期高齢者医療制度全体からみると1割程度。
公費が5割、国保や健康保険組合等からの拠出金が4割と、現役世代が多くを支えている
ことを示しています。

制度を支える現役世代、すなわち生産年齢人口が減少することは、現役世代からの支えが少なくなることを示します。
その分、高齢者自身が負担しなければなりません。
従って、今後とも高齢者の負担は増え続けるものと考えられます。

とはいえ収入が限られ、生活が苦しい方から徴収額を増やすことはできません。
一方で年収が多い高齢者が増えれば、保険料率や自己負担率を上げることで財源を増やせます。
政府が「70歳定年」「働き手を増やそう」という項目を政策に含めている背景には、この点も念頭に置いている可能性があります。

保険料だけでなく、さらに負担が増す方もいる

高齢者のなかには保険料だけでなく、以下の通りさらなる負担を求められる場合もあります。

負担増となる項目 内容
医療機関における、後期高齢者の窓口負担率 ○年収383万円以上の方は3割
○年収200万円以上の方は、2022年度後半から2割
○その他の方は1割負担を継続
高額介護サービス費の負担額 高齢者自身が住民税非課税でも、世帯の誰かが住民税を課税されている場合、世帯の負担上限額が毎月44,400円となる
(非課税世帯の場合は24,600円)

収入を問わず、広く負担額がアップする改定が続いています。
現役世代が減少するなか仕方がないとはいえ、ますます厳しい家計となることは否めません。

国も負担軽減に取り組んでいる。主な施策を紹介

IT技術も活用し負担軽減へ

健康保険料や介護保険料の負担額アップは、自己負担分を支払う方の痛みがクローズアップされがちです。
しかし自己負担額の割合は、多くても3割に過ぎません。
皆さまが支払う2倍以上の額を、自治体や保険組合は負担しています。

このこともあり、国も負担軽減に向け積極的に取り組んでいます。
ここでは主な施策を3つ紹介し、その内容を解説していきます。

●特定健診や特定保健指導の受診率をアップ

施策の1つとして、特定健診や特定保健指導の受診率アップが挙げられます。
ほとんどの病気は「早期発見・早期治療」が重要。
生活習慣病もその例外ではありません。

国は2023年度において、特定健診の実施率を70%、特定保健指導の実施率を45%以上とする目標を定めています。
これらの実施率は以下の通り、年々上昇しています。

年度 特定健診実施率 特定保健指導実施率
2008年度 38.9% 7.7%
2013年度 47.6% 17.7%
2018年度 54.7% 23.2%

引用:厚生労働省 2018年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について【概要】p5

●健康寿命を伸ばす取り組み「スマート・ライフ・プロジェクト」

厚生労働省は「スマート・ライフ・プロジェクト」という、健康寿命を伸ばす取り組みを行っています。
健康寿命は、健康かつ自立して過ごせる期間を指します。
この期間を長くできれば医療費や介護費を抑制できるとともに、国民もより長い期間快適に過ごせるメリットが期待できます。

厚生労働省は国民に対し、以下の取り組みを推奨しています。

  • ○禁煙
  • ○ふだんの生活のなかで運動を取り入れる
  • ○野菜の摂取量を増やす

また国が取り組んでいる例には、以下の項目が挙げられます。

  • ○企業向けのオンラインセミナーを実施
  • ○積極的に取り組む企業や団体を表彰
  • ○イベントへの出展

●IT技術の活用による、業務効率化の推進

厚生労働省は、IT技術の活用も推進しています。
たとえば介護施設に対しては、介護ソフトやタブレット端末、Wi-Fiの導入に対し、補助金という形で支援を行っています。

業務が効率化されることは、残業時間など人件費の削減につながります。
これは施設の経営改善につながるだけでなく、保険制度そのものの健全化にもつながるものと考えられます。

家計への影響を減らすためにも、制度の改定を早めに把握しよう

健康保険料や介護保険料は、今後も今の数倍といった、ドラスティックな変化にはならないと考えられます。
しかし、現状の2~3倍程度の負担を求められる方はいるかもしれません。

家計への影響を減らすためにも日ごろからニュースなどに関心を持ち、毎年行われる制度の改定内容を把握することが重要です。
もし負担増加の情報を得た場合は早めに対策することが、影響を最小限に抑えるポイントです。

参考:
厚生労働省 今後の社会保障改革について ー 2040年を見据えて ー(2021年3月17日引用)
国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書 pp.81-82.(2021年3月18日引用)
全国健康保険協会 令和2年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)(2021年3月17日引用)
厚生労働省「後期高齢者医療制度について」(2021年3月18日引用)
SCSK健康保険組合「前期高齢者医療制度」(2021年3月18日引用)
取手市「令和2・3年度の後期高齢者医療保険料率が決まりました」(2021年3月18日引用)
総務省 平成29年版情報通信白書 第1部 特集 データ主導経済と社会変革(2021年3月29日引用)
厚生労働省 後期高齢者の窓口負担の在り方について(2021年3月18日引用)
高齢者住宅新聞社 後期高齢者医療費 窓口負担2割に引き上げ(2021年3月18日引用)
日本経済新聞 後期高齢者窓口負担2割引き上げ 政府、閣議決定(2021年3月18日引用)
厚生労働省 平成29年8月から月々の負担の上限(高額介護サービス費の基準)が変わります(2021年3月18日引用)
YAHOO! 2021年度介護保険改正で何が変わる?高額介護サービス費では高所得者の自己負担額が増える?(2021年3月18日引用)
パソナライフケア 高額介護サービス費の見直しについて(2021年3月18日引用)
厚生労働省 特定健康診査等実施計画作成の手引き(第3版)(2021年3月19日引用)
厚生労働省 2017年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(2021年3月19日引用)
厚生労働省 2018 年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況について(2021年3月19日引用)
厚生労働省 2018年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について【概要】(2021年3月19日引用)
長寿科学振興財団 健康長寿ネット 世界の健康寿命(2021年3月19日引用)
生命保険文化センター 健康寿命とはどのようなもの?(2021年3月19日引用)
厚生労働省 健康寿命(2021年3月19日引用)
厚生労働省 令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える- > 本文掲載図表(一覧/バックデータ) > 図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移(2021年3月19日引用)
厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト について(2021年3月28日引用)
厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト(2021年3月28日引用)
厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト イベント情報(2021年3月28日引用)
厚生労働省 介護現場におけるICTの利用促進(2021年3月19日引用)
厚生労働省 医療分野の情報化の推進について(2021年3月19日引用)
厚生労働省 「健康・医療・介護分野におけるICT化の推進について」等の掲載について(2021年3月19日引用)
厚生労働省 地域医療介護総合確保基金を活用したICTの導入支援(2021年3月28日引用)

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。

    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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